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指先の祝福

良い仕事は伝播する

美しい音楽を聴いた人が、その感動を絵に描く。それを見た人が絵の素晴らしさを伝えたくて詩を描く。それを読んだ人が日々の労苦を慰められながら農業に勤しむ。それを見た人が農村の営みの美しさを音楽にする。

アート的な仕事(広義。ニーズに応えるのではなく提供者からのプッシュで生み出される仕事)、また非アート的な仕事に宿る付加価値は、そんなサイクルによって生まれるもの。

だから、良い仕事をしたいときには良い仕事をしている人のそばに行くのが良いと私は思っている。近所のミスドの店員さんがすごくホスピタリティで、よくそこで仕事をしていた(コーヒーおかわり自由だし…入り浸ってすみません)

先日、岩手遠征で紹介してもらった爪職人さんは、そんな伝播する仕事の一つだった。

ネイルは女性だけのものじゃない

紫波町でネイルサロン「爪専科」を営む福澤さん。毎週水曜日はオガールプラザのスペースの一角で、その他の日は自宅でサロンをされている。

「男性はなかなかネイルを学べる場所がないんです。アメリカで勉強して、実務を磨くために改めて日本で勉強しようと教室を探し始めたら、どこも男性は入れなくて」

諦めかけていたときに出会ったネイルの先生から、今の技術のほとんどは教わったのだそうだ。最近は徐々に男性ネイリストや男性が受けられる教室も増えているらしい。

利用者も男性はまだまだ少ない。岩手では本当に僅かに、東京でも女性に比べれば圧倒的に少ない。それでも爪を整えにくる男性のお客様は、自分のおしゃれというより「他の人のために整える」人が多いのだとか。

「男性の営業の方などもいらっしゃいます。営業の方って、見た目などそれぞれのこだわりをもっていたりしますが、その一つなのかなと。そういう選択肢の一つとして見てもらえたら嬉しいですね」

会話をしながら1時間程、甘皮を丁寧に取り除いたり、クリームを塗ったりしてもらい、最後に透明のコーティングをしてもらった。これも、女性はツヤを出して仕上げるが、男性で気になる方の場合には表面を削ってツヤを消すこともできる。

道すがら靴を磨いてもらうように、美容室で髪を整えてもらうように、自分の気持ちを整えてくれる、自分なりのこだわりの一つに、爪の手入れがあるようにと。

一点集中の技とともに注がれる何か

爪の手入れの歴史は古代エジプトまで遡り、権力の誇示だけでなくまじないとしても施されていたという(参考記事)。

恐らく多くの現代人にとって、一日のうちに最も駆使している身体の部位。指先に「良い仕事」の祝福を受けるのは、見た目以上の何か神聖な意味があるはずだ。さあ動け、私の指。

◆お店のご紹介
工房 爪専科(ネイルサロン) 福澤太郎さん
サロン所在地:岩手県紫波町
メールアドレス:seenon_3939@ybb.ne.jp

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FlowLife Laboratory(https://www.flowlifelab.com/)一人所長、流動創生(http://ryudou-sousei.jp/) の言い出しっぺ。場所や組織に縛られない「流浪の民」文化を現代日本に復活させようと画策しています
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