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”CMO” オープンスクール(第3回)福島復興支援に見る地域再生の課題とモデルケース|with コロナ時代の地域振興の可能性 書き起こし

以下、書き起こして行きます。

2017年7月に楽天、Y!、amazonの各モールとの連携の下、福島県産品の販売をECを活用して行う「福島県復興EC支援プロジェクト」がスタートしました。その際の支援経験を元に感じた地方自治体のEC運用の課題、成功事例、また、昨今のアフターコロナによる地方支援の需要に関して、福島EC支援の経験を元にお話していきます。

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CMOと言うのはCreative Marketing Officerの略です。デジタルマーケティングの知識を持った専門家が、地域のお役立ちをするためのものです。オープンスクールは、地域で活躍する人たちがどんな取り組み・成功・失敗事例があるのかを紹介しあうものです。それでは、早速高木さんにマイクを渡します。

現在の地域支援の課題などを話していきますね。今日のゴールですが、地方支援事業の問題点を話します。また、プラットフォームEC支援の基礎をお伝えします。また、一緒に地域を盛り上げたいと感じていただくことが今日、できればいいなと思っています。

さて、簡単に自己紹介します。電通デジタルでECコンサルタントをしています。自社ECよりはプラットフォームECをメインにしています。

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元々魚屋さんで働いていたのですが、魚アレルギーになってEC業界に入りました。一通り知識や体験をした上で、コンサルに入りました。そこから地域を盛り上げたいと言う思いがあり、現職で業務をしております。猛禽類を飼っているウェブ解析士マスターとしてブランディングしたいと思っています(笑)

国内旅行がすごく好きです。ゆるキャラならむすび丸も好きですし、水族館だったら大洗水族館が一番好きです。軽井沢のエフアと言うレストランが好き。福島だと焦がし醤油フォンデュが好き。鎌倉の鳩サブレーが好き、みたいな形でいろんなところで地元トークしたいなと思っています。

地方支援事業への思い

魚屋さんでは、沼津の干物を全国に、を夢に浦安や市川で奮闘していました。

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魚陳列にもいろんなルールがあります。皮見せ・腹見せとか。鮭の顔を見るだけでいろいろ判断できるようになりました。イケメンは紅鮭です。ウナギも土用の丑の日では月売り上げを1日で突破したりします。大川水産で検索してウナギ買うと本当に美味しいので、おすすめです。その時に感じたのは、素晴らしいサービスが溢れていることです。魚屋さんにいたときはECを本気でやっていなくて、もったいなかったんですね。一方、社内にノウハウもリソースもなかったんですね。

そのあとで年商10億円のECコンサル会社でプラットフォームEC支援をしていました。大変だったんですけど、とても楽しかったんですね。一方、その大変さに寄り添いたいなと思うようになりました。ここでは何十案件もやりました。その中でも特殊だったのが福島復興支援プロジェクトです。

1. プロジェクト概要

福島プロジェクトの概要と横展開の可能性に関してお話します。販促支援・出店支援・ポータルサイトと言う3つがありました。販促支援は各モールに特設ページを設置しキャンペーンを実施するもの。出店支援はモールを活用し、販路の拡大に繋がるよう、出店者の育成、支援を実施するものです。ポータルサイトはテレビCMと連動しながら、福島県産品の魅力を伝えるポータルサイトを構築するものです。

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私がメインでやっていたのは、出店の支援のところです。

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ポータルサイトはふくしまプライドと言うサイトがありました。

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そして、モールと連携し、いろんな出店者を募集していたんですね。出展料・ページ制作支援の助成とかも行っていました。

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Amazonでは何をやっていたかと言うと、パッケージの工夫がとても大事です。おこめって普通は縦が多いんですが、Amazonだと横で表示されるので、わざと横を意識したパッケージを作り、販売強化したりしました。

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さらに田植えキャンペーンなどもあり、オンラインのみならずオフラインでも楽しめる工夫をしていました。

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楽天での売上はこのキャンペーンで福島県産地のものは4倍売れるようになりました。一過性のもので終わらせるつもりはない、と言うことを最初から楽天側は言っていて、それは今でも続いているので、あの言葉は嘘じゃなかったんだなと思っています。

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Y! ショッピングでも前年比4倍以上の売上になりました。隠れた県産品を全国に流通させたいと言うY!側の思いが背景にありました。特に売れていたのは、紅国見と言うとても糖度の高い桃ですね。

そこで私が関わっていたのが窓口です。何かモール出店について困ったことがあったら、相談してね、と言うものです。

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でも、いくら困ったら連絡してねと言っていても、「そもそも何を相談したらいいかわからない」「農業が忙しい」って言う人が多いんですね。そのため、こちらから出向かないとそもそも相談はもらえないと言うのが現実でした。

一方、リアルな会場で出向くと相談はすごくいっぱいもらえました。出るわ出るわ、なんですね。やはり、リアルな場は大事だなとそのときに思いました。

2. 楽天、amazon、Y! 3大モールの特徴

各種モールの特徴と、各事業者さんがそれぞれを選んだ理由、結果どんな状況になったか。また、成功事例もいくつかお話します。

そもそも楽天市場ってどういう存在でしょうか。

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3兆9000億円の流通総額があり、スマホ・タブレットで全体の7割になっています。楽天カードをベースとした楽天IDで統合しているところも特徴ですね。さらに、ワンデリバリー構想、お買い物マラソンなどポイントユーザーの囲い込みをすごい頑張っています。地方支援も楽天はすごく積極的です。楽天と福岡で支援したり、スポーツとのコラボもありますね。父の日、クリスマスなどの季節イベントも積極的です。

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Y!もZozoの買収で楽天とアマゾンと同規模になってきています。

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paypayモールと言うプレミアム感があり、出店ルールが厳しいECを作っています。今までのY!ショッピングと差別化をくっきりさせています。一休とYahoo!トラベルもどちらも売上を伸ばしていますよね。これがヤフーの成功モデルなので、これと同じことだとY!は捉えているはずです。

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Amazonは圧倒的です。日本事業でも、1.7兆円あります。Amazonに任せるのがベンダーセントラル、Amazonに借りるのがセラーセントラルと言います。Amazonは男性、キャリア志向高めのユーザーが多く使っているのが特徴です。楽天とは違う囲い込みのやり方なのが特徴ですね。

みなさんだったらどこに出店しますか?
*自社EC出店も選択肢にあるとして

即決できる人ってなかなかいないですよね。

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結果、多くの事業者はお金だけで決めちゃったんですね。

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そうすると、みんなY!ショッピングになったんですよ。基本無料ですが、アフィリエイト手数料も決済手数料もかかるんですね。楽天、AmazonとY!ショッピングを比べるとアクセス数も少なかったりするんですね。そうなると、モールの中で検索上位化しないといけないわけです。でも、出店店舗数が10倍以上多いので、上位に行くための努力はとんでもないことになって、結果的にY!ショッピングで広告を使わないといけなくなってしまったんです。

とはいえ、出しちゃったものはしょうがないので、どうしよう、ってなったわけです。ここからさらに問題点です。

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お店を作ったのは国の支援でやっていたんですけど、どうやって直すのは事業者さんだったんですね。そこで、窓口の方で、現実の悩みを聞き、解決をしてきました。

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事業者さんの悩みはアクセス数に関わるものでした。その件については、RPP広告をやった方がいいですが、その前にモール内SANとタグIDが必須ですよ、とアドバイスしました。大事なのは自走モデルをいかに構築するか、だと思うんですね。売れれば売れるほどランキングに載る。ランキングにのると、サーチ上位化します。

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これが商品自走モデルのことです。最初の装置は、広告かコンテンツSEOのどちらかですが、1商品とにかくやりきると言うのが大事です。

メルマガもDEALも、サンキュークーポン、同梱物などとにかくいっぱいやらないといけないことはあるので、まずは1商品と言うのが大事だったんです。

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まずは店舗の中で無料でできるSEOから最初にやるのが大事です。そのあと、RPP広告の最適化をします。その次にLPを綺麗にし、回遊対策をする。こんな風に順番ごとにやっていくことが大切です。

3. 事業者さんの悩み

支援をする中でよくいただいていた相談事項やプロジェクトの課題に関してお話します。

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楽天市場は、ジャンルがいろいろあります。レディースファッションやコスメなどがディレクトリーID、トップス、素材が綿、ピンクなどのことをタグIDと言います。タグIDは必須項目じゃないので、登録しないで、公開しちゃう人が多いんですよ。これはもったいないですよね。

これしないだけで検索の取りこぼしもしますし、ランキングにすら載らなくなってしまいます。楽天は勝手に足されたり、消されたりするので、運用しっかりやりましょう。

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また実績がすごく大事です。販売実績は分散しますし、お気に入り登録率などはバラけてしまいますよね。統合できるところは統合しましょう。

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モール内SEOはいかに上に出せるかなので、実績+いかにキーワードを的確にいれるかです。商品名が大切なキーワードをいれるべきところです。

goodkeywordを使うと、サジェストを一括取得して、255バイトマックスまでいれると良いでしょう。

でも、地方でやっても、「入れてくれ」、って言っても入らないので、現地で一緒に同じことを作業してやっていくのが大事でした。

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他には画像の悩みですね。これは4つ考えることがあります。

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最初は必ず比較されると言うことですね。自分たち的には安いと思っていても、競合と比べたときに安くなければ強みにならないわけです。広告出してもサムネイルをクリックしてもらわないとアクセス増えないんですね。

参考になるサムネイルは、実際に自分の分野で検索をして、レビュー多い順でソートして、分析しましょう。

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ECは7割以上がスマホファーストです。フリックの時、ほとんどの人は読んでいません。「シンデレラマーケティング」にも女性は文字を読まないと書いてありますが、本当にその通りで読まぬ、なのですよ。

デザイナーがこれ見ると、文句言いたくなるデザインも多いと思うのですが、お洒落なものではなく、読まなくてもわかる、と言うデザインが重要です。なんとなくフリックしても内容がわかるようになっていますでしょうか?そこが大事なんです。

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楽天のLPって長いよねーって言われることも多いと思いますが、実は意味があります。ちゃんと接客をしているということなんです。キャッチで商品の人気具合をいれる必要がありますし、ボディでは買わない理由ないですよ、と伝える。クロージングは限定性を持たせたりして、決断してもらう。そんなことが必要なんですね。

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楽天ってギフトが非常に強いんですよ。キーワード数とても多いじゃないですか。父の日、母の日、お父さん、お母さん、彼氏、彼女、遅れてごめんねなどのキーワードをいれることができるんですね。ギフトってほとんどの場合、納期があるので、通常よりもコンバージョンが高くなる傾向にあります。

アクセスアップ
CVR
客単価

この3つはギフト市場だと全て+に転じることができるんですね。

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実は楽天とY!ではサムネイルガイドラインがそれぞれ違います。同じサムネイル使っちゃおうと考える人が多いですが、それだともったいないんですね。

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正直、Amazonは食品は難しいんですね。楽天の方が強いんですね。Amazonで頑張る時は、プライムマーク取得などがポイントです。

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実はプライムマークを取得するとCVRが上がったりします。プライムマークを取得するにはFBAの利用か、マケプレプライムの登録をする必要があります。

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これサブ画像は、シンプルな画像じゃなくてもいいんですね。そのため、ギフトだとこういう風に送りますよ、という形の情報をしっかり載せましょう。

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カート取得条件って、実は価格じゃなく、配送費も含めた価格になっていたりします。配送内容の充実は種類などいろんな条件があるので、上の6項目をしっかり抑えましょう。

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ここの文章も非常に重要です。何を書けばいいか、というと、短く商品の仕様を説明することが大切です。上位店舗を元にしっかり分析しつつ、SEOも意識しましょう。

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パン売れるのって言われたりしますが、楽天でパンは実はとても売れていたりします。

あとは時間がなくて制作できないっていうことも多かったんですね。お尻叩いてくれる人がいないとなかなかできないですよね。

「ECなんて一人でできると思われている」という現場もあるんですね。ECが一人でできるわけがないんですけどね・・・。在庫管理やら顧客対応やら。

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その結果、モチベーション低下、孤独というのが大きな課題だったんですね。

4. アフターコロナを踏まえて今後の展開

今自身で会社の業務をしている中で感じる需要と今後ウェブ解析士として自身、実現したいこと、すべきことに関してお話します。

今地方自治体系の案件は非常に増えています。しかし、実際に現場目線がしっかりわかっている人がしっかりと推進して行かないと思うような効果が得られないこともあったりします。

国も地方も動いているんですが、知見やサポートをできる人たちがしっかり存在しないといけないんですね。

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日本のEC比率は6.22%、食品領域は2%台なんですね。食品は今後まだまだ伸びると同時に課題も大きいと言えます。

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じゃあ、やれば簡単かというと、そんなに簡単ではありません。エンドユーザーは知識を進化させていますし、単純に綺麗なページを作るだけでは売れないというのが実態。楽天出店15年みたいな会社もいますし、コンサルつけていたり、広告出稿当たり前の世界観になっている中で、いかに早くPDCAを回せるかが大事になってきます。

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多店舗展開していないことも不利になっています。それぞれ経済圏で顧客の囲い込みがされています。モールでどう商品売るのかを明確にする必要があります。

各モールの特徴やユーザー理解した上で、スピーディーに改善をする必要があります。行動の前とあともタッチポイントがどんどん増えています。レビューで1位になっているのも昔はホームランでした。今はヒット。なぜか。そのあとソーシャルで確認してから買うことが多いので、そっちが疎かだと買ってくれないんですよ。自社ECだけ、ECだけだと厳しいですよね。

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ダーティーレモンやノードストロームなどの事例を見ていると、店舗はモノを買う場所ではなく、ブランドを深く理解してもらう場所になっています。

いかに近所で簡単にサービスを享受できるかが大事。ノードストロームなどは実際のモノを売ってなくて、後ほど送るというのが通例です。

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同梱物も大事です。ここは必ず開封される100%の事例なので、メルマガとかとは決定的に違うんですよ。お客様とのコミュニケーションにおいて非常に重要ではないでしょうか?購入したあとでネガティブな感情を持たせないために重要なんです。

お客様に価格を下げることができない場合は、サンプル品とかをいれるのもおすすめです。店長さんが手書きで文字を書いて送っていたりもします。

大手ができないのがまさにこういう「サプライズプロダクト」が大事なんです。同梱物のファンになる人も多いわけですね。

あとはクラウドファンディングなどの活用もあるでしょう。東北食べる通信などでは、漁師から直接お魚が届き、その食べ方を教えてくれたりするんですね。商品そのものではなく、情報価値も重要になってきていますね。

国や自治体のEC支援は多いですが、運用のサポートまではしてくれません。困っている人がたくさんいるので、支援の需要はかなり高いはずです。

一緒に二人三脚してくれる人を探していきましょう。

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今日のゴールとしては上の3つです。このゴールが達成できていると嬉しいな、と思います。

サポートされた費用は、また別のカンファレンス参加費などに当てようと思います。