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シビレの伴う首の疾患のお話

この投稿では、首の痛みとシビレが出ている方に向けた内容となっております。
これから紹介する症例は似ているようで違う疾患となりますが、解剖学からの視点と画像所見からの視点で解説していきたいと思います。

首の疾患でシビレが出現する疾患は大きく分けて二つあります。
その代表格が「頚椎椎間板ヘルニア」です。「ヘルニア」と聞くと一般の方でもよく聞かれるのではないでしょうか??
中には、【ヘルニアって腰に出るんじゃないの?】と、思われる方もいらっしゃると思いますが、首の部分でもヘルニアが出現します。

もう一つは、「頚椎症」と言う疾患です。頚椎症とは?なんぞや??
こちらは、一般の方には馴染みのないワードかなと思われますがこの疾患は実はシビレの伴わないものもあるので、後述で記載いたします。


頚椎ヘルニアと頚椎症の違い



「頚椎ヘルニア」と「頚椎症」は、首に出現する疼痛と・それに伴うシビレ(主に上肢にみられる)の症状が類似してます。
双方の大きな違いは、前者は、頚椎間にある「椎間板」が神経を圧迫し症状を引き起こします。

頚椎ヘルニアの病態


後者の「頚椎症」は頚椎の椎間板の変性により、頚椎に骨棘が出現し、その骨棘が神経や脊髄を圧迫することで上記症状を引き起こしていると言われています。

頚椎症の病態


尚、この頚椎症は生じた骨棘が「神経根」あるいは「脊髄」を刺激するかで「頚椎症性神経根症」・「頚椎症性脊髄症」と違う呼び名の症例となります。


シビレの出る首の疾患

・頚椎ヘルニア → 頚椎間にある「椎間板」が神経を圧迫し症状を
          引き起こす。(シビレは上肢に出現)

・頚椎症    → 頚椎に「骨棘」が出現し、その骨棘が神経や脊髄を
          圧迫し症状を引き起こす。 

          ・骨棘が「神経根」を圧迫している場合、
          【頚椎症性神経根症】(シビレは上肢に出現)

          ・骨棘が「脊髄」を圧迫している場合、
          【頚椎症性脊髄症】(シビレは上・下肢に出現)


頚椎ヘルニアとは


次に頚椎ヘルニア病態から固有症状をの解説していきたいと思います。
前述で記載した通り、本症例は頚椎間にある「椎間板」が神経を圧迫することで起こりますが、この椎間板は頚椎の間に存在し、上下の頚椎を支えるクッションの働きを持っています。
椎間板が飛び出してくる原因の一つとして、老化現象による機能の低下が挙げられます。
頚椎の間にある椎間板は常に圧力のかかる状態にあるので、組織の中で最も早く老化が起こるとされます。早ければ20代~50代と幅広い年齢層で起こる症例。
可動範囲が大きい第5/6頸椎間、第6/7頸椎間に多く起きると言われていますが障害する頚椎間により様々な症状が出現します。


・頚椎ヘルニアの症状



主症状は頸部から上腕前腕にかけてだるさ、痛み、可動域制限、しびれ
などの数々の症状が出現。
重症例では握力の低下や、上肢筋の筋萎縮などが見られ日常生活での制限が強くなってきます。病変レベルと症状は下記にまとめました。


C4/5 障害神経根   C5 
   痛み・しびれ  後頚部~肩甲部
   知覚障害    上腕外側
   筋力低下    三角筋・上腕二頭筋

C5/6 障害神経根   C6
   痛み・しびれ  上肢・母指、示指
   知覚障害    前腕外側
   筋力低下    上腕二頭筋・前腕伸筋

C6/7  障害神経根   C7
    痛み・しびれ  前腕・母指、示指、中指
    知覚障害    中指
    筋力低下    上腕三頭筋・前腕屈筋・四指伸筋

C6/7  障害神経根   C7
    痛み・しびれ  前腕・母指、示指、中指
    知覚障害    中指
    筋力低下    上腕三頭筋・前腕屈筋・四指伸筋

C7/Th1   障害神経根   C8
         痛み・しびれ  環指・小指
         知覚障害    前腕内側
         筋力低下    四指屈筋・手の固有筋群


・頚椎ヘルニアの治療



当院で行う「頚椎ヘルニア」の治療は、まず日常生活動作の確保として頚部の痛みと可動域の改善を行っていきます。
主に立位時・座位でのカラダの重心の位置や姿勢を評価を行い、現状での運動パターンから徒手アプローチを行う部分を選択します。
頚部の可動域制限を改善することにより、ヘルニア部分の接触が減る・
または少なくなります。
上記のように、ヘルニア部分の神経刺激が少なくなればしびれや筋力低下の症状は抑制されていきます。
筋力低下が軽度の場合は保存療法でのケアで症状の抑制・または改善が可能ですが、重症例になると日常生活の制限が著しいため手術をおすすめします。
しびれや筋力低下が進行し、筋萎縮が出現している場合は専門医へ一度相談しましょう。重症例の場合、当院では信頼のできる医療機関へご紹介させていただきます。



頚椎症とは


本症例は、背骨をつなぎ、クッションの役割をしている椎間板の変性で(老化現象)ひびが入ったり、徐々に潰れてきて頚部に痛みがでる疾患です。

椎間板の変性は20歳過ぎから始まると言われていて、変性が軽度の場合は首・肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状が出ますが、手のしびれはありません。(局所症状)
※中年以降ではX線での頚椎症性変化はほとんどの人に見られます。

症状の進行に伴い頚椎の椎体骨の骨棘(とげ状の突起)が生じたり、その他に靭帯(じんたい)の石灰化・骨化などによって、脊髄や神経が圧迫されます。

中年の男性のXP画像


・頚椎症の分類



頚椎症は神経症状が伴う2つの疾患があります。

①頚椎症性神経根症
脊髄から分かれて上肢へ行く神経が圧迫されたり刺激されたりして起こる疾患で、主に片方の首~肩~腕~手の痛み・しびれが生じ、上肢の筋力低下や感覚の障害が生じることもあります。(主に片側性)

前述記載の病変レベルと症状は椎間板ヘルニアに準じています。


頚椎症性脊髄症
頚椎の脊柱管(骨の孔)の中にある脊髄が圧迫されて起こる疾患で両方の手足がしびれたり、動きが悪くなったりします。
ボタンのかけ外し・お箸の使用・字を書くことなどが難しくなったり、重症例では歩行で脚がもつれるような感じや階段で手すりを持つようになり歩行困難という症状が出ます。

神経根症との違いは症状が両側性かつ重症化すると下肢のしびれや筋力低下も出現する点で、日常生活で支障をきたす点が多いことです。


・頚椎症の治療



当院で行う「頚椎症」の治療は、まず日常生活動作の確保として頚部の痛みと可動域の改善を行っていきます。
主に立位時・座位でのカラダの重心の位置や姿勢を評価を行い、現状での運動パターンから徒手アプローチを行う部分を選択します。

本症例が進行した神経根症や脊髄症のでは、筋力低下が軽度の場合は保存療法でのケアで症状の抑制・または改善が可能です。
重症例になると日常生活の制限が著しいため手術をおすすめします。

また、しびれや筋力低下が進行し、筋萎縮が出現している場合は専門医へ一度相談しましょう。重症例の場合、当院では信頼のできる医療機関へご紹介させていただきます。


当院では「頚椎ヘルニア」や「頚椎症」の局所的な症状をクライアント様のカラダ全身を診て、日常姿勢の修正から症状の改善を目指しております。
そのために、必要な運動や日常生活でのカラダの使い方などをアドバイスいたします。
ご来院の際は、当院独自の治療メゾット「施術×トレーニング」でお身体の変化を実感してくださいませ♪




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