「月うさぎのテレキネシス」のあとがき

こんにちは。塗田一帆です。
この記事では短編小説「月うさぎのテレキネシス」のあとがきとして、物語ができるまでの発想や工夫について書いていこうと思います。途中から有料になっていますが、私のDiscord鯖に参加してもらえれば無料で全文読めますので、お気軽にどうぞ。ついでに感想なんかも貰えれば嬉しいです。


今作では、「鈴波アミを待っています」以来の”少し長いやつ”に挑戦しました。正直に言うと、あれよりもエモい物語を書くのはかなりハードルが高そうなので、今作ではガラッと趣向を変えて、スーパーヒーローものという王道中の王道に挑みました。とにかく楽しいエンタメですね。

「鈴波アミ」にはいくつかの反省点があって、その中のひとつが「対象読者の母数が小さすぎる」というものでした。ただでさえウェブの短編小説なんて流行らないのに、ターゲットが「Vのオタク」というのは、あまりにも範囲が狭すぎます。そこで、もっと多くの人に楽しんでもらえるような普遍的な作品を目指すことにしました。
近年だとMCU(マーベル作品)の映画が流行っていますが、日本の作品だと仮面ライダースーパー戦隊シリーズなど、ずっと続いていて普遍的に愛されている形式ですね。また、少年漫画ラノベなろう系の主人公も、スーパーヒーローに分類できるものが沢山あります。
このジャンルを最も新しい形で描くとしたらどうするべきだろう。というのが、今作の出発点となります。

ちなみに、いまこれを書いているのは、本編を執筆するよりも前です。こうして思考をまとめてからイメージラフに取り掛かり、ある程度ストーリーがまとまったら本編を書いていきます。この手法は「鈴波アミ」でやったのと同じです。上手くいったことは変えない方がいいので。

スーパーヒーローものを書くに当たって、最初に3つの指針を設けました。

①主役ふたりのバディものにする
②なるべく素早く展開する
③インターネット的かつ普遍的なストーリー

①バディもの
これまでに書いてきた「特別無全波区域」、「アンロック!」、そして「鈴波アミ」の終盤がそれに近い感じになっていて、書いていてやりやすかったので、これを主軸にします。
主人公が超能力者なので、相棒は対象的な人物――普通の一般人にしましょう。しかし、本当にただの一般人だとバランスが悪いので、特別優秀な人物くらいがいい塩梅です。自動的に、主人公の方は平凡となります。
また、いまの中高生にとってのヒーローの要素を取り入れて、ふたりに付与します。それは、「インフルエンサー」「漫画の主人公」です。

②素早い展開
「鈴波アミ」の反省点のひとつに、序盤があまり面白くないというのがありました。いや、あれはリアリティを追求したのと、後半の盛り上がりのためには必要だったのですが、それにしても動きが小さすぎました。そこで、今作では”掴み”をなるべく序盤の方に持ってきます。ヒーローものの修行パートを面白く書くのは難しいとされていますが、インターネットと上手く絡めることによって、読んでいてワクワクするような修行に見えない修行を目指します。中盤くらいから悪役に出てきてもらって、そいつとのバトルシーンをクライマックスに持ってきましょう。ヒーローものなので。

③インターネット的かつ普遍的
私の書く物語の特徴として、インターネット的であるということが言えると思います。そして、既に私の読者になっている方々はそれを期待して読みに来るはずです。私はそういうお話が大好物なので、お互いにとってお得ですね。この路線を続けます。
それと同時に、普遍的な面白さを目指します。応援したくなるような主人公が、大きな困難を乗り越え、最終的には憧れの対象となるような人物へと成長する。これを描きましょう。

……という感じで書き始めた今作は、これまでで一番難航しました。
一度1万5000文字くらいで書き終わって、その時点では執筆開始から10日くらいだったのですが、ちょっと気に食わなかったので、最初から全部書き直すことにしました。

最も大きな変更点として、主人公の相棒が男から女に変わりました。
初期バージョンでは、男2人組ヒーロー + ヒロインという組み合わせだったのを、相棒 = ヒロインとしてしまうことによって、よりコンパクトなパッケージにすることができました。超能力の男 × 超優秀な女です。ああ、こうやって文字にするだけでも良いですね。
イメージとして、「バクマン。」のサイコー × シュージンや、「魔人探偵脳噛ネウロ」終盤のネウロ × ヤコ のように、お互いに背中を預け合えるような相棒になってもらいたかったので、佐々木がフルパワーを発揮するためのスイッチとして望月さんが機能するような仕組みにしました。

クライマックスのバトルについてですが、ヒーローが自分以上に強い相手を倒すために覚醒するというのはある種のお約束です。しかし、そこに何の理屈も無かったりすると、個人的には興ざめしてしまいます。そこで、佐々木には勉強で培ってきた知識&望月さんとの連携プレーというやり方で強大な敵を倒してもらいました。その前段階で死ぬ寸前までボコボコにやられたのは、単なる私の趣味です。ハッピーエンドにしてやる代わりに、主人公には途中でとことん苦しんでもらいます。

さて、ここから先はキャラクターについて書いていこうと思います。
メインキャラクターは佐々木、望月さん、ガレキの3人ですね。

・佐々木
超能力者です。
モチーフは兎(耳が良くて”とぶ”)
前半は割と平凡な中学生ですが、後半は高校生になり、やや冴えてきました。一人称も僕から俺に変わりましたね。これってやっていいことだったのでしょうか?もし評判悪かったら後から修正するかもしれません。
超能力に関しては、知識が増えると強くなるタイプの能力ですね。
いざという時は腹を括って何でもやるタイプです。怖いですね。

・望月さん
ヒロインであり、もうひとりのヒーローです。
モチーフは月(影から支える存在で暗がりを照らす光)
とにかく賢い女性ですが、いざという時は意外と冷静な判断ができないタイプです。そこまで完璧だと、佐々木の出番が無くなっちゃうので……。
中学生の時点でフォロワー数が私よりも多いので、何か特殊な技能がありそうですが、元々何をやっていた人なのか不明です。怖いですね。

・ガレキ
悪いやつです。
モチーフは狼男(孤独な一匹狼)
日本人は勧善懲悪が好きと聞いたことがあるので、とことん悪いやつにしましたが、こいつは”望月さんと出会えなかった佐々木”のつもりで書きました。闇落ちした能力者……嫌いじゃないです。

ここまで解説するのは少し野暮かもしれませんが、月と兎が仲良く「餅つき」してるのを一匹狼が嫉妬して月を連れ去る。っていう童話的な関係性ですね。
結局のところ、その人がどう育つかって、周りにどんな人間がいたかが大きいのかなぁ。なんて考えながら彼らを戦わせていました。
私はいつの日か、佐々木にとっての望月さん、あるいはその逆のような存在に出会いたいです。これは人生単位の目標ですね。

そういえば、ちらっと鈴波アミが登場(?)しましたが、彼女は私の過去作「鈴波アミを待っています」のヒロインです。初見の人にはよくわからないファンサービスでした。


そうそう、今作はヘッダー画像をイラストにしてみたのですが、これは本編を一度書き終わって推敲している途中で思い付きました。

通常、ウェブ小説というのはタイトルそのもので集客します。小説家になろうなどの人気作品を見ればわかりますが、強いワードを滅茶苦茶に並べまくった長いやつになるのが普通です。
しかし、noteというプラットフォームではその必要がないと気が付いたわけです。いい感じのイラストさえあれば、例えタイトルが弱くても人々の興味を引き、1クリックくらいならしてもらえそうかなと。

このような考えを経て、今作のヘッダー画像はプロの強いイラストレーターさんに依頼しよう!と思っていたのですが……色々あって自分で描くことになりました。このクオリティのイラストで集客に繋がるのか非常に疑わしいですが、少しでも効果が出れば、次にもっといい作品が書けた時に改めてプロの方に依頼してみようかと思います。


ということで、そんな紆余曲折がありつつ今作は完成しました。
このあとがきも含めて、楽しんで頂けていたら幸いです。

また、今作では感想ハッシュタグを用意しています。
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