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のざわの映画感想文

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映画感想・推薦・考察などを扱った記事です。娯楽映画が中心です。準メインコンテンツ。
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#洋画

「金曜ロードショー」リクエスト企画で流してほしい映画 5選

「金曜ロードショー」リクエスト企画で流してほしい映画 5選

●放映リクエスト企画、開催

日本テレビ系列「金曜ロードショー」(以下、金ロー)の放映リクエスト企画。その第6弾の募集がスタートした。
 これまでも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「E.T.」「ショーシャンクの空に」等といった名作が放映され、好評を博しているこの企画。俺もしっかりと5作品を投票させて頂いた。

 今はサブスクサービスが充実し、気になる過去作を好きな時に観られる時代である。一方、地

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華やかで楽しい。しかし惜しい。愛すべきお祭り映画 「スペース・プレイヤーズ」 (2022年映画記録 8)

華やかで楽しい。しかし惜しい。愛すべきお祭り映画 「スペース・プレイヤーズ」 (2022年映画記録 8)

 アカデミー賞授賞式の前夜に、最低の映画を選び表彰するジョーク賞:ゴールデンラズベリー賞(以下ラジー賞)。2022年の「最低男優賞」「最低スクリーンコンボ賞」「最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞」の三部門を受賞してしまった作品が、この「スペース・プレイヤーズ」である。

●“ラジー賞”に関する私見

 「スペース・プレイヤーズ」を語る前に、まずラジー賞について触れておく。
 賞の存在(ある種の嘲笑

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その視線が意味するものは?「THE BATMAN -ザ・バットマン-」 (2022年映画記録 7)

その視線が意味するものは?「THE BATMAN -ザ・バットマン-」 (2022年映画記録 7)

 「THE BATMAN -ザ・バットマン-」は何者かの“視点”、そして“見ること・見られること”が殊更に強調された作品だったように思える。既に他の皆様が言及済みの観点かもしれないが、個人的に印象に残ったそれらの場面を抜粋し、ネタバレを避けながら語っていきたい。

●映画全体の感想

 本作はヒーロー映画と「セブン」的な犯罪スリラー、或いはバディモノ探偵サスペンスのジャンルMIX型映画であり、3時

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掘り出し物の乗り物パニック映画!「激流」(2022年映画記録 5)

掘り出し物の乗り物パニック映画!「激流」(2022年映画記録 5)

 “乗り物パニック映画”というジャンルの映画群が存在する。乗り物に乗り合わせた主人公一同が、何らかの要因で危険な状況に陥り、それを打開するために足掻く…。こうした物語構造の作品を、皆様も一度は目にしたことがあるはずだ。

 この手のジャンル映画の最大のヒット作は「タイタニック」と思われる。この作品はシンプルな“恋愛映画”として見做されがちな一方、ラブロマンス要素を前面に推し出した前半とは打って変わ

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「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」と“救済” (2022年映画記録 2)

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」と“救済” (2022年映画記録 2)

※ネタバレ含みます!
※本文中の人名は敬称略で表記しています。

・歓声に包まれて

 映画館で歓声が起きた。
 “スタッフロール後の拍手”を経験したことはあるが、“上映中の歓声”に遭遇したのは生まれて初めてだった。
 別世界のピーター・パーカー:スパイダーマン──即ちアンドリュー・ガーフィールド、そしてトビー・マグワイアが池袋のスクリーンに姿を表した途端、観客の心は一つになった。

 今にして思

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る 14 十一月編 その2

2021年に観て印象深かった映画を振り返る 14 十一月編 その2

まえがき

 2021年も残すところあと十日ほど。現状十二月に観た映画は十作品にも満たずさほど印象に残っていないので、これから月末にかけて観る作品次第で「◯月編」は今回の記事で締めくくることになりそうです。
 そして最終的に「2021年に観て印象深かった映画を振り返る 一年間のまとめ(仮)」といったような記事で、今年観た作品の総括をしようかと考えています。どうにか今年中に書ければ良いのですが…。

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る 13 十一月編 その1

2021年に観て印象深かった映画を振り返る 13 十一月編 その1

 十一月は印象に残った作品が多く三本に絞りきれなかったので、二回の記事に分け感想を述べることにする。どうにか年内までに「十二月編」へ到達できるよう、纏めるペースを少々上げていきたい。

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021年)

 ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は“00エージェント”を退き、ジャマイカで静かに暮らしていた。しかし、CIAの旧友フィリックスが助けを求めてきたことで

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る 12  十月編

2021年に観て印象深かった映画を振り返る 12 十月編


前書き

 前回の「九月編」を、note公式マガジン「映画記事 まとめ」「舞台マガジン 記事まとめ」に追加して頂けたようです。ありがとうございます。
 なぜか舞台関係のマガジンにも含まれているのは、恐らく舞台版が定期的に上演されている「リトル・ダンサー」(2000年)、ミュージカル要素を含む「竜とそばかすの姫」(2021年)の感想を書いたからかな?と想像しております。

 …そんな訳で、以下より

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る 11 九月編

2021年に観て印象深かった映画を振り返る 11 九月編

※12/2 誤字・脱字を修正しました。

 八月はそれほど印象に残る作品が無かったので、前回の「七月編」に続く感想記事は今回の九月編になります。前置きはここまでとして、本編をどうぞ。

「リトル・ダンサー」(2000年)

 イギリスの炭坑町で暮らす11歳のビリーは、ふとしたきっかけからクラシック・バレエに夢中になる。男がバレエだなんてみっともない、と炭坑ストで失業中のパパは猛反対。だがバレエ教室

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「ロッキー4」ディレクターズカット版完成によせて

「ロッキー4」ディレクターズカット版完成によせて

 以前から製作が噂されていた「ロッキー4/炎の友情」のディレクターズカット版が、ついに完成を迎えたようだ。

 シルヴェスター・スタローン氏(以下スタローン)監督・脚本・主演作:「ロッキー4/炎の友情」(1985年)。
 シリアスなヒューマンドラマ・恋愛映画としての色が濃かった初代「ロッキー」と異なり、本作は娯楽アクション・スポ根色を全面に打ち出していた。よって初代「ロッキー」のようにアカデミー作

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る⑨ 六月編

2021年に観て印象深かった映画を振り返る⑨ 六月編

 今年の六月は“noteを始めよう!”と決意した時期。振り返ってみると、この頃の俺は活字からインスピレーションを得ようとしてエッセイ本を読み漁っていた。そんな風に余暇を使っていた影響で、六月はたったの二作品しか映画を観ていない。幸いなことに、そのどちらも魅力的な作品であったのでここに感想を記しておく。

「アウトサイダー」(1983年)

 オクラホマ州タルサでは、貧困層の若者のグループ「グリース

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ハリウッド映画「ファイナルファンタジー」を大真面目に再検証する

ハリウッド映画「ファイナルファンタジー」を大真面目に再検証する


1、はじめに

 今日から20年前の、2001年9月15日。映画「FINAL FANTASY:The Spirits Within」、いわゆるハリウッド映画版ファイナルファンタジーが日本で公開された。
 FF好きだった小学生時代の俺はロクに作品の内容も調べず、「どうしても気になる映画があるから!」と父親にねだり本作を観に連れて行ってもらった。当時は確か「FF4」か「FF9」を遊んでいた時期。機械

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2021年に観て印象深かった映画を振り返る② 一月編 その2

2021年に観て印象深かった映画を振り返る② 一月編 その2

 本稿では以前の記事に引き続き、今年の一月に自宅で鑑賞して特に印象深かった映画を振り返っていきたい。今回挙げる三本は、様々な意味で刺激が強かった映画となる。なお、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」のみネタバレを含むのでご注意を。

4、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」(1997年)

TV版のもう一つの結末として描かれた劇場版完結編。TV版の第弐拾

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フィリップ・K・ディック著『マイノリティ・リポート』の冒頭の見事さ

フィリップ・K・ディック著『マイノリティ・リポート』の冒頭の見事さ



1、海外SF小説と俺

 「#海外文学のススメ」というタグを見て俺が真っ先に連想したのは、フィリップ・K・ディック氏(以下 PKD)が著し、浅倉久志氏が訳した『マイノリティ・リポート(旧題:少数報告)』だった。

 学生時代、メジャーどころの海外SF小説を読むことにハマっていた。
 当時、通学に使っていた地下鉄のトンネル内では携帯電話の電波が届かなかった。今日のように好き放題スマホで時間を潰す

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