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子ども達の成長を促すグループワーク

障がい児と健常児が共に5日間を過ごすキャンプ NPO法人フレンドシップキャンプ 理事の青木です。この記事では私たちが大切にしているグループという活動単位について解説します。フレンドシップキャンプの概要についてはこちらをご覧ください。

このキャンプのねらいは?

フレンドシップキャンプは障がい児と健常児が共に参加できるキャンプです。5日間、自然の中で寝食を共にしながら様々な活動(プログラム)を行います。このキャンプのねらいを一言でいうと、子ども達の成長です。私たちはキャンプが、子ども達の自立と他者に共感するやさしい心を育む場となるよう取り組んでいます。

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グループ

このキャンプは参加する子どもの人数が最大80名程度になる規模の大きなキャンプです。そのため、大まかな学齢で分けたユニットという集団に分かれて活動します。さらに、ユニットは3~4つのグループという単位に分かれます。グループは男女を別々に同じ年齢層の子ども達と、リーダーと呼ばれるボランティアで構成されています。フレンドシップキャンプの特徴として、障がい児と健常児は同じグループで生活します。障がい児3名、健常児3名程度、そしてリーダー1名の7名程度が典型的なグループの構成です。

このグループが、5日間の寝食を共にするキャンプ生活の基本となります。私たちがグループを生活するのは、単に管理のしやすさではなく、子ども達の成長を促すにために最も効果的だと考えるからです。また、5日間という限られた時間の中で、互いのことを理解して仲を深めるには、この7名程度の人数がちょうど良い規模になります。

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グループの中で育まれる社会性

グループでの生活は人間関係を強く意識させます。お互いに初めて会う子ども達も多く、障がいの有無による体力の違いもあるため、家族や学校の友達と同じように過ごせるとは限りません。まずは、同じグループのメンバーのことをよく知る必要があります。普段の生活であれば気に留めないことでも、5日間一緒に生活する中で自然と他のメンバーに興味を持ちます。どうしたらグループの皆と楽しいキャンプができるか考える中で、他者の理解したり、思いやる心を学ぶことができると考えています。

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グループの中で確立する「自分らしさ」

キャンプに慣れてくると自分の気持ちや、やりたいことが表に出てきます。「こんなプログラムがしたい」「もっと、みんなと遊びたい」「ゆっくりと過ごしたい」など、状況によって様々です。時にはメンバー同士の意見が衝突することもあります。

私たちは自分がどうしたいかを考え、それを上手に周りに伝えられるようになることが大切だと考えています。ただ、単に希望を伝えるだけでは、グループとしての活動は成立しません。グループとして楽しく過ごすために、自分と他者の気持ちの折り合いをどうつけるか考える必要があります。子ども達にとっては普段以上に自分のことを客観的に捉える機会になるでしょう。こうしてグループの中での自分を確立することは、精神的な自立の大きな一歩であると考えています。

そして、自分をグループの皆に受け入れてもらえると、それは大きな自信になります。また、グループの信頼関係も強固になり、キャンプがますます楽しくなります。このような良い循環を促すことができれば、子ども達が新しいことに挑戦し、自分の世界を広げることに繋がるはずです。

グループワーク

グループワークと聞くと、なんらかの「共同作業」を連想するかもしれません。キャンプでのグループワークとは、単なる共同作業ではなくグループに対して教育的な意図を持った働きかけがある活動です。単に集団で生活していれば、自然と社会性や自立心が育つわけではありません。そこには、グループでの生活が実り多きものになるよう、グループリーダーをはじめとした周囲からの働きかけが必要です。

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グループリーダーの働きかけ

グループリーダーはグループの一員として、子ども達を導くボランティアです。グループリーダーの多くは学生を中心とした若いボランティアが担っています。リーダーは子ども達を指導監督する立場ではなく、あくまでグループの一員として、一緒に楽しみながら子ども達の成長を促します。

グループでの活動はうまくいくことばかりではありません。キャンプ序盤ではグループになじめなかったり、自分の意見を上手に伝えられなかったりする子どもがいます。また、障がい児と健常児は行動や会話のペースが異なることで、深いコミュニケーションに発展しにくいこともあります。そんな時、グループリーダーは会話のきっかけを作ったり、グループのメンバーが協力して一つのことに取り組む機会をつくることで、子ども達の橋渡し役になります。

また、子ども達が喧嘩していたり、野外のアクティビティで危険な状況になったときは、しっかりと正しい方向に導く必要があります。リーダーはグループの一員でありながら、子ども達の成長を見守るお兄さん、お姉さん的な存在なのです。子ども達にとってリーダーは友達でもなく、保護者でも学校の先生でもない、身近なお手本になります。

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子ども達 それぞれの歩みを大切に

ここまでの理想的なグループの活動を書きました。グループを中心とした組織キャンプは、障がいの有無を越えて青少年の育成に効果的であると考えています。ただし、誰もがすぐにグループに打ち解け、自分らしさを発揮できるわけではありません。子ども達にはそれぞれ成長のペースがあります。初めてキャンプに参加し緊張している子どもにとっては、グループのメンバーと同じ部屋で生活するだけでも大きなチャレンジです。

子ども達一人ひとりの成長に寄り添う姿勢はグループリーダーだけではなく、全てのボランティアが大切にしていることです。(キャンプを支えるボランティア体制については、別の記事にまとめたいと思います!)

キャンプが終わっても心に残る仲間達

この記事ではグループでの活動が、子ども達の自立心や社会性の成長に繋がるということ。また、それを支えるグループリーダーをはじめとしたボランティアについて解説しました。

互いをよく理解し、楽しい夏のひと時を過ごした仲間はかけがえのないものです。キャンプが終わり日常の生活に戻っても、子ども達にとって大切な思い出になります。いつか彼らが悩んだり困った時に、少しでもキャンプの経験が支えになり、その後の成長を後押しできれば良いと思っています。

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