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辺境日記~構想された真実~

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「隠された真実を思索のサーチライトによって照らしだす」をテーマにした思弁的日記。タイトルは沖仲仕の哲学者ことエリック・ホッファー著作のオマージュです。
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2024年7月の記事一覧

なぜ意識高い系の若者は、大衆酒場のおっさんを超えられないのか

次から次へと自己啓発系の書籍や動画を渉猟し、意識だけは高く高くそびえたってチョモランマ化するも、せいぜい閉じた狭い界隈におけるグル的存在のセミナーに足を運ぶぐらいが関の山で、これといってそのぶち上がった意識を具現化させるようなことはしていない。 その当然の帰結として、1ミリも現実が動いておらず、決して安くはないお金と人生の貴重な時間を費やして、唯一得られたものはといえば、周囲の苦笑いぐらいのもの。 そういういわば自己啓発ジプシーの人っているじゃないですか。いわゆる意識高い

現代に蘇るソフィスト

名著『反社会学講座』で一世を風靡したパオロ・マッツァリーノさんの以下の記事が話題になっていたので、興味深く拝読しまして。 パオロさん、いいですよね。ユーモアをふんだんに盛り込むことで軽さをだしながらも、内容はちゃんと濃くて読み応えのある内容に仕上がっているという、軽さと重さの一見矛盾した要素を両立させることができる稀有な作家さんだと思います。 有名どころだと『ヤバい経済学』シリーズの著者で知られるスティーヴン・D・レヴィットとスティーヴン・J・ダブナーのダブルスティーヴン

外にはまだ正しい世界がある

アウシュビッツ強制収容所からの生還記と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは、やはりオーストリア出身の精神科医・心理学者であるヴィクトール・フランクルの『夜と霧』ではないでしょうか。 一方でフランクルほど広く知られてはいないものの、同じくアウシュビッツから生還し、その体験を『これが人間かーアウシュビッツは終わらない』に著して、イタリア現代文学を代表する作家の一人となった人物に、プリーモ・レーヴィがいます。 レーヴィが生還できた理由レーヴィは自らがかの地獄を生還することができた理

ゲーマーの耐えられない幼稚さ

語気強めのタイトルで恐れ入ります。とはいえ、賢明なる読者諸氏のことですから、本タイトルがミラン・クンデラ著『存在の耐えらえない軽さ』のオマージュであることは、すでに察していただいていることかと思います。 とまあ、冒頭からいかにも賢ぶったことを言っていますが、正直にぶっちゃけますと、実際に読んだことはありません。読んでもいないのにオマージュとはどういう了見だこの野郎というのは、ごもっともな指摘なのですが、なんせ筆者は昔から小説全般が苦手でして。 何度か傑作と名高い作品にチャ