8月8日 もぞもぞしてよゴリラ

きのうはお店の日。いつだったかたまたま入った古着屋さんで買ったノースリーブとショートパンツの赤いセットアップを着た。かわいい服を着るのはいい。それだけで心が華やぐ。太ももも全部出るくらいの短いボトムスを好んで履いていた時期もあったけれど最近は全然そういうものに心惹かれなくなり、でも久しぶりに短めのものを履いてみたらこれはこれでたまにはいいな、という心持ち。

朝、父が急に鰻を食べに行くと言い仕事終わりにわたしも合流することになっていたけど、どうやら到着が閉店間際になってしまうことが分かりわたしの分はおみやにしてもらってきた。タレが染み染みになったごはんと一緒に冷蔵庫に入っている。少しだけ食べてあとは鰻巻きにしようと思っているところ。

しかし正直あまり鰻を食べたい気持ちではないのだよな、暑いし特に食欲がない。きのうはそうして結局まっすぐ家に帰ろうと思っていたところに軽くごはん行こうの誘いがちょうど入り、チェコ料理のお店に行ってワインを一杯(チェコのワイン初めて、すっきりしていて美味しかった、品種を聞いたけれど多分チェコ語と思われるような響きで覚えられなかった)とピクルスとサラダとカッテージチーズのフライをそれぞれ少しずつつまんでそれで満足してしまった。でも生きる上でそんなにたくさん食べる必要はないのだということは去年断食などをしてみて心得たので、このまま少食で生きられたらいいなと思う。その方が圧倒的に調子がいい。体も心も。

価値観について考える。染み付いてしまっているアップデートすべき古い価値観はまずそれに気づくことから始めなくちゃいけない。自分の中にある差別心に気付く必要があるのと同じように。ひとの言葉を自分の心に照らして考えなくちゃいけない。何回も探る。自分は、お前は、どうなんだ。

きのうは家を出るときに今読んでいる本のどれでもない軽やかな物語が読みたいなと思って本棚に目をやったらこの間Bunkamuraの本屋さんで買った佐野洋子さんの『もぞもぞしてよゴリラ/ほんの豚ですが』が目に入り、あぁ完璧だと思いバッグに入れた。行き帰りの電車の中でほとんどを読み、夜寝る前にベッドの中で残りの少しを読み終えた。心から愛おしいと思った。そこにある物語のすべてが。夜と恋に落ちた梟、ただその一行だけで涙が出た。かなわないなぁと思った。

例えばわたしがいつか年老いて満足に食事ができなくなったとしても、佐野さんの言葉があればきっとしばらくは生き永らえることができると思った。

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