《第一巻》侍従と女官 14 ふじはらの物語り 原本
お上は、更衣が一体どのようにその精神を涵養したのか、非常に興味深く思われて、その由(よし)をお訊ねになった。
更衣の申しようはこうである。
“元々陸奥(むつ)にいる頃、父が空いた時間を見つけては、兄に漢籍の素読やら自己流の解釈を指導していたのを、皆が一つの部屋にいる中で自然に吸収した側面がありつつ、京(みやこ)に上がってから、ひょんなことで弟のために父がつけた家庭教師である、仙人のように歳を取った先生の教導を結局皆で受けることになって云々。さらに、自分なりに思いを深めたの