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気功生活 Vol.132

2022.9.9 発行

気づく
刻々と
変わりゆく今。

自立への流れ 天野泰司
会員の心得・2022改定版(暫定)
秋の養生 足湯
The Book of Life 8/238/29
つれづれ湯遊記9 あや
蔦町二歳    吉田純子
長月の「心がおちつく やさしい気功」
「役だつ禅密」より 三円功
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自立への流れ


                          天野泰司

 季節はすでに秋へ。夜は虫の音が楽しめるようになりました。身体感覚が繊細になり、心身両面の大きな変化が生じてくる、とても大切なタイミングです。

 気功協会のウェブサイト「気功のひろば」はリニューアルが完了し、スマホでも見やすく、情報発信がしやすい環境が整いました。
 リニューアル基金は、8月末現在約30万円が集まっています。たくさんのご寄付を本当にありがとうございます。予算の関係で今回は携帯への対応ができなかった部分がありますので、目標額の45万円まであと15万円、満額まで募集を継続します。
 引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。

今、何が起こっているのか
 ここ数年の環境の変化は、本当に大きなものがありました。2020年2月、新刊『季節をめぐる気功』(春秋社)を上梓、その後感染症対策という名の全世界的な行動制限が2年以上続き、その渦中に蔦町の新事務所が奇跡的に完成。そしてウクライナへのロシアの侵攻、元首相の暗殺とそこから露呈した政治の暗部と人の心の弱さ、危うさ。こうした社会的な環境変動の中で特に気になるのは、正義とか大義名分のために、私たちの思考や行動が不自由で不自然になり、生きている充足感が希薄になっていることです。

 今、社会問題になっている統一教会の信者さんたちは、ある意味とても純粋で、一生懸命に良いことをしようと頑張ってきた方々なのだと思います。ただ、教義や上からの指示が社会生活を完全に逸脱するものなので、真面目に努力すればするほど、どんどん道を外れ、生活が崩壊する。

 洗脳というのは、気づかないうちに大脳の中に「こうすべき」というプログラムがコンピュータウィルスのように入り込んでくることです。
 私も大学生の頃「原理研には気をつけろ」とよく言われたものですが、気をつけていても引き込まれ洗脳されていく人たちが一定数あります。
 そして、「これこそが私たちを救う正しい教えだ」と完全に思い込んだ頃に、初めて、原理研、つまり統一教会の学生チームだったことが明かされ、「勧誘」「行商」「霊感商法」など統一教会の指図に従った滅私奉公が、瞬く間に人生の全てを占有してしまうのだそうです。

 善悪というものは、代表的な観念です。「これこそが真理であり絶対に正しい」、或いは「これは絶対悪であるから撲滅しなければならない」などという観念を、巧妙な手口で潜在意識に入れてしまうと、その教義や思想、主義主張などによって、いとも簡単に人と人を対立させ、争わせることができてしまいます。戦争や争いは、常に異なる種類の正義と正義が戦っているのです。

戦わせるための洗脳
 日本での統一教会の普及は、左翼系の学生運動に対抗する目的で、当時の岸信介首相らが影から後押ししていました。まさに「戦わせるための洗脳」が元首相暗殺事件の背景に存在したのでしょう。統一教会については、この9月に出る有田芳生さんの『改訂新版 統一教会とは何か』(大月書店)が参考になるでしょう。

 ただこの問題は、カルト事件を政治家が擁護してきたというだけにとどまらず、カルト的な洗脳が政治にまで影響していたと見ることもできるでしょう。日々の業務を支える秘書が訓練された信者であれば、政治家や事務所がその影響を受けないはずがないからです。
 そうすると、国民全体が気づかないうちに被害者になっている可能性があります。億単位の献金や搾取とはもちろん程度は違うけれど、労働条件や税制度が次々に変更されてきた結果、ごく一部の富裕層だけがさらに裕福になり、大多数の、まじめでやさしく、勤勉な国民が保証のない労働や低賃金の中で苦しむという不思議な構図が表面化しています。

 物が売れなくなり、景気が停滞するだろうことは目に見えているのに、経営のプロたちがそのことに気づかないはずがありません。ところが国策としては、国民搾取とでも言えるような方向へ傾いている。
 今までは、何でこんなことがわからずに困った政策を進めるのだろうと思っていましたが、国の中枢を担う政府の要人たちが、統一教会と密接な関係を持とうとすれば、自ずとそこにある洗脳や搾取のマニュアルも、それとは気づかれない形で、この国の政治の中に入り込んでいたのかもしれません。
 例えば、「もっと崇高で大切な使命がある」という観念に溺れさせてしまえば、何をおいても、どんな手段を使っても、騙して嘘をついてでも、誰かの大きな犠牲があったとしても、盲目的にある方向へ邁進していくでしょう。

安全という名の神話
 ワクチン接種にも、そうした妄信的なものが感じられます。「凶悪なウイルスから逃れるためにワクチンは打たなければならない。みんなが打って集団免疫を作り弱者を守ることが正しい人の道で、ワクチンを疑問視したり、ましてや反対する者たちは悪い人たちだから駆逐しなければならない」という教義のように思えてくるのです。
 複数回接種している方が陽性になったり、接種後に体調を崩した方も多々あります。米国で公開された、接種に関する安全性評価のデータからは、接種が普及した2021年以後、がん、エイズ、ヘルペスなどの発症数が急増し、接種された方々の免疫系に大きな変動が出ていることが予想されます。国内でも、2020年の超過死亡数(統計的予測を超えた死亡者数)が9千人減少だったのに対し、21年は6万人以上に激増しているのは驚きです。
 原発推進もしかりで、「原発こそが未来を創造するクリーンで新しいエネルギーであり、誤作動や大事故は絶対にない」という安全神話を大多数の人々が信じて疑わなかった。福島で大事故が起こり、それでもなお、推進するのはいったい何故なのか。信じて疑わない信仰に似たもの、そして自分が信じていることは、人にもそう信じさせなくてはいけないというような、洗脳的な勧誘に似たものを感じます。
 最たるものは国防論です。国を守るために、国民の生活が苦しくなっても、軍備をもっともっと増強しないといけない、極論は、核を持つことで安全が担保される、と。本気で信仰のようにそう思っている方が、一定数この国の中枢にいらっしゃるように思えてなりません。

 平和という看板を掲げて、戦争の準備を、それとはわからないように進めていく。それは、あたかも「世界平和統一家庭連合」という平和や家庭を大切にするかのような看板を掲げて、極右的な戦争肯定論を持ち、人心を支配して家庭を崩壊させていく「統一教会」のあり方と紙一重です。

先入観念の大掃除
 大切なことは、これを、誰か悪い他人のせいにしないことです。これだけ広い範囲に観念的な刷り込み現象が広がっているということは、一団体を検挙して解散させるだけで済むことではありません。
 私たちは、どれだけ気をつけていても、「特定の主義主張」「権威のお墨付き」「大丈夫だと思って信頼している誰かの言動」「社会的な風潮や圧力」「官公庁やメディアの発表」などに流され、染まっているのかもしれません。そうした観念の大掃除を定期的に行なっていくことがまず大切でしょう。
 そして、発信する側はもちろん気をつける責任があるけれど、同時に受信する側の感度を上げていく必要があるのではないかと思います。

 「何かおかしいな」と感じる本能的な勘のようなものが鈍ってきているように思うのです。私たちの体は、その本能的な働きによって生かされ、守られています。食べることも、眠ることも、息することも、病気になったり回復することも、子どもを産み育てることも、本能にそった自然の働きです。
 ですから、本能的な働きに磨きをかけていくと、何らかの異常があれば、すぐ察知して解決の方向に向かい、生命活動全体が活発になっていきます。もし危ないことがあれば、咄嗟にさっとよけたり、かわしたりして自分を守ります。
 それは一生懸命に努力してたどり着くのでも、「自然こそが素晴らしい」と崇拝し賞賛することでもなく、ましてや、教えてくれた先生が偉いのでもありません。それでは、誰かをトップにしてその教えを盲信するのと、何ら変わりありません。
 生命に向き合っていくと、こうした自然の働きに気づいていきます。 私たちの体の中に、自然は、豊かにあるからです。

気功を見つめ直す 
 気功が日本に入ってきた頃は、老師の教えや、やり方を忠実にコピーすることがほとんどでした。よくわからない理論も、そうなのかなと思いつつ一生懸命に学んだ記憶があります。幸いにして多くの良き師との出会いがありましたが、もし仮に、盲信的な気功集団に染まってしまっていたら、それらしく作られた誤った教えを極めようと一途になっていたかもしれません。本当に他人事では済まないのです。

 学ぶ側から教える側へ、そして会を主催する立場へと変わっていった時、いくつか気をつけてきたことがあります。
 例えば、会長が「行け」と言ったらみんな言われたようにさっと動くような、トップダウン型の組織にしないこと。
 よくわからない神秘性や、専門用語、翻訳調のわかりにくい言葉をできるだけなくし、日常の心身の働きにスポットをあてて、わかりやすい普通の言葉で伝えていくこと。
 一方的に知識や技術を教えるのではなく、同じ自然を学ぶ生徒として共に学んでいくこと。
 「こうすればよい」「こうしてはいけない」という観念に染めるのではなく、自分の体に聞いて、自分の感覚で判断し、行動できる、そのための基礎的なことを伝えていくこと。
 そして、既に入り込んでしまっている観念もなるべく減らして、この生命と生活をありのままに、自由にのびのびと楽しめるようにしていくこと、などです。
 「会員の心得」を読んでいただくと、その思いが伝わるかと思います。ウェブサイトのリニューアルに伴って、内容を改定しました。ご一読ください。

自立、そして自由へ 
 「心がおちつく やさしい気功」では、やさしく手をなでる、やわらかに顔を洗う、頭をなでる……といった、誰もがやさしくできる方法をゆっくりていねいに行なうことで、ふっと無心になり、観念を手放したまま、体にまかせて動けるようになっていきます。1日にわずか15分でも、思考から自由になって、自然なままの自分に立ち返る習慣を持つ意味は、とても大きなものです。

 病気にならないように頑張って打ってきたワクチンのために病気が増え、平和維持のためにと増強してきた軍備のために、戦火の絶えない現在があります。
 ワクチンにここまで頼り過ぎなければ、自然免疫が正常に働いて感染症の蔓延はすでに収束していたかもしれないし、軍備をここまで拡大しなければ、対話や交渉能力、あるいはお互いに助け合う関係が深まって、国同士の争いも、もっともっと少なくなっていたことでしょう。
 右でも左でもない。あらゆる観念を手放して、自由な心へ立ち返っていくことで、その都度、その都度の最善の選択が見えてくるでしょう。

 8月から、気功マンスリーライブ「心の平和」シリーズが始まっています。9月からの「禅密の学校・後期」では、禅密の瞑想に焦点をあて、広々とした心を体験していきます。配信講座「役だつ禅密」もその流れと並行して進んでいきます。
 そして「長月の 心がおちつくやさしい気功」(→12頁)。
 この秋も、楽しくほがらかに学んでいきましょう。

https://npo-kikou.com

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