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自転車に乗っても骨は強くならない?|自転車と骨密度の関係

以前、自転車骨量(骨の密度)に関する面白い番組をやっていた。

それは「NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク

番組は2017年秋から2018年春にかけて7回に分けて放送。

司会はタモリ、山中伸弥と豪華な顔ぶれだった。

今回、取り上げるのは第3回放送の「骨が出す! 最高の若返り物質」。

この番組は私にとって非常に興味深いものだった。

なぜなら自転車と骨との関係性に前々から興味を持っていたからだ。

10代、20代の頃の私の移動手段といえばもっぱら自転車。

その為、ふくらはぎを中心に筋力は同年代に比べてあったと思う。

しかし、32歳の時、椎間板ヘルニアになって歩けなくなった。

その時、あれだけ自転車に乗って筋力をつけていたのに骨はしっかりしていなかったのかと何度も疑問に思ったものだ。

まず結論から先に言っておいた方が良いだろう。

番組では、自転車に乗ったからと言って骨量が増えることはないという結論だった。

逆に長時間、(他の運動をせずに)自転車だけにに乗り続けると骨量を下げる可能性もあるそうだ。

その詳細をお伝えしていきたい。

骨量とは?

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本題に入る前に今回のキーワード「骨量」について説明しておきたい。

骨量とは骨の密度のこと。

骨量が下がると次のようなことが起こりやすくなる。

・骨の内部がスカスカになり骨折しやすくなる
・若さを生み出す物質が少なくなり、老化が加速する。


高齢者の場合、骨折をきっかけに急激に老化が進みそのまま死に至る割合も高いそうだ。

そう考えると骨量は腰痛の人、自転車に乗る人、高齢者と多くの人にとって無視できないテーマとなるわけだ。

自転車選手を襲った悲劇

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それでは今回のお題「自転車と骨量の関係性」へ。

番組内ではある一人の元自転車選手にスポットを当てていた。

その人物の名はブレイク・コールドウェル(取材当時33歳)。

コールドウェルは7歳から本格的に自転車競技を始め、アメリカを代表する自転車選手になった。

しかし、キャリアの絶頂期に悲劇が襲う。

骨に異常が見つかったのだ。

それを機に彼は現役を引退することになる。

骨に異常が見つかった発端は、日常生活での出来事だった。

ある日、友人の家に自転車で向かっていたコールドウェル。

濡れた道で自転車を滑らせ転倒。

その後、体にかなりの激痛が走る。

そのまま病院へ行くことに。

病院では、太ももの付け根部分である大腿骨近位部骨折と診断される。

さらに詳しく検査したところ、興味深いデータが出ることになる。

当時、25歳でアメリカの自転車選手としてトップレベルにいた彼の骨量は、なんと80歳レベルだったのだ。

つまり、骨量が低く、骨の内部はスカスカで骨折しやすい状態だったのだ。

骨量の研究

番組ではコールドウェルの骨量が下がった原因を探る為、ある人物の元へ。

その人物とは骨量に詳しいミズーリ大学准教授パメラ・ヒントン博士。

ヒントン博士の見解はこうだった。

骨量が下がった原因に自転車が大きく関係する。

コールドウェルの場合、幼少期からずっと自転車に乗り続けていた。

無駄な体重がつかないようにランニングなど他の運動を控えてきたのも骨量を下げる大きな要因になったようだ。

つまりは、この偏った運動習慣が骨に異常をもたらしていたのだ。

ランニングと骨量

ヒントン博士は、一般の人を対象に運動習慣によって骨量に違いがあるか調査を行うことに。

その結果は下記の通り。

・週6時間以上ランニングをしている人 → 骨量が低い人は全体の19%
・自転車に長時間乗っている人 → 骨量が低い人は全体の63%



何と自転車に乗っている人はランニングをしている人と比較し、3倍以上も骨量が低い人が多かったのだ。

なぜ自転車に乗る人は骨量が低いのか?

なぜ自転車に長時間乗っている人たちの骨量は低いのか?

その理由をヒントン博士は骨に対する衝撃がないからだと結論づけた。

骨は衝撃を感知すると、骨の量を増やすもの。

よって、骨に衝撃がない自転車は骨量を増やさないのだ。

逆に、骨に衝撃のあるランニングは骨量が高くなる。

それを実証するためにヒントン博士は、ある実験を行う。

実際に行なった実験↓

・骨量が低い人を対象にジャンプ運動を開始
・一日30分を週3回。これを一年間続ける


そして、この実験は驚くべき結果を残すことになる。

なんと被験者19人のうち18人もの骨量がアップしたのだ。

まとめ

以上のことをまとめるとこうなる。

骨に衝撃が加わると骨量が増える

よって、骨量に不安がある方はジョギングなど骨に衝撃を加えるエクササイズがお勧めということになる。

更には、骨量が高いと若さを保つ秘訣にもなる。

つまりは骨に適度な衝撃を与えることで健康と若さを保つことができるわけだ。

最後に付け加えておきたいのは、番組内で山中教授が言っていたのだが、自転車にももちろん良い効果はたくさんあるということだ。

具体的に言えば、自転車には心肺機能アップ、メタボ予防、筋力アップなどの効果がある。

しかし、骨を刺激するという意味では自転車に効果はない

よって、自転車に長時間乗って他の運動(骨に衝撃を加えるもの)をしていない人は、意識的にジョギングやジャンプなど他の運動を取り入れた方が良いだろう。



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