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神戸からのデジタルヘルスレポート #31 (Rendever/iBreastExam/Kegelbell/Litesprite/Belle)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

2月はじめの今回は、第31回です!もう31回か...(そういえば今月31歳になります...)

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1. Rendever:高齢者に認知刺激、社会性活性化を促すVRプラットフォーム

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企業名:Rendever
URL:https://www.rendever.com/
設立年・所在地:2015年・マサチューセッツ/ケンブリッジ
直近ラウンド:Grant(2017年6月)
調達金額:$40k(MIT delta v/MassChallenge)

高齢者にとって、孤独感や社会的孤立感(社会的に孤立していると思うこと)は、1日にタバコを15本吸うのと同じくらい健康に悪影響を及ぼすことが報告されています。特に、身体障がいや認知機能が低下している高齢者は、自由が制限されるため、孤独感や社会的孤立感を感じやすい悪循環のサイクルに陥りがちです。

Rendeverは、高齢者のメンタルヘルスを改善し、高齢者に認知刺激、社会性の活性化を促すVRプラットフォームです。VRを装着し、仮想空間を旅行することもできますし、自分の幼少期の思い出の場所に訪れたり、子供や奥さんとの思い出の場所を訪れたり。これらの経験について家族と話し合うことで、家族とのつながりや関係性の再確認することができます。

高齢者にとって、家にいながら様々な場所に行けることは、新たな認知刺激をもたらし、VRを体験することによる社会性の活性化が促されます。ただデバイスを使用するだけでなく、VRを介して高齢者同士をつなげる、家族とつなげるというツール、きっかけの1つとして使用していくことが大事なのではないかと感じました。

Rendever社のWebにある、"Relive/Reconnect/Reinspire"というコンセプトがとても素敵だと思いました。人生、いつでも遅すぎるということはないんやなぁ。

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2. iBreastExam:痛みなしの乳がん検査デバイス

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企業名:UE LifeSciences
URL:https://www.uelifesciences.com/
設立年・所在地:2009年・フィラデルフィア
直近ラウンド:Venture Round(2016年10月)
調達金額:$4.2m(Aarin Capital、Unitus Venturesなど)

Google社のAIによる乳がん判定精度が専門医を上回った、というニュースが年末年始くらいのタイミングで出てきました。既存のスクリーニング手段・マンモグラフィは偽陽性/偽陰性が相応に存在し、かつ患者にストレスを与える調査方法とされています。技術でこのあたりがアップデートされていくのは素晴らしいですね。

さて、iBreastExamは医療従事者が放射線なし&患者に痛みを与えることなく、わずか数分で触知できない乳房のしこりを特定することができるデバイスを開発・提供しています。FDA認可済みで、検査に必要十分な感度/特異度の水準を達成している、とのこと。

このプロダクトは年令を問わず全ての女性に使用することができ、胸部に当てるだけで終わり。結果を得るまでの合計時間は10分ほど、専用アプリで内容を確認できます。現在、アメリカだけでなく、インド・メキシコ・ミャンマーなどでも利用できるとのこと。これまで12カ国で30万人以上の女性に対して使われている実績があります。

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また、同社は子宮頸がんに有効な検査デバイス(cervaical)も開発しています。婦人科系がんの検出のために戦う、素晴らしいミッションを持ったスタートアップ。米国・インド・マレーシアにチームがあるらしい。いいなー訪れたい。

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3. Kegelbell:女性の骨盤底筋群トレーニングツール

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企業名:Kegelbell
URL:https://www.kegelbell.com/
設立年・所在地:2016年・アリゾナ/メサ
直近ラウンド:Seed(2019年5月)
調達金額:$150k(Jumpstart Foundry)

女性にとって、尿失禁は重要な問題です。特に産後女性においては、日本でも40%もの人が尿失禁を経験するという報告もあり、メンタルヘルスの文脈でも大きな問題の一つとされています。尿失禁には、機序によってタイプが異なりますが、多くが骨盤底筋群(主に膣の周りの筋肉や骨盤の付着する尿道や肛門を開け閉めする筋肉)の弱化が原因といわれており、重症なものでなければトレーニングをすることにより改善することが出来ます。

そのために開発されたのが、Kagebellという製品。使い方は簡単で、黄色いシリコンゴムの部分を膣の中に装着し、製品が落ちないようにキープするだけです。重りは30g単位で30g~240gで調節することができます。

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Kegelbellのような運動は、尿失禁に対する治療として、また、予防プロトコルの一部として推奨されています。出産などのイベントで一度低下した骨盤底筋群は閉経によってさらに弱化していくことが一般的で、その変化に気づくことも難しいです。そのため、上記の製品を20代、30代の若いうちから使用することが、予防あるいは自分の体の状態を知ることができるスクリーニングツールとしても役に立つでしょう。

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Kegelbellチームは、女性で女性特有の問題点に着眼し、そのソリューションを提供することを使命としています。正直、男性からはなかなか踏み込みにくい領域です。同性ならではの着眼点で素晴らしいなぁと。

4. Litesprite:健康管理/ストレス対策モバイルゲーム

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企業名:Litesprite
URL:https://litesprite.com/
設立年・所在地:2013年・ワシントン/ベルビュー
直近ラウンド:Seed(2019年11月)
調達金額:$260k(Bayerなど)

Litesprite's platformは、糖尿病などの慢性疾患やうつ病や不安・ストレスを抱えやすい人が自分の健康状態を管理しやすくするためのモバイルゲームプラットフォーム。ゲームの中に組み込まれた健康・疾患に関わるアクティビティやミニゲームをこなしながら楽しみながら健康的な週間を学ぶことができるため、プレイヤーの行動変容に繋がりやすいという利点があります。

こういった手法は認知行動療法というエビデンスに基づいた治療法であり、メンタルイシューを抱えた患者さんなどに用いられる治療法です。問題点となる行動や習慣のもとになっている認知のゆがみにアプローチを行い、それを矯正することで行動を変えていきます。ただ、長年積み重なった認知や価値観は簡単に変えるのは難しく、継続しにくい治療法でもあります。モバイルゲームという手法を用いて"治療"という感覚を緩め、あくまで楽しく!というスタンスで行ってもらうというのは素晴らしいやり方だと思います。

19年11月にはバイエルがSeedラウンドに参加し投資実行しています。製薬会社も、こういう取組みにアンテナを張る時代なんですね。面白くなってきた。

5. Belle:フットケア特化型訪問サービス

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企業名:Belle Care
URL:https://bellecares.com/
設立年・所在地:N/A
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

毎年百万人近くのアメリカ人が糖尿病や神経疾患などによる足の潰瘍、感染症、切断に苦しんでいるといわれています。 Belleは、在宅における高度なフットケアを提供することにより、足と可動性を保護してくれます。

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サービスの利用の仕方は簡単で、専用の電話番号に電話をして、予約するだけです。行ってくれるサービスとしては、以下のものがあります。

・足部のケアと治療、保湿、マッサージ
・足部の評価や管理
・足部の洗浄
・爪のケア

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Webサイトがスタイリッシュにまとまっていてよいなと。一方で東京フットケア協会さん....意外とこのビジュアルがハマったりするのかな。。行っていらっしゃるサービス自体は素晴らしいはずなので、ぜひビジュアルを。。

また同社は大きく事業をピボットさせている企業で、その様子をBelleの創業者・CEOのArmand Lauzonがインタビューで語っています。

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こんな感じで、第31回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)


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