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海岸で眠る江ノ電?由比ヶ浜のタンコロ

異次元空間は、世界のヘンテコを追う同人誌「異次元空間」のオンライン版で、風変わりな場所と構造物の紹介がメインです。

江ノ島を経由して鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ島電鉄線・通称江ノ電は、映画・ドラマ・ゲームなどなど、数多くの作品に登場しており、神奈川・湘南を代表する景色の一部になっている。

そんな江ノ電で、現在自走可能な最古の車両は100形の108号車と呼ばれる車両だ。この108号車は極楽寺にある検車区に保存されており、一年に一度の「タンコロまつり」と呼ばれる工場公開でのみしか、その姿を見ることができない。

だが、実は108号車以外にも100形が1両保存されており、こちらはいつでも見ることができる。由比ヶ浜の公園にある100形の107号車だ。

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107号車(在籍:昭和6年~昭和55年)昭和初期に製造された新型車のうち、106形107号車として昭和6年にデビューしました。当時の江ノ電は、路面電車のイメージそのままで、1両(単車)だったことから『タンコロ』と愛称が付けられ、皆さまに可愛がっていただきました。同じ頃に製造された車両が2両編成に改造されたり廃車されるなか、この107号車は兄弟の108号車とともに、その最期の時まで1両での活躍を続けました。昭和55年の引退後57年に鎌倉市へ寄贈され、現在は鎌倉海浜公園(由比ヶ浜地区)に保存、展示されています。
(江ノ電ウェブサイトより)

海岸そばの広い公園の隅に、人知れず展示されているのが、どことなくシュールではないだろうか。今回はそんなこじつけにより、異次元空間でこのタンコロを紹介する。

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周囲は完全にフェンスで囲まれ、乗ったりすることはできない。写真の撮影もフェンスがあるため制限されてしまう。

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がんばって隙間から撮影した写真がこちら。前照灯の上にあるのは折りたたまれた集電用のポールである。窓下にある3つの突起は、行き先を示す板を取り付けるためのフックだ。

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一応案内板もあるものの、行先方向板について説明している図の部分は劣化してしまい判別することができない。

近年整備された鎌倉の旧大町電停や、江ノ島のたもと、鎌倉高校前駅前あたりに移設すれば、たちまち人気のフォトスポットになりそうではあるが、こうして忘れ去られてしまったかのように放置されているのもなかなか味があるものだ。廃車されても保存され、愛される車両は幸運である。

※取材は2011年のため現在は状況が変化している可能性があります。

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