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作曲TIPS: プチ複調はエモいぞ

複調という用語をご存知だろうか?
これは「異なる調の和音を組み合わせる」技法である。
近代クラシック音楽以降より顕著に現れた技法であり、有名な例としてはストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」という曲がある。(動画0:14の和音)

ペトリューシュカの狂おしい恋慕を表現するこのエモ言われぬ和音は、CメジャーとF#メジャーの和音を組み合わせて出来上がる。思いの外それは、単純な音のぶつけ合いとは違う新しい彩りを感じることだろう。まるで単純にCとF#の音をぶつけた響きが、メジャーの和音の房を実らせたかのように。

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さて、次に全然違う曲Perfumeのレーザービームという曲を聞いていただきたい。全然違う曲であるが、これも独特の「複調」がある。
0:55からのAメロのメロディ(「♪実る果実が」)に注目していただきたい。

この「♪実る果実が」のメロディは、ちょっとだけ「複調」のような面白い特徴がある。

メロディは一見するとGマイナー(ト短調)のようなメロディである。ソから始まりソで終わる。

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しかしこの曲で使われてるコードは、Cm G7sus4 というCマイナー(ハ短調)のような進行なのだ。

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これによりまるでリングモジュレートしたかのような、変調したような響きをメロディとして組み込むことができており、Aメロの物語の始まりらしい、仮定で歌ってるような感じが表現されるのである。

といっても、これは複調と呼べるほどのものじゃないかもしれない。最初に述べたストラヴィンスキーのような、それほど異質な響きがしないからだ。
しかしながら、歌謡曲の場合は調のズレは結構大きな効果を呼ぶと考えることができる。なぜならばどの音に重点をおくのか、というのも歌いやすさにおいては重要なので、「ベースがドなのに、歌がソに重点を置く曲」という不思議な響きが演奏の上で成立するのである。まるで5度重ねたシンセサイザーのような浮遊感をメロディで実現するということである。

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このプチ複調を用いるのはそれほど難しくない。今まで知らなかったとしても、1フレーズから実践して自分のものにすることで新しいメロディのルートを見つける手がかりとなるであろう。

例題として次のようなメロディを考えてみる。

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Aマイナーのメロディだが、Am-E-Am-Eのとてもシンプルで基本的な進行で作っている。「レーザービーム」も同様だが単純なコードほど効果が高いといえる。

あとはこのメロディのコードだけ、キーをずらして弾いてみる、ただそれだけである。

このメロディの場合、FメジャーやDマイナーだと効果が良いであろう。

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以下実践した音源である。



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