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「天国と地獄」

勝てば天国、負ければ地獄。

勝負の世界の常である。
しかしその勝負の世界(試合)に立つことが
できない当事者が必ず存在する。
そう、メンバー外選手達である。
もちろん当事者ではあるのだが、メンバー外選手はご当地で、肉体的、そして感情的なインパクトは直接感じることはできず、アウェーでは画面から、ホームではスタンドからそれをみて、あえてそう表現するが間接的に「感じる」こととなる。

昨日はアウェー移動当日、つまりメンバー発表の日である。
この日は人それぞれ、まさしく、文字通り様々な心の様相となる。
メンバー入りを想定して、チーム指定の移動着で直接出勤をする者と、控え目に、もしくは、立ち位置を理解して移動着、遠征バックは車の中において、私服で出勤する者。
自分は11年間の現役生活の中では、メンバー外になることの方が多かったので、私服で出勤する選手の気持ちが痛いほどわかる。当落線上の状況ではメンバー発表の瞬間には祈りにも似た心境となる。
メンバー入りと、メンバー外は天と地の違いがあるのだ。1週間に1度、最近のスケジュール
では3日、4日に1度、選手はまずはメンバー入りという通信簿を受け取ることとなる。
次にメンバー入りした者は、勝負の場においての、パフォーマンスと結果という通信簿を受け取る。
サッカー選手という仕事はそういう仕事だ。
いつもわかりやすいジャッジ、評価が短いスパンの中で明確に下され続ける。
選手を続けるということはそれがずっと続いていくのだ。耐えられなければ、辞めるしかない。

チームメイトであるライバルに勝てなければ、敵と戦う場には辿り着けない。
チームメイトは味方であるが、超えなければいけない競争相手でもある。時に感情を剥き出しながら、時に感情を抑えながら、TPOをわきまえて振る舞っていくことになる。
メンバーから外れて、悔しさを表現できなければ、またメンバーに入るだけで、満足している様子が伺えれば、「この選手は分かっていない」と評価が下る。他者評価と、自己評価(自己認識)の不一致は機会の喪失に繋がってしまう。

先程書いた通り、プロサッカー選手は短いスパンで評価が下され続けて気持ちの浮き沈みが多くある職業だ。
ダメだった瞬間からすぐに心も、身体も立て直し、工夫を凝らし続けないといけない。
現役から離れてしまえばこのヒリヒリするような毎日は自ずと少なくなる。
いつも思う。選手達、今あるこの時間に、すべてを注ぎ込んでほしいと。
今回「地」にいるメンバーも次の試合では勝利の立役者になっているかもしれない。メンバー入りを果たした選手達には是非高いところからの景色を味わってほしいし、味合わせてほしい。
頑張ろう!
高く、高く、高いところに登っていると信じて!


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