4話 写真の謎

人はいつ死ぬのだろうか。
人に忘れられた時、なんて言う人もいた。

死んだ後、魂はどこにいるのだろうか。
お星様になって見守っているかもしれない。

人が人たらしめるものは、生きている証拠は
何なのだろうか。

朝日が部屋に入る。オンタイマーにしたテレビがつき、アナウンサーが今日の天気を知らせる。今日は快晴、夜には星が綺麗に見えるそう
だ。占いは1位。ラッキーアイテムは目薬、いつも持ってる。デートにはもってこいの日だが。
まだ寝ていたい。なんて悠長にしている暇はない。集合時間まで30分を切っていた。
やばい、この間の今日だ。やばい。

時間ちょうどに集合場所についた。服は何となくの組み合わせ、髪はセットなし。なんていうと女子には怒られてしまうのだろう。かくして目の前の美女も新作のオシャレな服、巻いてセットした髪、ナチュラルながらも整った化粧、そしていつものいい匂い。
「今日はちゃんと来たんだね」
偉くニコニコしている、怖い。
「お弁当作ってきたから今日はとことん付き合ってもらうよ」
今日はピクニック。写真チャンスがいくつもあるし、何より天気がいい。今日こそは可愛い彼女の写真を撮る。

気づいたら夕方だった。しまった、普通にデートが楽しすぎて忘れてしまっていた。写真を写真を撮らなければ。
公園の後、海岸にきた。夕日がとてもきれいだった。すごくすごく綺麗でしばらくの間、見とれてしまった。誰かといることも忘れて、今は現実じゃない別の場所にいるみたいな。
「ちょっと?ここは夕日より君が綺麗だ。とかいうところじゃないの?」
「アカリは夕日じゃなくて太陽だよ。」
「夕日も太陽だよ?」
「なんか太陽ってみんなに降り注ぐ感じがするけど、夕日は誰かだけを照らしてるみたいな気がするんだ。だからアカリは太陽。」
ここまで言って気づいた。とても恥ずかしいことを言ってることに。
「じゃあ夕日はタクかな?顔が夕日に負けず劣らずな赤さだよ」そう言うと彼女は笑いだした。人目も気にせず、それは明るく。
「それで?褒め上げて何が聞きたかったのかな?」「え?」
チャンスだ。ここはそのまま伝えると終わりだ。今しかない。今しかなかった。

LUCKYにて。久々に集まりが開かれた。俺とサチと、そしてタツ。彼女とは別れた後にこの会に参加した。俺が着くと開口一番に幹事が愚痴をこぼした。
「今日のバイトめちゃくちゃ忙しかったんだぞ。こんな日にデートなんかしやがって」
今日の幹事はタツだ。昨日の今日で普通に話しかけてくる。優しいやつだ。でも俺は俺が許せなくて、下を向いた。
サチが何かを察したのだろう。そして俺がタツにまだ何も伝えてないのに気づいたのだろう。
スマホを机に上に置いてタツに見せた。
隠していたことをタツに打ち明けられているのに、別になんとも思わず眺めていた。
「怒んないの?」サチが尋ねてきた。それを聞いたタツがすかさず言った。
「この写真で昨日むしゃくしゃしてたのか?
もしかして。ってかこれなに?」
「ってか今日写真撮ったの?」
サチの興味で話がズレた気がしたので、俺が説明することにした。
「まず写真は夕日の見える場所でアカリがチャンスをくれたのに言い出せなかった。」
「え?なんで?」
ちんぷんかんぷんなタツを他所に、サチが攻めてくる。
「もし俺らの過程が当たってたとして、そういう状況をどこで見た?」
「ドラマとか?」
「その結末って大体どんな?」
「悔いがなくなって消えるみたいな」
「なんか消えちゃう気がしてアカリが。ゆうひと一緒に消えちゃう気がして。」
ここでやっとタツがつっこむ。
「消える?アカリさんが?は?」
次はタツに説明する番だ。
「この写真の人、見覚えない?」
「あ!アカリさんの浮気相手!あ、いやごめん。浮気に見えた人。この人が関係あんの?」
「この写真。この間の写真だよ。」
「は?え?うーん」
「この前にいるはずの人がいないんだよ。」
「え?」
ここで少しタツも状況に追いついてきた。
「でもさ、たまたま写真撮る時に席外したんじゃ」
そうゆうと思っていたのか、サチが他の写真を持ってきた。極秘ミッションで取ってきてもらってたものだ。
つまり、アカリは写真に写らない。
ゆえに亡くなっているのでは?と予想した。

「ここはとても賑やかですね」
珍しいLUCKYの客が言った。
すいませんと口々にしたが嫌味ではなく、明るいいいところだと言ってくださった。また来ますと残して最後の客が出ていくと俺らも追い出された。

外に出て深く息を吸う。
この時はまだ知るはずもなかった。
星は輝いていなくてもそこにあることを。
月が近すぎて星になれないことも。

今日はとても星が綺麗だ。

to be continued


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