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神戸からのデジタルヘルスレポート #64回/一旦最終回 (遺伝子)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

1年以上毎週続けてきたこのシリーズもいったん今回で最終回です!ちっこい会社で続けてやっていくのはなかなか大変という学び...またいつか書き始められる日を目指して!

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1. 23andMe DNA Test:唾液を用いた遺伝子検査キット

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企業名:23andMe, Inc.
URL:https://www.23andme.com/
設立年・所在地:2006年・サンフランシスコ/アメリカ
直近ラウンド:Venture Round(2019年3月)
調達金額:$786.1m(Pegasus Tech Ventures, Raj Luhar等)

DNA検査といえば、という23andMeから。

23andMe DNA Testは、唾液を用いた遺伝子検査キットです。自宅にいながら遺伝子の解析を行うことができます。

検査キットは現在3種類あり、
・祖先や遺伝子の特性を調べるキット($99)
・祖先・遺伝子特性に加えて自身の健康情報を調べるキット($199)
・上記に加え、VIP機能(即日の結果返却など)を加えたキット($499)
人気なのは真ん中のキットのようで。

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検査キットでは、遺伝子から疾患の発症予測に加えて、食事、運動、睡眠などのライフスタイルに関しても遺伝子という観点からレポートを作成してくれます。これが、ユーザーの行動変容につながっているみたいですね。

さらに、同社では蓄積された大規模データベースを使って新たな試みを始めています。南北アメリカ、西ヨーロッパ、および大西洋アフリカの5万人を超える人々の遺伝データをまとめ、に出された人々がどこから連れて来られどこで奴隷にされたか明らかにしようというものです。あくまで現在の人から得られる遺伝子からの推察なので限界はありますが、過去に何が起こったのか明らかにする素晴らしい取り組みだと思います。

2. Basepaws:猫のDNA検査キット

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企業名:Basepaws, Inc
URL:https://www.basepaws.com/
設立年・所在地:2016年・ロサンゼルス/アメリカ
直近ラウンド:Seed(2020年3月)
調達金額:$251k(IrishAngels, Intango Ventures)

Basepawsは、猫専用のDNA検査キットです。このキットでは、品種と血統の情報に加えて、特定の疾患のリスクを高める遺伝子マーカーの有無まで調べることができます。

手順も簡単で、綿棒で猫の唾液を採取するだけ。あとはサンプルを郵送し、結果の返却を待ちます。ホームページによると、4~6週間で結果が届くみたいです。結果レポートでは、猫の品種指数(Breed index)が示され、飼い猫に最も一致する品種を順にリストしてくれます。

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現在発売されているキットは3種類で、DNA検査に加えて健康状態の評価を行うキットもあります。

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同社がまず目指すのは、猫のDNAの大規模データベースの構築。そして、獣医や研究者と提携し、世界中の猫の病気を予防することを目指しています。

この検査キットは日本でも使用可能だそうです。拠点はまだアメリカにしかないので郵送料などはかかりますが、ペットのことをより深く知れるチャンスかもしれません。

3. Amplis:遺伝子検査による抗うつ薬処方適切化支援

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企業名:CNSDose
URL:https://cnsdose.com/
設立年・所在地:2015年・メルボルン/オーストラリア
直近ラウンド:Seed(2016年7月)
調達金額:$1m(Melbourne Accelerator Program)

CNSDoseは、遺伝子検査をもとに適切な抗うつ薬の処方を支援するプロダクトを提供しています。何というまっすぐな社名。遺伝子検査には、↑で紹介してきたプロダクトと同様、唾液が用いられます。

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Amplis™がもたらす効果は主に2つ。
・患者にあった治療および薬剤の提供が可能になること
・適切な薬剤の提供により、高齢者に起きやすい多剤併用を防げること

医師にとっても治療の意思決定が容易になるため、非常に有用なプロダクトです。RCTでも、従来の方法に比べて効果が高いことが証明されています。

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同製品は2019年から発売を開始し、主に米国とオーストラリアの500の診療所で使用されています。今後は、さらにアジア太平洋地域に事業を拡大させていくようです。遺伝子検査の可能性を感じさせるスタートアップでした!

4. the Foresight Carrier Screen:カップル向け遺伝性疾患スクリーニング

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企業名:Myriad Women's Health, Inc.
URL:https://myriadwomenshealth.com/
設立年・所在地:1991年・サンフランシスコ/アメリカ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Myriad Women's Health, Inc.は、遺伝性疾患が子供に発症するリスクが高いカップルをスクリーニングする検査を提供しています。

遺伝性疾患には、事前の対策や介入で予防できる疾患も存在します。あらかじめリスクを知っておけば、遺伝性疾患の発症確率を減らすことができます。少し長いですが、遺伝性疾患の要因や仕組みを紹介した動画をどうぞ。

スクリーニングによって高リスクと認定されたカップルには、専門家指導のもと治療計画の立案が行われます。経済面など多方面からのサポートをしてくれるため、安心して対策を行うことができます。

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同社はその他にも、がんのスクリーニングや出生前スクリーニングを行う検査も提供しています。どのサービスもスクリーニングだけでなく、その後のサポートまで充実しているのがいいなと思いました。

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5. Frankme:持ち運び可能なDNA検査キット

企業名:Biomeme, Inc.
URL:https://biomeme.com/
設立年・所在地:2012年・フィラデルフィア/アメリカ
直近ラウンド:Non-equity Assistance(2016年4月)
調達金額:$1.3m(ic@3401, Dreamit Ventures)

Frankmeは、持ち運びが可能なDNA検査キットです。これにより、場所を問わず迅速にDNA検査を行うことができます。

Frankme™の特徴は主に3つ。
・1時間未満で検査が可能であること
・2ポンドという重さでコンパクトであること
・内蔵バッテリーで1日分の作業が可能であること
検査制度も最先端のラボで使用されている設備と同等のものだそうです。

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場所を問わず使用できるため、自然公園や国境といった臨機応変な検査が必要な場所で使われることが多いようです。特に自然公園では、動物のDNA検査を行うために移動しなければいけないので、持ち運び可能なFrankme™はドンピシャな製品ということですね。

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こんな感じで、一旦最終回でした。長いことご覧いただいた皆様、ありがとうございましたー!ぜひマガジンの方に全部まとまっているので、ぜひ見てみてくださいー!

応援ありがとうございます!