自転車をどこに置く?

町のカケラの中で、自転車は大きなファクターになっている。自転車には家への帰巣性があり、家を離れたとしても必ずまた戻ってくる。ウチとヨソをつなぐ役割を果たすこのカケラが作り出すレイアウトは、やはり端正だ。

町に置いてある自転車の所属先は、出掛け先と帰巣先(家)とに分けられる。そのどちらにおいても、自転車はヒトの営みによって配置されている。そこに配置されるには必然性があって、そこにあらざるを得ない根拠がある。人の営みが生み出しているカケラのレイアウトは、オプションがあり得ないからこそ、一時性と絶対性を併せ持っている。

町の景色を構成するカケラには、動くものと不動のものがあり、どうしてか動くものが主たるカケラとなり、不動のものが背景になる傾向がある。
この傾向は、おそらく動くものの持つ《物語性》に関係があるのだろう。自転車はその中でもヒトとともに移動するため物語性が強い。様々な属性をもつ自転車という町のカケラは、常に町の物語を編んでいる。物語を持ち込み、持ち出すツールとして自転車は機能しているのだ。

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