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1位は東京じゃない! 日本人のワイン関心度を都道府県別・年齢層別・男女別にレポート!

こんにちは、岡本のぞみ@東京ワインショップガイド編集長です。編集長ブログをnoteでも書くことにしました。

今回は、日本人の属性別ワイン関心度をテーマに書きたいと思います。
先日、Facebookで「東京ワインショップガイド」の広告を出しました。広告を出すときは、ターゲットを選ぶことができます。このときは、日本の「20〜65歳」、興味・関心を「ワイン」に設定。広告を出した5日間で6168人にリーチしました。
Facebookではリーチした人の属性を結果として報告してくれます。その結果を見れば、属性別のワイン関心度がわかるというわけで、発表したいと思います。

ワイン関心度が最も高いのは、都市部ではなくワイン生産地だった!

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ワイン関心度を地域別に見ると、《 1位東京、2位北海道、3位神奈川、4位大阪、5位長野 》でした。しかし、これは単純にリーチした人数を多い順に並べたもの。人口当たりでカウントし直した方がよいでしょう。
というわけで、人口を踏まえて出したワイン関心度ランキング*がこちら!
    1位 長野  (21pt)
    2位 北海道 (19pt)
    3位 山梨  (18pt)
    4位 東京    (17pt)
    5位 山形  (11pt)
トップ5のうち、4地域が日本ワイン生産地という結果になりました。日本ワイン生産地の上位*は、《 1位山梨 2位長野 3位北海道 4位山形  5位新潟》です。ワインの消費量が多い都市部が上位に来るのを予想しましたが、日本ワイン生産地の関心度がより高い結果になりました。ちなみに果実酒の一人当たりの消費量*は、《 1位東京 2位山梨 3位京都 4位神奈川  5位大阪》です。ただし、7位北海道、8位長野が控えていることを付け加えておきます。
日本ワイン生産地が関心度が高い理由を考えてみましょう。Twitterでグラフをアップしたときのリプライにもあったのですが、生産者などワイン産業に従事している人は、仕事なので関心は当然高くなります。生産地であれば、ワイン産業に従事する人の割合は高くなるので、それも理由の1つと考えられるでしょう。
身近に生産者がいることも理由になります。同じ地域でがんばっている人を応援したい、地元で生産するものを飲みたいというのは、どんな生産物にもいえること。実際、東京ワインショップガイドに北海道の生産者の記事を掲載したところ、北海道の読者からの反響が多くありました。札幌の「ワインショップフジヰ」を取材したときも、「札幌の人は日本のワインだと北海道のワインを買っていくから、山梨や長野の希少ワインが残っていることがあるんですよ」と社長の藤井敏彦さんが教えてくれました。
また、ワインが六次産業であることも忘れてはなりません。ワイナリーは、ワインを生産販売して終わりではなく、ブドウの搾りかすを使った加工品を販売したり、レストランやホテルを運営することもあります。ワイナリーを目当てに来た客に対して、近くのレストランやワインショップが地元のワインを多く取り扱う傾向も出てきます。つまり、生産地がワインツーリズムの拠点になるのです。利用するのは何も観光客だけでなく、日常的には地元の人が利用客になります。地域にワインツーリズムが形成されると、自然に地元の人が地域のワインをより身近に感じることになります。
こうして地元の関心がより高いということは、日本ワインが地酒として地域の文化になってきているということなのだと思います。日本のワイナリー数は増えています。ワインが地域の産業や文化になるという流れは加速し、それにともなって地域の関心もさらに高くなっていくのかもしれません。

*リサーチ結果を総務省の人口統計の都道府県別15〜64歳の人口で割ったものの。20〜65歳の都道府県別人口が見当たらなかったので、近い年齢で算出。
*「国内生産ワインの状況(平成28年度調査分)国税庁課税部酒税課」
*「国内生産ワインの状況(平成28年度調査分)国税庁課税部酒税課」

ワインに関心の高い年齢層や性別は?

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ワインの関心度を年齢層別に見ると、こちらの結果になりました。
    1位 45〜54歳
    2位 35〜44歳
    3位 55〜64歳
    3位 65+歳
 40代以降の大人世代がワインを支持していることがわかります。ワインというのは、高いものだけではありませんが飲むとなくなってしまうもの。そこに若いうちから価値を見出すのがなかなか難しいのはよくわかります。実際、私もちゃんとワインを飲み始めたのは30代になってからでした。
でも、きっかけがあればワインにハマる人もたくさんいます。Twitterに集うワインアカウントには、20代による #同世代ワイン会 があって、とても楽しそう。ワインの価格は上昇傾向にありますが、ワインショップの角打ちや試飲会など、気軽に参加できる機会自体は増えているので、若い層の取り込みには東京ワインショップガイドもがんばっていきたいと思います。

一方で驚きの結果だったのは、男女別の関心度の違い。ワインに関心のある男女比は、おおよそ8:2。なぜこんなにも男女に差がついているのでしょうか。Twitterのリプライにも、
 ・ワインスクールは女性の方が多い
 ・ワイン会に行くと、女性方が多いこともある
という意見もありました。これは私もそう思います。しかし、こうした女性はたぶん稀なのでしょう。
私が考察するに、女性のワイン関心度が低い理由は、女性には出産の機会があり、妊娠・授乳期にアルコールを摂取できない期間があることがきっかけでしょう。それまでさほどワインを飲んでいなかった人は、気難しいイメージからさらに遠のき、それまでワインを飲んでいた人も子育てが中心となって関心が薄れていくだたと思います。
子育ては、授乳期間が終わっても、お子さんが小さいうちは夜に家を開けることは難しくなり、お酒を提供する飲食店に出向く機会はかなり減ります。複数のお子さんを出産する場合は、お酒を外で飲まない期間が非常に長くなり、ワインに関心が向きにくくなるのは当然といえます。
「家で飲めばいいじゃないか」と思われる方がいるかもしれません。しかし、ワインは外で飲むもので、自分で何を選んでいいかわからない、という人は非常に多いのです。
板橋の「アンケヴィーノ!」は、30代ママの鈴木知佳さんが店主を務めるワインショップ。座談会で話を聞いたときに、「自分と同じようなママたちに個性的なワインとちょっと上質なチーズをセットですすめると、感動してもらえる」と教えてくれました。ワインを飲むなら「レストランに行かなくては」「マリアージュを考えなくては」と気構えている人は多く、おうちワインの楽しみ方を知らない人は多いもの。だから「おうちでチーズをかじってワインを飲むだけでもこんなに楽しんだ」ということを発見し、感動するのです。
そのため、鈴木さんは授乳中のママにはノンアルワインをすすめ、ワインの楽しさを知ってもらったり、戻って来やすいようにしている、ともおっしゃってました。おうちワインを気さくにすすめてくれるワインショップの存在は、今後、女性のワイン関心度をあげるキーになってくるはずです。
いろいろ考察してきましたが、きっとほかにも理由があると思います。ワインの関心度について、「これは!」と思うご意見があれば、ぜひ東京ワインショップガイドのSNSに投稿いただけるとうれしいです。
長い文章を読んでいただき、ありがとうございます。ワインの記事をたくさんアップしてますので、「東京ワインショップガイド」にも遊びにきてください。

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