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チューニングとモチベーションで人生100年時代を乗り切ろう!! / 大室正志氏×麻野耕司氏イベントレポート

丸ビルを舞台に、お酒を飲みながらトークセッションを楽しめる「丸の内ビジネス酒場」。今回は9月22日(土)に開催された「人生100年時代のメンタルヘルス×モチベーション」(登壇者:麻野耕司氏・大室正志氏、モデレーター:佐藤留美氏)の模様をNewsPicksアカデミア アンバサダーの宮崎恵美子さんがレポ―トします。

なぜVORKERS(ヴォーカーズ)に出資したのか

イベントの冒頭は、麻野さんが取締役を務めるリンクアンドモチベーションがVORKERS(ヴォーカーズ)に出資した話題から始まりました。
「それぞれの組織を最適化するモチベーションクラウドと転職・就職を促進するヴォーカーズを持つことにより、会社の方針や商品に対する社員の共感力や同僚との連帯感を上げていきたい」と麻野さん。
大室先生も、「社風があわないというメンタル不調者は昔よりも増えている。自分が何を求めているかわからないと、どこに行っても辛い」とお話しされました。

目線のチューニングをすることの大切さ

「セカイ系文学を知っていますか」と、大室先生が話し始めました。世の中には、個人・社会・世界がありますが、涼宮ハルヒの『憂鬱』は、自分の思いが世界を変えてしまう物語です。『君の名は』や、村上春樹の文学もそうです。
これらに共通しているのは、「間の社会」です。
世界を変えるためには妥協も必要だし、色々なことを組み合わせなければできません。でも自分と世界をつなげられるのは、オノヨーコなど特殊な人だけで、それを実行しているのが、イーロン・マスクでありスティーブ・ジョブズです。

世界を変えたいという希望をもちながら、世界を変えることができないことに苦しむのなら、視界を狭くするとか、いったん目線を下げることがモチベーションを保つために大切です。
そこでとまどう若手会社員に対して、麻野さんはまず世界を変える前に、目の前のお客さんを変えてみるとか、職場の中で自分にしかできない価値を発揮して自分の職場を変えることを勧めるそうです。自分らしさの線引きをあまりにはっきりしすぎると可能性を狭めるので、自分らしさにあいまいなところを持っていたほうが、新しい可能性がひらけることがあると麻野さん。

自分らしさは自分の内面から生まれてくるのではなくて、人との違いの中で自分を認識するものだと、大室先生もお話しされました。

保留フォルダのすすめ

メンタルが安定している人や育ちのいい人は、いきなりこの人を好きとも嫌いとも決めずにいったん保留します。最初の段階で決めずにいったん保留するのです。そしてこの保留フォルダをもっていると、安定します
時間がたつにつれ保留フォルダの中から、自分に向いている職業やパートナーが見えてくることもある、と大室先生はお話されました。

上司の理不尽もうまくチューニングしよう

理不尽が許せないと、社会というものは多かれ少なかれ、理不尽を内包するので辛くなってしまいます。
一方、理不尽耐性が強すぎても、「上司が白と言えば白」となってしまい、これもよいとは言えません。 
理不尽が一切ない無菌状態は、世界を見渡してもそうないので、理不尽のチューニングをうまくできる人が、ヘルシーさを保てるのだそうです。

最終的にはぐっと走ってやる環境の組織が好きなのか、じっくり考えてやる組織が好きなのかという好き嫌いをはっきりさせないと、どこまでを自分が受け入れられるかは決まりません。
一方で好き嫌いをはっきりさせすぎると、自分の可能性を狭めることにもなりかねないと大室先生はお話しされました。

『石の上にもn年理論』とは

仕事が楽しくなるまでの期間は仕事によって違うという理論が、『石の上にもn年理論』だといいます。
20代・30代は仕事はやりたいかどうかではなく、やれるかどうかで決まります。
自転車に乗れるようになるまで2週間かかるとわかっているなら、2週間は頑張ってみるのことが大事なのと同じように、仕事も習熟するまで相応の期間がかかることを理解して取り組むべきです。

例えば、人材派遣の営業は、半年・1年位で習熟します。
求人広告の営業は1~2年程。
人事のコンサルティングは3~5年。
商社は10年程度。

この期間やってできなかったら、自分には合わないといえるのだそうです。

アイカンパニー(自分株式会社)の経営者になるには

すべての人はアイカンパニー、つまり自分株式会社の経営者にならなくてはなりませんと麻野さんは話します。何か迷ったら、会社の経営戦略に置き換えて考えていけばよいのです。

環境変化のスピードに合わせて、いろんなことを変化させていくのにどの会社でも必要になるのが、理念・ミッション・スタイルです。

個人も、自分のミッションとスタイルを決める必要があります。自分がどういうゴールを目指すのかがミッション。世界を変えたいというゴールがあるならば、ミッションとして刻み付けるべきです。
また、どんなプロセスをたどるのかは柔軟に変えてもよいですが、これだけは譲れないというスタイルは決めるべきです。
麻野さんにとってのミッションは、この国で働く人達が皆モチベーションを高く持って働けるような社会をつくるということ。これは殺されても絶対に変えないでおこうと思っているそうです。
コンプライアンスなど、会長や社長にも譲れないゾーンもあります。でもうまくいったら、新しいことも取り入れていくという形で柔軟に考えるのがよいとお話しされました。

大室先生と麻野さんからのメッセージ

お二人の興味深いお話であっという間に終わりの時間が近づき、佐藤留美さんが皆さんへメッセージをお願いしますと促されました。

大室先生は、「コレステロールが高すぎても低すぎてもよくない。チューニングやバランスが大事。揺らぎの中でチューニングすることが特に大事」とこの日のお話を総括されました。

麻野さんは、「会社よりも個人の寿命の方が長くなる人生100年時代、一人ひとりが自分株式会社をきちんと設立して、絶対譲らないもの・譲ってもいいものを明確にして、戦略的にキャリアを形成していきましょう」とまとめられました。

大室先生・麻野さんは、Voicyという音声メディアの「職場の治療室」という番組で週1回、職場のあるあるを「病」と呼んで語っています。こちらもぜひお聴きくださいとのメッセージとともに、イベントは終了になりました。

<イベントリンク>

<登壇者プロフィール>

大室正志
産業医科大学医学部医学科卒業。ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社統括産業医を経て現職。メンタルヘルス対策、インフルエンザ対策など企業における健康リスク低減に従事。現在約30社の産業医業務に従事 。社会医学系専門医・指導医 著書「産業医が見る過労自殺企業の内側」(集英社新書)
麻野耕司
リンクアンドモチベーション取締役
ヴォーカーズ取締役副社長
「すべての組織をこれで変える」をミッションに組織改善クラウド「モチベーションクラウド」を、「すべての人に働きがいを」をミッションに社員クチコミサイト「VORKERS 」を展開しています 。
著書:『すべての組織は変えられる』(PHP研究所)
佐藤 留美
NewsPicks副編集長。2018年8月6日に『仕事2.0 人生100年時代の変身力』を出版。2014年7月からNewsPicks編集部に参画、2015年1月副編集長に就任 。『凄母』(東洋経済新報社)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)など著書多数。

文:宮崎 恵美子  

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