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トーキョーNo.1カレー

小田急沿いのパっとしない私大に通っていた頃、下北はピンクのモヤがかかって見えた(ドラえもんの映画に登場する、何か妖しい力に誘われるときのメタファー)。小指だけマニュキュアを塗った映画研究会の先輩(男)が、テキーラ入りのショットグラスを勢い良くテーブルに打ち付けて、さっと煽る。女子校上がりの地味子である私は、それだけで目を丸くする。この人は全然面白くないけど、この街には通い詰めたいと思った。

学生時代は、donaでさっき見た芝居の感想を興奮気味に語り合うのが最高級の遊びだった。社会人になってからはカフェ廻りをしたり(katecoffeeは住みたいくらい好き)、奇抜なピアスを探すために通った。顔と胴体を2枚のメタルで表現したキリン、重量感のあるヘッドホン、胸ハートがついたロボット。そういうオモチャのようなデザインが好きだった。

昔ながらの靴屋さんや行ってみたかったジャズ喫茶が姿を消し、どこにでもあるチェーン店が目立つようになっても、下北は私にとってハレの街である。ここ数年は眼鏡屋のまといさん→アンジャリさんでカレーというのがゴールデンコースになっている。

まといさんは、海外のフレームを多く扱うオシャレな店。居心地が良くて部室のような雰囲気があるので、お喋りを楽しむ場所と勘違いしそうになる。いつも待ち合わせに使ってごめんなさい。数年以内にもう一本買いたい。(今までに買ったのは3本)

毎日食べたいカレーがある。アンジャリのマトンキーマだ。そぼろのような食感で、噛むほど旨味が染み出して来る。付け合わせの緑豆とキュウリの和え物、パパド、茹で卵をちょっとずつ口に運べば、緩み切った表情の自分が現れる。マトンの香りが苦手という人が隣に座ったら、一口お裾分けして試してもらいたいと思う。

エビもチキンも鰆のカレーも、チキンピクルスも。とにかく食べたもの皆に幸せを感じる。キャベツのココナツオイル炒めだけでビール一本飲めると思った。同じインドでも、北部の油や塩気の多い味付けとは違って、安心する(アンジャリは南インド寄り)。ミドサーの胃袋は悲しいかな、ご飯少なめがちょうどいいけれど、毎度また来ようと気持ちを新たにして店を出る。

今はおいそれと遠くまで出られないので、インスタを見守るばかりである。テイクアウトのみやっているそうなので、お近くの人はせひ。※材料が揃わないために休みの日もあるので、インスタorTEL確認されたし。

カレー好きの我が家は、週3くらいカレーを食べている。今日も近所の店でテイクアウトしてみたが、やはりアンジャリには敵わなかった。明けたらお腹を空かせてお邪魔します。





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