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文章が得意なことって何だ?

この記事の3つのポイント

①文章の得意技=描写
②描写のコツは「ポイントを絞る」こと
③カメラのピントを合わせるみたいに


前回の記事で文章は空間やビジュアルの説明が苦手という話をしました。

建物の間取りはもちろん、風景、人物の容姿、道順……などなど、空間やビジュアルの類は絵や写真、映像の方が圧倒的にわかりやすく説明できます。

では、文章の得意技とは何か?

それが「描写」というやつです。

はてさて描写とは?

描写という言葉の意味は以下の通り。

描写【びょう‐しゃ
えがきうつすこと。特に芸術的表現において、客観的形象・事態・感情などを絵画・言語・音楽などにより的確に描き出すこと。【三省堂『大辞林』第三版より】

ここで注意したいのは、

×  写真や映像のように、細部まで忠実に文章でスケッチすること。

ではなく、

○  文章を通して読者の想像力を刺激し、写真や映像のように人物や場面を脳内に浮かび上がらせること。

という点です。

伝えたいものをビジュアルでずばり見せられないからこそ、文章は「読んだ人の心にイメージを広げる」ための手段=描写を得意としているのです。

魅力的な描写のために

見たもの・伝えたいものを何もかも文章で説明するのではなく、読者に訴えかけたいポイントを絞ることがここでは大切です。

私はこれをよく、カメラのピントを合わせることに例えます。

カメラで写真を撮るとき、皆さんはまずどうしますか?

カフェでケーキの写真を撮る場合、とりあえずケーキが綺麗に映る角度を探しますよね。間違ってもショートケーキを苺が写らない角度で撮ったり、ミルクレープを断面が写らない角度で撮ったりしないでしょう。テーブルがおしぼりや紙ナプキンで散らかっていたら、片付けようと思いますよね。

他にも、友達と京都旅行に行ったら、名所で写真を撮りたいと思いますよね。そのへんの交差点で記念撮影したりしないし、せっかく友達と撮っているのに、わざわざ見知らぬ誰かにピントを合わせたりもしないでしょう。

描写のコツは、このカメラのピントを合わせる感覚にとても近いと私は思っています。

例えば、

「私の顔も写す!友達の顔も写す!」
「お気に入りのアクセサリーも写す!」
「清水寺も大迫力で写す!」
「綺麗な紅葉と、あとついでに青空も写す!」
「観光客がいっぱいいる様子も写す!」

こんな風に欲張ると、結局何を撮りたかったのかわからない写真になってしまうのです。「一番写真に撮っておきたいのはコレ!」とポイントを絞ることが大切ですよね。

これから描写する文章から、何を読者に感じてほしいか。どうすれば読者にその「何か」を感じてもらえるか。自分の描写のピントをどこに合わせるか。描写の出来はこれにかかっています。

情景の描写が上手になりたいと思う人は、試しに写真を撮ってみるといいかも。


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小説家。青春小説やスポーツ小説をよく書きます。2015年松本清張賞・小学館文庫小説賞受賞。『タスキメシ』『拝啓、本が売れません』『風に恋う』『競歩王』など。詳しくは公式サイトへ▶http://nukaga-mio.work/

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