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中高生のための対話入門〜政治について話してみよう!〜

部活の話、進路の話、趣味の話…。友人との会話の中で、政治や社会の話題はなんとなく自然には話しづらい。

NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)の高校生メンバーである私は、ずっと、政治を気軽に話せる場所が欲しいと思っていました。でも、私自身、政治や社会について話した経験は多くありません。有名人の差別的発言など、少し身近な話題をきっかけに友人と話しをしようとしても、相手からの反応が良くなかったらどうしようと怖くて、一歩が踏み出せずにいました。

どうしたら「政治」について、気持ちよく自然に、そして当たり前に会話ができるのか。

もしかしたら、自分たちと同じ疑問を持っている中高生は多いのかもしれない。
そんな想いから、政治に関する「対話」のコツを伝え、安心して政治や社会問題について話してもらうためのイベントを開催しました。

本イベントを企画した、NYNJの高校生メンバー、古井・安澤の2人から、イベントの様子をお伝えします。

イベント概要
「政治について話してみよう!〜中高生のための対話入門〜」
3月20日(土)15:00〜16:30

プログラム

オープニング 
アイスブレイク「日本の政治と聞いて連想するものは?」 
レクチャー① 右・左って何? 〜自分のスタンスを知ろう〜
レクチャー② 対話することはなぜ大事なの? 〜対話のコツを知ろう〜
ディスカッション 実際に同世代の子と話してみよう! 
ヒアリング 政治の教科書にフィードバック
クロージング 

対話のコツが、きっと政治の会話を身近にする

イベントを企画にあたり、政治や社会について気軽に話せないワケを考えてみると「政治や社会について話す機会や場所がないから」ということに加えて、「知識がなく、自分から語りだす自信がない」「どうやって話せば、関心を持ってもらうことができるのか、意見のぶつかり合いになることなく自然に話ができるのか分からない」ことも、政治について話すハードルの高さを作り出しているように思いました。

だからこそ、このイベントでは、政治や社会について話す機会をつくるだけでなく、ぜひそのノウハウと経験を持ち帰って、身近な人と政治を話していく輪を広げてほしい。

そこで、イベント第1部では、政治を話すための知識がない、対話の仕方が分からないという課題を解決すべく、政治の基礎知識と対話のコツという2点のレクチャーを行いました。

基礎知識編では、右派・左派や保守・リベラルといった、新聞やニュースで聞いたことがあるけれど、実はよく分からないという言葉について、本来の意味をレクチャー。

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また、ノーランチャートという表を、自分のスタンスを客観視する一つのツールとして紹介しました。この表は、政治における4つのスタンス、つまり考え方の違い(リバタリアン、リベラル、共同体思考、保守)を示したものです。

自分が大切にしている価値観が、相対的にはどんな位置づけにあるかを知ることで、対話の際に自分の意見の理由付けをする参考にもなります。

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次に、対話のコツ編では「正解はない」「相手の考えを知る。そして理解する。」という2つのポイントをお話しした上で、それらを意識して実際に対話をするためのコツを、4つお伝えしました。

話すときのコツ① 意見がはっきりしていなくても伝えてみる
話すときのコツ② 主語は小さく、なるべく「私」に
聞くときのコツ① 全てのことを理解しなくても大丈夫!
聞くときのコツ② 答えや結論を見つけようとしなくていい

参加者の皆さんからは、
「対話のコツ、左右の違いについてのレクチャーで、今までなんとなくの知識だったものが整理された」
「日々の会話の中でも「私」を主語に使う必要性を感じた」
という感想をいただき「対話は大事」と認識するだけでなく、具体的なコツ・技術について伝えることの大切さを実感しました。

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同世代の友達と、政治について話してみよう!

第2部は、ディスカッションパート。レクチャーでお伝えした基礎知識や対話のコツを実践してもらう時間です。

ジェンダー・教育・選挙・環境の4つのテーマでグループ分けをし、テーマに基づいてディスカッションをしてもらいました。

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例えば、「選挙」のグループでは、自分が大人になって投票に行くと思うか、若者の投票率が低いことに関して改善すべきだと思うか、というテーマでディスカッションを行いました。

「(投票率の)数字を上げるだけでなく、どうしたら政治に興味を持って候補者を選ぶ人を増やせるかが大切だ」という声があがり、どうすれば選挙がより身近になるかを話し合っているうちに、あっという間に20分が経ちました。

「同世代の人と政治のことを話そうと思っても、真面目扱いされることが多いけど、このように同世代で社会について考えている人がいると思えるのが、嬉しかった」
「グループ別ディスカッションでは、初めて同年代の方々と政治についてお話をしました!!すごく楽しかった」
という声もいただき、政治について話すことを少しでもポジティブに感じてもらえたのではないかと思います。

中高生向けの「政治の教科書」を。

実は、本イベントは全体を通じて、ある書籍をベースに実施をしていました。
2021年夏頃の出版を目指し、現在NYNJが作成中の「政治の教科書(仮)」です。

この書籍は、高校生や大学生を中心としたU30向けに「政治を語る共通言語を持つ」ことをコンセプトにした教科書本です。実際に社会で起こっていることや、政治についての基礎知識をもとに、日常的に政治に関する「対話」ができるようになるヒントをたくさん詰め込んだ本になる予定です。

本イベントのレクチャーでお伝えした「基礎知識」や「対話のコツ」は、この本を下敷きにポイントをまとめていました。イベントの最後にそのことを伝え、皆さんから、製本前の原稿に対し、当事者目線で率直な意見をいただくこともできました。

中高生から、もっと自然に・当たり前に政治を話したい。

冒頭でもお伝えしたとおり、今回の企画に中心に関わった私たち、古井・安澤は、高校生メンバー。
私、古井は、アメリカの高校生とお話しする機会があった際、同い年の子が抗議活動に参加したり、SNS上などで自分の考えを主張していて、驚いた経験があります。
政治は年齢、性別を問わず、参加できるものなのだと知りました。だからこそ、自分は日本の高校生として、周りの同世代の人が少しずつでも自分なりの考えを持てるように行動をしてみたかった。今回、中高生向けのイベントを形にできて、とても嬉しく思っています。

自分一人では変えることが難しいと感じる社会でも、友達・家族と喋ることやSNSのシェア・いいねで届ける自分の声に価値があると実感することが、わたしたちが自分たちの手で未来をつくる社会の実現につながる。NO YOUTH NO JAPANのイベントがそんな最初の一歩になったら幸いです。

一方で、社会に対するモヤモヤがあるのに、友達と思いを共有できない、社会に若者の声を届けきることができないという課題は、この一回のイベントで解決したわけではありません。

NYNJが団体として大切にしている想いの一つに「あなたの声は原石だ!」という言葉がありますが、私は「中高生の声は原石だ!」という想いのもと、これからも、中高生が自分の声を届ける経験を提供できるイベントづくりにチャレンジしていきます。

(文=古井美好、安澤 朱織)

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