見出し画像

自分のパラレルとしての被災者、弱者

台風15号、台風19号と、相次ぐ異常気象の被害に遭われている、千葉県、首都圏、全国各地の河川域やその他の地域の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。地域によってはまだ十分な救助や救援、支援が行き届いていない方もいらっしゃると思います。どうぞ身の安全を第一に、無理をせず、ご自愛くださいますようお願い致します。多くの方が少しでも早く心穏やかにすごせるときが来ますようお祈りしています。

ブラック・スワンがいつも伝えていること

大きな台風が東京を直撃しました。私含む多くの人には日常が帰ってきましたが、上述のとおり、そうでない人もたくさんいます。都内にも、もちろん全国にも、突風や川の氾濫で、家や車、勤め先が浸水・破損した方や、竜巻で亡くなられた方もいます。千葉は被害が重なり大変になっていると思います。

また今回、都内の避難所に入れなかった野宿者が話題になりましたが、彼らや、無事に入れた人たちには、台風が過ぎ去り雨が止んだ後もある意味で「非常時」が続きます。今回の対応で、経済的ダメージを受けた困窮者もいるかもしれません。

もしかしたら。

荒川が氾濫して、家の窓ガラスが割れて、大規模な停電や断水が発生して長引いて…あるいは人生の不運によって困窮して、身体を悪くして、日常と呼べる日常を過ごせずに…今、ここにおらず、荒れ果てた家か避難所か、違う何処かで辛い思いをしていたかもしれない。

ここまでの分岐点の、一つでも違えた先にいた可能性のある、パラレル(並行世界)の自分を災害は想起させます。ただしそれはまったくのフィクションではなく、ある意味で実在しています。自分でない誰かがその不運を背負うことによって。

自然界や社会は、不確実で思いもよらない、吃驚するような恐ろしい出来事(ブラック・スワン)を通じて、偶然に何事もなく過ごしているパラレルの一本でしかない私たちに、そんなことを実はずっと昔から囁き続けているのではないか。

状況の異なる人と共にあり続けるのは難しい

ただ、こんなことを考え出したら取り止めもなくて、いわゆる共感疲労で本来必要のない負荷を負ってしまいます。必要に応じて目を閉じることは大事です。そうして遠ざけるほど、時間が経つほど、地続きの現実感は色褪せていきます。

そこに罪悪感をもってしまうのはよくわかります。また「そこまで共感してたら何もできないよ!」と憤りを感じる人もいると思います。それもよくわかります。私は関心を失っていく人を責めるつもりはないですし、私自身、罪悪感も、関心を他者から強制されるようなことへの反発も、両方あります。

いずれにせよ、いつか自分に降りかかるかもしれない苦難への恐れは、決してなくなったりしません。様々な状況に置かれている人々が今「そこ」にいること、それを知覚している自分が今「ここ」にいることは揺るぎません。

遠く隔たる「そこ(他者=パラレルの自分)」と「ここ(現実の自分)」が建設的に繋がり続け、支え合うにはどうすれば良いのか。日々の暮らしに忙しい私たちは、8年前と同じに喉元過ぎて熱さを忘れ、いつか激しく後悔する日が来るかもしれない、そうはいっても目前のことを営まねばならない。

私は大丈夫だと思うのです。なぜなら、目前の身近な人のために、あるいは自分の仕事のために(仕事は大概誰かのためになっているものなので)日々何か行動している私たち自身が、状況が異なり感覚を遠く隔ててしまっている誰かまで、連帯の鎖を届かせるーつ一つの輪だからです。

無数の輪が連なることでしか、遠くまで届かない

だから、日常へ戻れる人は、負い目を感じたりすることなく胸を張って日常へ戻りましょう、そこで良い仕事をしていきましょう。私たちの輪が連なった先に、苦労を背負っている人々がいることを心に留めながら。その連なりが、心に留めていることが、私たちの日々の生業を、明白にあるいはじっくりじわじわと、遠く隔たったパラレルを生きる誰かの手を引くものにしていくはずです。

また「何かを変えねば」「動き出さねば」と、これまでの日常を脱して旅立っていく人には、その道になるべく多くの支えや希望があることを祈りながら、一つ提案があります。ここにさっぱり置いていこうとしている過去の自分や、そのまわりの人々と、可能な限り連帯の輪を繋ぎ続けてほしいのです。一度、ゼロからスタートするために過去を断ち切るのも一つの手ですが、異なる立場の人と関わりを持ち続けることは、その人の、また社会にとっての財産だと、大袈裟でなく思うのです。

(これはなんとなく、7年前に東京を離れた過去の私へのメッセージだったりします。実際には疎遠になってしまっている人もいますが、私は今もあの頃の私を支えてくれた人たちや、組織に置いてきたパラレルの自分を想ってやっていることがたくさんあります)

情報技術や交通手段の発達で、誰もがこんなにもアクセスしやすくなったのに、ますます断絶に向かう社会を、もう一度良い形で結び直すのは、私たち鎖の輪一つ一つです。あなたと家族、あなたと職場の人、あなたと遠くの友達、あなたとあなたがよく喧嘩する人が、すれ違ったり軋んだりしながらもしぶとく繋がっていけますよう。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

10
FlowLife Laboratory(https://www.flowlifelab.com/)一人所長、流動創生(http://ryudou-sousei.jp/) の言い出しっぺ。場所や組織に縛られない「流浪の民」文化を現代日本に復活させようと画策しています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。