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神戸からのデジタルヘルスレポート #58 (COVID-19/感染症対策)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第58回、COVID-19向けのソリューションを取り上げます。!デジタルヘルスと遠い検査キットなども入っています。どなたかのためになればと。

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1. Vault Health Test Kit:唾液検査キット

企業名:Vault Health Inc.
URL:https://www.vaulthealth.com/
設立年・所在地:2018年・ニューヨーク/アメリカ
直近ラウンド:Venture Round(2020年3月)
調達金額:$30m(Tiger Global Management, Redesign Healthなど)

Vault HealthはRUCDR Infinite BiologicsおよびSpectrum Solutionsと連携し、在宅でも検査ができるCOVID-19の検査キットを開発しました。5月上旬にFDA承認が得られたため、既に一般向けに販売が開始されています。1回150ドル。

同社の本業は男性の心身の健康を支援するための治療プランを提供しているサービス。75ドル/月で、サプリメントやカウンセリング、パフォーマンストラッキングなどのサービスを提供しています。今回、Vault Healthが持っているロジスティックスやカウンセリング等のインフラを活用して、唾液検査のキットを配送し、利用してもらう、ということなんでしょうね。

COVID-19の検査キットは直接自宅に届けられ、実際に検査を行う際にはZoom経由でアドバイザーの指導が入ります。採取後は、キットを送り返し、48時間~72時間後に結果が届きます。"May be reimbursable by insurance under the Cares Act(たぶん、保険でカバーされるよ!)"という表現がまた。

コスト構造も公開しており、150ドルのうち74ドルがキット及び解析費用、29ドルが送料...など、これだけ見るとだいぶ利幅が薄そうなモデル。

「検査の数をむやみに増やすことは感染を抑えることにつながるのか」という議論は世界中でなされています。唾液で一定検査ができるよ!という科学技術の進歩、商品としての価値と、それをすること・広めることが社会・集団にとって意義あることかは区別して考え、前進していけるといいなと思っています。

2. Blue Dot:感染症追跡プラットフォーム

企業名:BlueDot ,Inc
URL:https://bluedot.global/
設立年・所在地:2008年・トロント/カナダ
直近ラウンド:Series A(2019年8月)
調達金額:$9.4m(BDC Venture Capital, Horizons Ventures など)

Blue Dotは、感染症をリアルタイムに追跡し、感染リスクが最も深刻な地域を予測・警告するプラットフォームです。1日に数十万の航空交通情報を含むニュース記事を選別できるアルゴリズムで、感染症の拡大を検出および監視します。さらに、飛行機の運行データからも感染拡大を予測を行っています。実際に、COVID-19が出始めた時期から感染拡大に対する予測を早期から行い、CDCやWHOが警告を出すよりも早く武漢への警告を発令したという実績もあります。

プラットフォームは、65か国の言語に対応しているので、世界の感染症に関わる情報をリアルタイムで収集することが可能です。追跡できる感染症はなんと150種類以上。今回のCOVID-19の先にも、新たな感染症の発生・拡大リスクが見えている中で、このカバレッジ。

実績も十分。各国政府はもちろん、航空会社もクライアントとして参画しています。

このプラットフォームは、CEOであるKamran Khan氏は、2002年から2003年にSARSが流行した際にBlue Botを開発することを決めました。その時期に、同氏は感染症を専門とする医師だったにも関わらず、多くの患者が救うことができず見守るしかなかったという過去があり、それが動機となったと話しています。

感染症は、人の移動によって拡大していきます。公衆衛生の観点では、各国の状況や国家間の人の動きを監視し、対策を講じることが重要な感染対策の一つです。このプラットフォームは対策を講じる一助にもなるでしょう。個人を怪我させずに透明性を高める、個人的に好きな思想のサービスでした。

3. Rokid:体温測定サーモグラフィグラス

企業名:Hangzhou Lingban Technology Co., Ltd.
URL:https://www.rokid.com/
設立年・所在地:2014年・杭州市/中国
直近ラウンド:Series B(2018年1月)
調達金額:$158.3m(Temasek Holdings, Credit Suisse)

Rokidは、赤外線センサーを用いた人の体温を検知するサーモグラフィグラスです。中国は杭州発。元来はAI+AR技術を統合したソリューションとして開発され、美術館や博物館での展示案内や工場内での作業者補助目的などでの活用を打ち出していましたが、いまWebを見ると体温検出を真ん中に据えて紹介していますね。

最新プロダクト”Rokid Glass 2 Foldable AR glasses”の紹介ページがこちら。3mの範囲にいる最大200人の温度を検出できる赤外線センサーに加えて、12メガピクセルのカメラによる写真やビデオの記録、音声操作などの機能が組み込まれています。

空港などに設置されている大規模なスキャニング装置に比べてコストや設置スペースを削減できることは大きなアドバンテージですよね。検出主体が移動できますから。

同社は、企業、病院、法執行機関における感染者の検出を支援するために、B2B販売を計画しています。上記の動画にもあるように、施設で警備員が装着するという形になりそうです。施設のホットスポット化を避けたい管理者にとって、簡易スクリーニング目的で役に立つプロダクトになりそう。

4. Qure AI:COVID-19の診療支援ソリューション

企業名:Qure AI
URL:http://qure.ai/
設立年・所在地:2016年・ムンバイ/インド
直近ラウンド:Venture Round(2020年2月)
調達金額:$16m(fractal, Sequoia Capital India, MassMutual Ventures Southeast Asia)

Qure AIはインド発のスタートアップで、医療画像解析のソリューション開発・提供をコア事業にしています。胸部X線画像を対象にしたqXR、頭部CT画像を対象にしたqERなど、2016年創業ながらプロダクトをがんがんリリースしている強企業。CE/FDA取得・承認ももちろん。

従来の技術をCOVID-19向けに活用し、3月末よりAI Powered Pandemic Responseをサービスとして提供しています。

このソリューションは、病院での医療崩壊が懸念される中で医師の負担を減少させ、COVID-19パンデミックと戦うための現場支援を目的としています。既に24を超える国々で利用されており、すでに250 万枚もの画像分析が行われた模様。今後は診療支援だけでなく、胸部画像を集約した大規模データセットとして研究利用への道も模索していくそうです。

今後数年でどのような成長を遂げるのか...!!

5. Kinsa:スマート温度計

企業名:Kinsa Health
URL:https://www.kinsahealth.co/
設立年・所在地:2012年・サンフランシスコ/アメリカ
直近ラウンド:Series B(2017年3月)
調達金額:$29.2m(Alumni Ventures Group, GSR Ventures)

Kinsaは、スマホ連携型のスマート体温計を開発・提供しています。アプリ上で年齢・症状を入力しておくことで、計測された体温と掛け合わせて「で、どうしたらいいの?」の判断を助けてくれます。

NBAの選手の体調管理や感染チェックにも、Kinsaのプロダクトが使われています。↓実際につかているシーンがこんな感じで。

同社のTwitterアカウントでは、COVID-19系の発信を積極的にしています。フォロワーも1.4万人。スタートアップの公式アカウントにしては随分いるなぁという印象です。時代背景もあり、今後需要がますます高まりそう。

https://twitter.com/kinsa

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こんな感じで、第58回でした。
過去分もたっぷり厚くなってきました。マガジンのほうもぜひ見てみてください:-)

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Cobe Associeという小さな事業支援会社をやっております。 「決断と行動、愛とユーモア、柔らかくも強く」がテーマで、将棋が好き。 神戸から, 全国のプロジェクト支援をしています. ex-BCGer. ポートフォリオ:https://tanakanozomi.work
コメント (1)
個人的にはBlue Dotの感染症追跡プラットフォームを使ってみたいです。
GO TO Travelとか言っても、どの場所がリスクが高いか分からず、結局家にいる、という人が多くて、経済がまわっていかない気がしているので。
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