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沖縄の「テーゲー精神」がおうちごはんにもたらす効果

先日テレビ番組「秘密のケンミンshow」を見ていると、沖縄の「テーゲーグルメ」というのが特集で取り上げられていました。

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その土地だけで行われている行事・習慣、県民性を紹介するこの番組は10年以上続く人気番組。

正直「少し盛ってない?」と感じる節もあるけれど、この番組で放送された内容が職場や交流の場での話のネタになることも度々あったりして、やはり人気番組なんだなぁと感じます。
同じ日本でも地域によって異なる文化を知ることは、大人になっても新たな発見があったりして楽しいものです。

それで、先日の「テーゲーグルメ特集」
(「テーゲー」というのは沖縄の方言で「いいかげんに、適当に」という意味です)

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ご飯、ささみ フライをポリ袋につめて握る「オニササ」など、簡単にできるレシピが紹介されていました。

この「いいかげん」精神が、今のおうちごはんに必要なエッセンスなのではないか…と強く感じています。その理由を書いてみようと思います。

今年のおうちごはんに「テーゲー精神」が大事な理由は3つ

理由1:「チャンプルー」の調理法で1週間過ごせる
理由2:一品減らしても栄養バランスをキープできる
理由3:使う食材は安く、すぐに手に入るもの

理由1:「チャンプルー」の調理法で1週間過ごせる

沖縄の家庭料理の定番と言えば「チャンプルー」
チャンプルーとは沖縄方言で「混ぜこぜにしたもの」という意味で、野菜や豆腐に限らず、さまざまな材料を一緒にして炒め合わせて作ります。

チャンプルーには、この食材を使わなければならない。という明確なルールはありません。しかし、たった一つだけ法則があります。それは・・

チャンプルー = 野菜 + 動物性たんぱく質 +植物性たんぱく質+(麺)

例えば、ゴーヤーチャンプルーの場合
ゴーヤー・もやし + 卵・豚肉 + 豆腐

フーチャンプルーの場合
ニラ・にんじん ・もやし + 卵 + くるまふ

動物性たんぱく質だけというパターンも一部あります。
例えば、ソーメン チャンプルー
ニラ・にんじん + ツナ +そうめん

こうすることで何が良いかというと、一品でたんぱく質と野菜の栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維)を補うことができるんです。

たんぱく質は筋肉、内臓、肌、髪の毛など体のあらゆる部分を作る栄養素です。ビタミン、ミネラルはそのほかの栄養素を体内でうまく使う円滑材としての役割や、体の機能を保つ役割をします。

チャンプルーは具材を変え、味付けを変え、油を変えることでアレンジ自在。メニューに悩む主夫/主婦の強い味方になるのではないでしょうか。
なんなら一週間チャンプルーでも過ごせてしまいます。これは例です。

月曜日:ゴーヤーチャンプルー
火曜日:豚肉とにらの豆腐チャンプルー
水曜日:韓国風 ピリ辛豆腐チャンプルー
木曜日:大根とツナのあっさりチャンプルー
金曜日:ささみとトマトのイタリアン風チャンプルー
土曜日:ソーメン チャンプルー

理由2:一品減らしても栄養バランスをキープできる

本来”たんぱく質と野菜の栄養素”をとると考えると、定食でいうと主菜と副菜の2品を揃える必要があったりするのですが、チャンプルーだと一品でそれを賄えるというのが魅力です。

一見、チャンプルーって野菜炒めと同じ?と思われがちですが、栄養価は全然違っています。

一般的な野菜炒め(上)、ゴーヤーチャンプルー(下)の栄養価を比べてみます。

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主菜並にたんぱく質やビタミンB12を含んでいます。
成人だと、これだけだと1食分のたんぱく質量には足りていないので、豆腐や卵を落とした汁物があれば十分です。

チャンプルーだけではありません。
琉球料理のには「具沢山の汁物」というものがあります。

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先日作ったソーキ汁定食

例えばソーキ汁。
ゴロっとした豚肉、大根(もしくは冬瓜)、昆布が入ったごちそうスープです。

他にも、沖縄では味噌汁やすまし汁を具沢山にする文化があります。そこにも一定の法則があります。

沖縄の汁物 = 動物性or植物性たんぱく質 + 野菜 + 海藻

こうすることで満腹感がアップするだけでなく、汁物、主菜、副菜としての役割をはたすことができるメリットがあります。

よくレシピを参考にさせていただいる素敵なスープ作家の有賀薫先生や、尊敬する料理研究家の土井善晴先生の「一汁一菜」の考えにも、このエッセンスと通ずるところがあると思います。

わざわざソーキ汁を作る必要はありません。
この法則さえ踏まえれば、良いのです。
卵、乾燥わかめ、大根の葉っぱや使いかけの根菜などハンパ野菜があれば十分です。
変わり種として、ちくわ、さばの水煮缶、豆乳などもおすすめです。

普段の味噌汁で野菜だけならば、乾燥わかめをパラパラと加えて、卵を落とすだけで完成。

ちなみに、沖縄の昔ながらの定食屋さんでは、こうした具沢山の汁物とご飯だけの「味噌汁定食(みそじるていしょく)」という定番メニューがあります。

こうして、チャンプルーや具沢山の汁物にすることで、一品減らしても栄養バランスが崩れにくくなります。ご飯+1〜2品で、定食に近い栄養素をとることができるためです。

普段の自炊で一品減らすことができると、
メニューを考える時間、
料理をして盛り付ける時間、
調理器具や洗い物をする時間を、短縮することができます。
何より「今日はおかずはチャンプルーだけでいいか!」という気楽さが、心のゆとりを生み出すことにつながります。

理由3:使う食材は安く、すぐに手に入るもの

「チャンプルー」「具沢山の汁物」は、懐が広いので、どんな食材でも基本OKです。平日のお弁当作りで余った魚やお肉、使いきれずに余った野菜も有効活用できます。

普段、食料品のお買い物はどのタイミングでいきますか?
聞くと、1週間分の献立をある程度決めた上で週に1回まとめ買いをするのが節約になって良いそうです。

「献立はてーげー」な場合は、そこまで計画的でなく、行き当たりばったりで良いのではないかと思います。お肉や加工食品は安い時にまとめて買うのは有効ですが、野菜や魚などの生鮮食品は週2〜3回に分けて食糧を調達するのです。それらは鮮度が命なので、日に日においしさや栄養価が損なわれてしまうためです。(週に1回しか行けないという方は、買ってきたらすぐにカットして冷凍するのがおすすめです)

行き当たりばったりで目指す食材に出会えなくても、いざとなればチャンプルーがあるので、なんとかなります。

売り場にいくと、思いもしない出会いがあるものです。

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昔から沖縄では家庭菜園で葉野菜や島野菜、ハーブを育てるのが一般的でした。年中温暖なため、いろんな種類の野菜を時期をずらして常に収穫できるのです。ベランダに出ると食材が調達できるので、買い物にいく必要がなかったのは羨ましい・・(もちろん育てる手間はあるのですが)

近くにあるスーパーや八百屋さんを家庭菜園のように。
なるべくその時に旬のもの(安くなっているもの)を手に取ると、旬のものは栄養価が高い上に経済的です。

完璧よりも「いいかげん」が大切で奥深い

なんとなく、まだまだ外食をするのも気が引ける時期になってきました。
そうなると普段の食の場所は「おうちが基本」になります。デリバリーを活用するのも有効ではあるのですが、重なると出費や栄養バランスが気になるところです。

ブログやSNSを見回すと、素晴らしいおうちごはんの数々。美味しそう、品数が多い、映える。もちろんそれができるのは素敵なことなのですが、それにこだわる必要はないと思います。

私はおうちごはん は「てーげー」つまり「いいかげん」で良いと思います。その方が心のゆとりができて純粋に料理を楽しめるし、毎日嫌にならずに続けることができています。

「いいかげん」って奥深くて。気負わないからこそ、力を発揮できたりするものです。適当に作った料理に、家族がほっとしている姿を見ると嬉しくなrます。

それに料理をしながら、仕事のアイディアが降りてきたり、その日に引っかかっていたことの答えが見つかったりすることもあります。
一緒に、いいかげんな料理でおうちごはんを楽しみましょうね。





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