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ナイトメア・ビフォア・クリスマス

倫理観とかは1度捨ててから見て下さい。

ハロウィンがやってきますね。
ハロウィンの名作と言えばそれなりに色々ございますが、今回はナイトメア・ビフォア・クリスマスの話を。

ナイトメア・ビフォア・クリスマス
監督:ヘンリー・セリック
原案:ティム・バートン
1993年公開

あらすじ
ハロウィンタウンの住人は人々を恐怖に陥れることが大好き!ハロウィンタウンの王様(市長ではない)ジャックは毎年恒例のハロウィンをバチボコにブチアゲて行きます。小汚い住人たちはみんなジャックが大好き!でもジャックはちょっと引き気味です。みんなの頼れるリーダーでありながら、若干飽きが出てきてしまったのです。

そんな中、うっかり転がりこんだクリスマスタウンで暖かな明かり幸せな人々を目の当たりにし、「これだ!!!」と思いこんでしまいます。最悪です。ここからジャックによる舐めプクリスマスが始まります。いや彼なりに調べてはいるんですが、クリスマスをツッコミどころだらけの謎の科学実験で分析し、ハロウィンタウンの尺度で再解釈した最悪リミックス版をリリースしてしまうのです。しかもサンタは拉致監禁しています。最悪です。

なんやかんやで失敗するんですが(当たり前体操)、逆ギレです。

「でもンまァー僕はよくやった!!!素晴らしい経験をした!!!次のハロウィン頑張るぞい!!!」
情緒どうなっとんねん

「クリスマスをやり直してもらおう!!サンディクローズ(サンタを聞き間違えてこう呼んでいる)に!!!」
いやお前が責任持てや

そして拉致担当者から悪のブギー親分へ横流しされたサンタを助けてめでたしめでたしと…..

そうはならんやろ

以上がざっっっっくりしたあらすじなんですが、もう薄々お分かり頂ける通りウスラトンカチしか出てきません。被害者はサンタと世界の子供たち、止めようとはしていたサリー(ツギハギボディのキュートなカノジョ)。あとは正直全員加害者です。嘘だろ?てくらい。

ウスラトンカチたちがいらんことして世界が激怒。
尻拭いはなぜか拉致監禁されていたサンタがさせられる。

可哀想すぎる…..もっとキレていい….

そう、ものすごい理不尽映画なんですよね、これ。
よくあるヒーローとヴィランの構図ではないのも特徴。正直1番いらんことしてるのが主人公なんですよ。
でも悪気が一切無い。反省もあんまない。逆ギレで開き直り始める。それでいいのかジャックっていうくらい開き直る。別にクリスマスを一緒に成功させる訳でもなく、「ジャックにクリスマスは向いてませんでした」という惨いまでのド正論の結論に至る訳ですが、最後に残るものがあります。ハロウィンタウンにも雪が降り、輸入したクリスマスの文化が少しだけ根付いたのです。

この作品は、開き直ったジャックが言った通り、無意味な挑戦に思えても、無謀でも、挑むことで残る物がある。失敗しても、「向いてない」という惨いまでの現実でも、なにかひと握り残るものがあればそれは経験であり失敗ではない。挑戦は尊く、難しく、非難の的になることもあるが、怖気付いてはならない。大丈夫、先達がいる。時には無責任に尻拭いをさせることもあるかもしれないが、怒っていてもやってはくれるさ。でも悪意はいけない。悪意を持った途端、悪者にされてしまうからね。

という映画なのかな、と受け取っています。
倫理観はぶっ壊れてますが、実はかなり現実的な示唆に富んだ作品だと思うのです。やぶれかぶれでもいいから前に進みたい時に、「無責任上等!!!なんとかなる!!!」という特殊な背中の押し方をしてくれる映画です。

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