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膝のスポーツ障害のお話

こちらでは、成長期や学生アスリートにおこる膝のスポーツ障害について解説していきたいと思います。


オスグッド・シュラッター病


本症例は、アメリカの整形外科医オスグッド氏とスイスの外科医シュラッター氏が、この症例を学会に報告したことから名づけられました。
オスグッドはスポーツをしている小学校高学年~中学生の男児に多い、いわゆる「成長痛」 と言われるものになります。
特に走る、ジャンプするといったサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、 膝への負担が大きいスポーツ種目で多くみられ、男女比では男の子に多いのが特徴です。
膝下の骨の隆起(脛骨粗面)に痛みを訴え、その部分に太ももの前側にある大きな筋肉(大腿四頭筋)がつく部分であり、柔軟性低下による影響で骨を引っ張った結果痛みに繋がると考えられます。 程度にもよりますが、脛骨粗面の部分が大きく隆起してくるのが特徴で、そのほかにも膝の曲げ伸ばしに制限が出現し体育座りができず、階段が上がれないといった生活に支障をきたすこともあります。


・オスグッドの発生要因


オスグッドの発生機序は 太ももの前にある大腿四頭筋の使いすぎや柔軟性の低下をきっかけに症状が出るケースがほとんどだと考えられます。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝の曲げ伸ばしをするときに大きく関わる筋肉の一つです。
中でも、大腿直筋の繊維は股関節から下腿部の脛骨まで伸びる筋肉で本症例で最も症状に関与している筋肉です。

大腿四頭筋の構成筋

・オスグットの症状


大腿四頭筋は膝蓋骨(しつがいこつ)を経由して、痛みの部分である脛骨粗面に付着しています。
サッカーやバスケットボールなどのダッシュやジャンプで膝を伸ばす動きを 繰り返し行っていると、大腿四頭筋から靭帯部分に変わる膝蓋靱帯を介して腱が付着して いる脛骨粗面を強く引っ張られる状態が続き痛みや患部の変形が生じます。
重症例では、骨の一部に剥離がすることもあると言われております。

子どもの骨は、やわらかい骨から硬い骨へと成長する過程にあり、どうしても不安定な状態です。
また、太ももの骨(大腿骨)は成長期で一番骨の長さが急激に伸びるのに対して筋肉や腱の成長が追いつかず、アンバランスな筋骨格構造になっています。
そのような状態で過剰な運動による負荷が加わることで、膝の痛みが起こると考えられ、ほとんどの場合、成長が終わると痛みも自然に治まるケースがほとんどです。
しかし、無理をすると成長期が終わってからも痛みが残ることがあるので、休息と発症後は適切なケアが必要です。

大腿四頭筋の腱が脛骨粗面を引っ張ることで隆起してくる


・オスグッドの治療


当院での治療では、大腿四頭筋の柔軟性低下や拮抗筋の筋力不足を改善するために、運動療法を中心にアプローチを行っていきます。
患部の腫れや熱感、圧痛などが強い場合は、超音波治療器を使い患部の炎症を抑えていきます。

大腿四頭筋の柔軟性低下や拮抗筋(ハムストリングス)の筋力低下も見受けられる場合、大腿部の前後のバランスを考えると筋力強化を行います。
「相反抑制」と呼ばれる原理を利用することで痛みや動きの軽減につながります。
また、成長期の学生は痛みを我慢してまで続けて運動を行う子が大半になります。コミュニケーションをきちんととり、適切な休息、ストレッチなのでケアをすることで痛みの改善や予防につながります。



ランナーズ・ニー(腸脛靭帯炎)


成長期である学生の方や、趣味でランニングをされている方で走っている最中に膝の外側に痛みを感じる方はランナーズ・ニ―(腸脛靭帯炎)と呼ばれる疾患の可能性があります。

ランニングにより発生しやすい、痛みの代表格がランナーズ・ニー(腸脛靱帯炎)です。
陸上競技のランナーに多くみられ、走り過ぎによるオーバーユースで膝の外側にズキズキとした痛みを感じるのが特徴です。 特にランニングにおいて、下り坂を走るときは体重の 5 倍の負荷が膝関節にかかるとも 言われ痛みが増強すると言われています。


・ランナーズ・ニーの病態


腸脛靭帯炎は膝関節の外側を経由する際、大腿骨外側上顆との摩擦で生じる炎症症状のこと
です。
ランナーズ・ニーになる要因は、ランニングなどで膝の屈伸を繰り返すことによるオーバーユース(使いすぎ)のほか、柔軟性の低下や筋力の低下、ウォームアップ不足などが考えられます。
他にも外的要因では、硬い地面や下り坂の走行・硬いシューズなどの環境要因によって起こるとも指摘されています。


・ランナーズ・ニーの症状


初期症状で、ランニング中に痛みが出るものの、しばらく休むと治まる程度ですが、 次第に運動後も痛みを感じるようになり、悪化すると慢性化して日常生活にも支障をきたすので注意が必要です。
長距離の陸上競技以外にも、サイクリングやスキー、登山、バスケットボールなどでも発生すると言われています。
骨格的な問題で言うと、ランニングを始めたばかりの人で筋力が弱い人、筋肉の柔軟性が低下して硬くなっている人、そして特にO脚で体重が外側にかかりやすい人はなりやすいといわれています。


・ランナーズ・ニーの治療


当院での治療内容は 、ランナーズ・ニーになりやすい方の特徴でもある「太ももの外側の張り感」の改善や「お尻周り・太ももの裏の筋肉柔軟性」の確保を優先的に行っております。
上記を改善しても痛みが出る場合は、ランニング時のフォーム修正を提案します。「足先を外側に向けて走る・歩くクセ」がついてしまっている場合は、トレーニングなどでフォーム修正を行うことで痛みの軽減や再発防止に繋がります。
他にも、環境要因の見直しとして、道路などのアスファルトの上を走るのではなく、 グラウンドや芝生の上などの柔らかい地面の上で走ることで負担は軽減されます。 場所も選んで行うと良いかもしれません。



ジャンパーズニー(膝蓋靭帯炎)


ジャンパーズ・ニーは名前の通り、バレーボールやバスケットボールなどの ジャンプ動作にて痛みが出現しやすい疾患となります。
ジャンパーズ・ニーとオスグット病は同じ筋肉が原因で痛みが出るものですが大きな違いは、発症年齢が高く、成人男性のアスリートの方で見られる症例となっております。
その他に、オスグット病では主に「骨」の部分に痛みを訴えますが、ジャンパーズニーでは膝蓋骨と脛骨粗面の間にある窪みの「膝蓋靭帯部」に痛みを訴えることが特徴です。

・ジャンパーズ・ニーの特徴


同じ筋肉が原因なのに、なぜ痛みが出現する部位が違うのかというと、骨の成長の違いにあると考えられます。
「オスグッド病」では、骨が成熟しきっていないので、骨が柔らかいために脛骨粗面部にストレスがかかりやすいという理由があります。
ジャンパーズ・ニーでは成人のアスリートに多く、骨が成熟し硬化(硬くなっている状態)のため、骨ではなく靭帯部分に炎症が起きて痛みが出ると考えられています。

その他、膝蓋靭帯部分に痛みが出ているが、靭帯に炎症を起こしているわけではない事があります。
この場合、「脂肪体」という 脂肪の塊が炎症を起こしている場合があります。
正式名所を膝蓋下脂肪体とよび、膝蓋靭帯の中側には空間が存在しその隙間を埋め膝関節 の緩衝作用や、潤滑油的な運動補助の役割を果たすのが膝蓋下脂肪体です。

膝蓋下脂肪体炎は階段を降りる際(膝を伸ばした際)に痛みが生じ、曲げた際に痛みが和らぐといった特徴があります。逆に上記のジャンパーズ・ニーでは膝を曲げていく際に痛みが強くなり、伸ばしていくにつれて痛みが和らぐといった特徴があります。


・ジャンパーズ・ニーの治療

当院の治療では、大腿四頭筋(太ももの前側)の柔軟性確保を大前提に置き、運動は中止し安静の指導を行います。
痛みの軽減が確認できた後に、膝蓋下脂肪体脂肪体の動きの活性化を図るために直接的にアプローチを加え滑走性を高め、間接的に靭帯部分の負担を軽減させて痛み及び動きの 改善を行っていきます。

※痛みが続く場合は膝蓋下脂肪体の炎症、滑走性の低下も考えられるため、庇いながら運動を続けるのではなく、しっかりと痛みを取った後に運動することをお勧めいたします。



これら、3つの膝のスポーツ障害に対して、当院では痛みの軽減を中心に行っていきますが、必要に応じてランニングフォームの修正やジャンプのフォーム等の指導にて症状の軽減及び、再発防止を目指いきます。
症状によっては、スポーツを中止し安静期間を設ける場合があります。

なぜなら、運動時におけるエラー動作下でのオーバーユースによる受傷が多いからです。上記、3つ症例は一時的な痛みが軽減されると治療を終了してしまう方が多く、その後再発するケースが多い印象です。

当院では、一定の治療期間をしっかり設けて、患部の除痛・安定した筋力バランス獲得・エラー動作の修正を段階的に行い完治を目指してまいります。
ご来院の際は、当院独自の治療メゾット「施術×トレーニング」でお身体の変化を実感してくださいませ♪


当院の「膝のスポーツ障害」の独自治療メゾットの一部を公開♪


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