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消費の流動性

エスプリークとコフレドールの間の流動性

男性にはわかりづらい話なのでちょっと丁寧に書くけれど、女性の化粧のファンデーションは、パクトケースにファンデーション本体(粉を固めたもの)を嵌めて持ち歩く。要するに洗剤の「詰め替え」みたいなものだ。

ファンデーション本体は3,000円前後して、パクトケースはそれ単品で1,000円とかで売ってたりもするけれど、数量限定品でファンデーション本体価格と同じ値段でパクトケースがついてくる、みたいな売り方もよく見かける。

先日、いつもエスプリーク(コーセー)を使っているのにうっかり間違えてコフレドール(カネボウ)のファンデ本体だけを買ってしまった。別にいいじゃんと思うかもしれないが、パクトケースのファンデを嵌め込む枠は微妙に大きさや形状が違っていて、エスプリークのパクトケースにコフレドールのファンデ本体は嵌らない。仕方がないので最近はパクトケースなしで使っている。鏡がついていないので出先で使うのはかなり面倒くさい。

当然、自社製品=ファンデ本体をリピートさせたいので、他社のファンデ本体を自社のパクトケースに入れてやる筋合いはない。一方で、他社製品利用者を自社利製品に取り込むため、パクトケースはただ同然で撒いている、ということ。

自社への乗り換えコストは低く、他社への乗り換えコストは高い。入りの流動性は高めたい、出の流動性は押さえたい。なんだかいろいろなところで聞くような話だ。

セット売りかバラ売りか

FlowLife Laboratoryでは講義や討議のイベントを行っている。イベントというより、少人数の社会人ゼミで学習・研究をしていくというコンセプトで設計している。

企画が目指すのは、連続講座全〇回で〇万円といったものに近い。当初、そういった形式での開催を検討したのだけれど、結局今は1回1回で参加費をいただく形でスタートさせている。それは全〇回のセットで支払ってしまうと、初回参加してみて「あれ、期待していたのとちょっと違うな」と感じても離脱しづらいから。

流動性の向上を呼びかける立場として、予定変更に対する寛容さ、参加者の「流動意欲」の尊重は、こだわりたいところでもあった。

人の興味関心はころころ変わるもの(私自身が飽き性なのでそういうタイプの人を理解したい)。そのとき一番意欲の持てることに取り組むのが一番良い。そのとき一番好きなものを買うのが一番良い。自分の内側と外側がシンクロする状況をつくることが、効果を最大にし省エネにもなる、社会に良いことのはずである。

セットにしたり、他サービスとの互換性をなくしてリピーターを囲い込むのが、これまでのビジネスのセオリーかもしれない。けれどこれから資源も人材も枯渇する時代、商品も人生も、高度成長やバブリーの好景気に合わせておてんこ盛りにしたセットを、一度バラにしてみることを勧めたい。

選択の自由には知識が必要

これは、サービス提供者がベストセットを選りすぐる仕事を放棄し、サービス受給者が自分裁量で選ぶ自由(権利)と面倒(責任)を引き受けることを意味している。何が自分にとって必要かをきちんと考えなければならない。

とはいっても、例えば保険選びやスマホの契約など、自分で全部決めようとすると結構大変だ。専門家≒提供者のおすすめチョイスに任せてしまったほうが楽ではある。けれどある程度自分でも知識をつけておけば「このオプションは僕は要らないよ」と言える。

出入り両方向でより良い流動を生み出すためには、招き入れる側と招かれる側双方に、適度な知識と良心(モラル)を持ち寄ることが大事だと思う。無闇にパクトケースを増やしてしまう不注意は減らしたい。でも「パクトケースなくても何とかなるんじゃね?」という本質へのこだわりもきっと大事、きっと。

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FlowLife Laboratory(https://www.flowlifelab.com/)一人所長、流動創生(http://ryudou-sousei.jp/) の言い出しっぺ。場所や組織に縛られない「流浪の民」文化を現代日本に復活させようと画策しています
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