ゼロから始める星空撮影~準備編~
1. はじめに
こんにちは!Ryota と申します。
趣味で ↓ のような星空の写真を撮影しています。(Twitterはこちら)
ありがたいことにTwitterのDMにて撮影のコツについて質問を受けることが増えました。
そこで、この note では自分なりの星空撮影の方法について、まとめていこうと思います!
星空撮影といっても、色々ありますがこの note では、星景写真・星野写真の撮影を前提に執筆していきます。
淡い星雲や派手な星団の撮影は、ここでは触れないのでご注意ください!
また、赤道儀を使用しないことを想定しています。
2. 目次
全体としては、以下の全4回でお届けしようと考えています。
第1回 準備編 (本記事)
第2回 撮影編
第3回 レタッチ編
第4回 応用編
今回は、準備編ということで撮影機材と撮影場所についてお話します。
以降では、以下の順でご説明します。
1カメラの選び方
2レンズの選び方
3撮影場所・撮影日の選び方
3. "意外とどうでもいい" カメラの選び方
まずは、カメラ(ボディ)の選び方についてです。
意外とどうでもいいなんて言ってしまいましたが、当然最低限クリアしておくべき条件はあります 笑
私の考えとしては、レンズ交換可能でAPS-C以上のセンサーサイズであればどのメーカー、機種を選んでもいいと思っています。
(APS-C?センサーサイズ?と思った方ご安心ください!後述するので一旦スルーしましょう 笑)
■ レンズ交換可能なカメラを選ぶ ■
まず、1つ目に大事な点がレンズ交換可能である点です。
次章で述べますが、写真撮影においてレンズ選びは非常に重要です。
このため、レンズ交換できるカメラを選択する必要があります。
と言っても、一眼レフやミラーレス一眼と書かれているものを選べばまず間違いないでしょう。
ちなみに、私は「Canon EOS 80D」を使用しています。
特に拘りがなければCanon、Nikon、SONY、PENTAXあたりを選んでおくのが無難ではないかと思います。
これは、レンズの選択肢が多いためです。
サードパーティ製レンズメーカであるSIGMAとTamronも上記のメーカのマウントに対応しています。
■ センサーサイズが大きいカメラを選ぶ ■
2つ目に大事な点は、センサーサイズです。
簡単に言うとデジタルカメラにおけるイメージセンサーとは、レンズから入った光を記録する場所のことです。
つまり、センサーサイズが大きい方が多くの光を取り込め、画質が良いのです。(他にも画質を左右する要因はありますが、基本的にはセンサが大きい方が有利です)
一眼レフ・ミラーレス一眼には、主にAPS-Cとフルサイズの2種類のセンサーサイズが存在します。
名前から聞いて分かる通り、 APS-C < フルサイズ です。
以下のWikipediaのリンクにセンサーサイズの比較画像が載っていますので、ご興味があればご覧ください。
以下は、私が使っている Canon EOS 80D の公式ページに記載されているスペックです。
これを見ると、80D のセンサーサイズは APS-C であることが分かります。
■ カメラ選びのまとめ ■
カメラ選びには、画素数だったり連射速度だったりと色々考慮することはあるかもしれませんが、特に拘りがないならばレンズ交換の可否とセンサーサイズを意識して選べば問題ないと思います。
また、新しい機種の方が画質が良いというのも確かだと思います。
これについては、お財布と相談して決めるのが良いのではないでしょうか。
私の考えとしては、無理に最新機種を選ばなくても、レンズ交換可能でAPS-C以上のセンサーサイズであれば、お好きなものを選択して構わないのではと思います!!
4. かなり重要!! レンズの選び方
続いて、レンズの選び方です。
私は、カメラボディよりも断然レンズ選びの方が重要であると思います!!
お金もレンズに割いたほうが良いと思っています 笑
レンズの選び方は、撮影対象によっても変わってきますが、ここでは最初にも述べた通り星景写真・星野写真を対象とします。
まずは簡単に星景写真・星野写真がどんなものか紹介します。
以下は、桜を前景に取り入れた星景写真。
以下は、冬の星空をとらえた星野写真。
本記事では、上記のような写真を撮ることを想定してレンズの選び方をお伝えしていきます。
■ レンズ選びのポイント ■
レンズを選ぶ際には、以下の2点がポイントとなります。
1. F 値
レンズの明るさを示す指標。この値が小さいほど明るい。
2. 焦点距離
この値が小さいほど広角 (広い範囲を写せる)。
基本的には、F値が小さく、焦点距離が短い広角のレンズを選ぶのが良いと思います。
以降では、詳細に、F値と焦点距離についてお話します。
■ F 値が小さい明るいレンズを選ぶ ■
まずは、F値についてです。
非常に淡い光の星空を写すためには、明るく撮影することが必要となります。
写真の明るさを決める要素は、以下の3つです!
1. F 値(絞り): 小さいほど明るい
2. ISO 感度: 大きいほど明るい
3. シャッタースピード: 長いほど明るい
上記のうち、レンズごとに設定可能範囲が異なるのがF値となります。
ISO感度とシャッタースピードについては、カメラによって設定範囲が異なりますが、ほとんどの機種で同等でしょう。
(ノイズの入り方・大小は異なりますが)
以下の表に、各要素と明るさの関係、メリットおよびデメリットをまとめました。
(注: 必ずしもメリットデメリットと呼べないものもあるが、ここでは点像の星景写真撮影を想定)
F値が小さいことのデメリットとして、ピント範囲が狭いことを挙げていますが、
星空を撮影する際には、ほぼ無限遠に合わせるのであまり関係ないといえます。(場合によっては前景がボケるが...)
しかし、ISO感度とシャッタースピードについては、ノイズが多くなることと日周運動により線のように写るという致命的なデメリットが存在します。
(日周運動: 地球の自転による星のみかけの動き)
このため、レンズのF値による明るさは重要といえるのです。
(注: 赤道儀の使用、加算平均合成をしない場合)
具体的には、F2.8以下のレンズを使用することをおススメします!
■ 焦点距離が小さい広角レンズを選ぶ ■
次に、焦点距離についてです。
焦点距離は、撮影可能な範囲に関わり、この値が小さいほど広い範囲を撮影可能です。
私は、星景写真撮影においては焦点距離が小さい方が良いと思っています。
焦点距離が短いことで、特に以下のメリットがあります。
1. 日周運動の影響を受けにくい(つまりシャッタースピードを長くできる)
2. 景色を取り入れやすい
1つ目の日周運動の影響を受けにくいというのは少し分かりづらいかもしれません。
これは、同じシャッタースピードの場合、
焦点距離が小さい方が点に近く写り、
焦点距離が大きい方が線に近く写るということです。
遠くを走る電車の動きはゆっくりに見えますが、近くを走る電車は一瞬で通り過ぎますよね。そういうことです(雑)
具体的には、14mm ~ 30mm 程度がおススメだと思います。
だたし!APS-Cセンサーのカメラの注意点として、レンズに表記されている焦点距離の約1.5倍が実質の焦点距離となります!
これは、以下の図からお分かりいただけると思います。
■ ソフトフィルター ■
レンズに装着するフィルタについてです。
星空撮影においては、星の光の強調のためにソフトフィルタを使用する場合が多いです。
以下が、ソフトフィルタ使用の有無による比較です。
(※ 完全に撮影設定が同じではないので参考までに)
上記をみると、ソフトフィルタを用いた方が星の光がぼやけて強調されていることが分かります。
こちらは、Lee ソフトフィルタ No.3 を使用しています。
ソフトフィルタにより、かなり印象が変わるので是非ご検討ください!
■ レンズ選びのまとめ ■
1. F 値が小さいレンズを選ぶ!
2. 焦点距離が小さい広角レンズを選ぶ!
3. ソフトフィルタ―を使用する!
以上を意識してレンズ選びをするのが良いかと思います!
ちなみに、私が主に使っているレンズは以下です。
5. 撮影地・撮影日の選び方
実はここが一番重要だったりします 笑
とはいえ、暗くて視界が広い場所を選ぶだけです!笑
特に街灯が周りにあると、以下のような写真になります。
これはこれで良いのですが、想定通りの写真にはならないかもしれません。
このため、周りに明かりがないことが重要です。
人工の明かりだけでなく、月明かりも避けたいです。
以下は、月が出ている日に撮影した写真。
天の川の光はいつもより淡くなってしまいます。
もちろん、景色を際立たせたい場合は月明かりを有効に使用できる場合もあります!!
月の出没時刻は以下のサイトによくお世話になっています。
また、当たり前ですが天気は大事です!
天気予報の「晴れ」は実は信用できません。というのも、2割~8割雲があっても「晴れ」なのです。
そこで、私は以下のページの雲量予測を参考にしています。
雲がほとんどない「快晴」の日を選びましょう!
以上、簡単でしたが撮影地・撮影日の選び方でした。
機材の準備、撮影場所と日程が決定できたら、さぁ出かけましょう!
6. おわりに
簡単ではありましたが、準備編として以下について述べました。
1. カメラの選び方
APS-C以上のセンサーサイズを選ぶ!
2. レンズの選び方
F値が小さく、焦点距離が小さい広角レンズを選ぶ!
3. 撮影場所・撮影日の選び方
暗くて視界が広い場所を選ぶ!
月明かりがなく、快晴の日を選ぶ!
いかがだったでしょうか?
駆け足で分かりにくい部分もあったと思います。
ご質問は、Twitter のリプライやDMにていつでも受け付けますのでお気軽にどうぞ!!(Twitterはこちら)
後日、撮影編・レタッチ編も執筆しようと思いますので、よろしくお願い致します!
読んで頂きありがとうございます。あなたにとって価値のある記事だったかは分かりませんが、反応いただけると励みになります! よろしければTwitterもフォローいただけると嬉しいです! https://twitter.com/nryota0312