神戸からのデジタルヘルスレポート #95(メンタルヘルス 2/2)
『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。
2022年は、昨年2021年に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。毎週木曜日朝配信を予定しています!
今回は前回に続き、メンタルヘルス第2弾です。
1. Psiconnect- Psicología Online:オンライン心理相談
Psiconnect- Psicología Onlineは、オンラインによる心理相談サービスを提供しています。どのセラピストからセッションを受けるのか、ユーザー自身が選ぶことができます。各セラピストの紹介リストが詳細に掲載されています。
手順は、①オンライン心理相談を受ける心理学者を選ぶ→②予約→③支払い→④セッション開始、というシンプルなもの。1セッション$25と比較的お手頃な価格です。2セッションだと$23/1セッション、4セッションだと$21.25/1セッションとよりお得に。
種類は個人で受ける場合と、カップルや家族で受けるバージョンがあります。個人向けと法人向けが多いなかで目新しいですね。
「オンライン心理相談を受ける心理学者を選ぶといっても誰を選べば…?」という人のために事前相談も設けています。事前相談は無料。ヒアリングして「この人とかこの人がいいですよ」とアドバイスをしてくれるそうです。
Blogも興味深いです。昨今のメンタルヘルスは仕事にメインをおいた内容が多い印象ですが、こちらは「失恋」や「愛する人を失ったとき」「いじめ」「虐待」「パートナーが不倫したショック」といったパーソナルな心理的ショック・課題についても焦点をあてています。人の悩みは仕事に限らずプライベートにも多いもの。カップルや家族でセッションを受けられる要素も、この焦点が背景にありそうです。
失恋をとりあげたこちらでは、失恋を経験した時に受ける状態を「拒否フェーズ」「怒りのフェーズ」「再発フェーズ」「受け入れるフェーズ」と表現しています。そしてこのショックにどう対応するか?まで書かれています。とても具体的…誰かに振られたら読むといいかもしれません。自分を客観視できるかも。
2. frankie:ウェルネスアプリ×メンタルヘルス
セルフケアアシスタントを搭載した、ウェルネスアプリを提供しています。メンタルヘルス問題と習慣・行動を改善するために、瞑想、武道、フィットネスなどのウェルネスサービスを体験することができます。専門セラピストは24時間体制。悩み事はいつでも相談できるようになっています。
'frankie Wellness Retreat 2.0'という無料の3日間のトライアルも提供しています。ヒーリング、音楽療法、ヨガ等、専門家が主催する一連のウェルネスアクティビティを体験することができるそうです。
Instagramでも、瞑想や体を動かすストレッチやボクシング等のエクササイズを取り上げています。
興味深いのが、Blogでシンガポールのメンタルヘルス市場について取りまとめた記事を掲載しているところです。パーソナリティ障害やトランスジェンダー等、昨今の注目テーマがあります。これは継続して掲載いただきたいです。
Gender Dysphoria: The Complete Guide Singapore (2021)
Personality Disorders: The Complete Guide Singapore (2021)
Global Innovation Alliance programsというアジア太平洋地域の有力スタートアップ10社に選出されています。
3. Unobravo:多言語利用可OKなオンライン相談
Unobravoは、リモートビデオ通話でメンタルヘルスサポートを受けられる、イタリア版のオンラインセッションサービスです。セッションを行う心理学者(セラピスト)メンバーは1000人超え、15万回以上のセッションの実施記録があるそうです。
「経済的な困難や自国にいないがために母国語の適切なセラピストとマッチングすることができずに苦しむ状況を解消したい」と考え、創業されたもの。英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語と様々な言語機能が搭載されています。
利用方法は、セッションを希望するセラピストを選んでリモート接続するだけ。セラピストの人数が多いので、セラピストとの事前マッチング(無料)も設けています。下記リンクより動画をご覧いただけます。フィットしたソファを選ぶ=フィットしたセラピストを選ぶ、と表現していてユニークです。
他にも所々にイタリアらしいユニークさが垣間見えます。「怒りのコントロールするためのヒント」というテーマでFacebook投稿した際にはこんな画像を。
女性活躍を推進している姿勢。女性CEOやチームメンバーの50%以上が女性、というスタートアップを対象としたFortiInsiemeというコンテストで優勝しています。
4. Within Health:摂食障害患者向け仮想メンタルヘルスケア
Within Healthは、摂食障害に苦しむ人々のための仮想治療ソリューションを提供しています。
精神科医、心理療法士、栄養士などの専門家たちによってチーム編成されており、個人セラピー、遠隔患者モニタリング、栄養療法、ケータリングによる食事のサポートを行っています。
創設者兼CEOのWendy Oliver Pyattは、摂食障害分野で25年以上の臨床経験を持っており、摂食障害学会および国際摂食障害専門家協会のフェローでもあります。この分野の第1人者ともいえる存在ですね。
患者は専門家とのセラピーの予約し、カウンセリングを行います。その後、各々の治療計画が立てられ、Within Healthのアプリを介して、個別セラピー、食事の計画とサポートを受けることができる設計になっています。メンタル面と日常生活の食事に介入することで、長期的目線で摂食障害の原因に対処し、再発を防ぐことを目的としているそうです。
摂食障害の詳細についてはサイト内にまとめがあります。どうぞ。
アメリカ全土で徐々に利用拡大が進んでいます。
5. United We Care:メンタルヘルスウェルネス&セラピーアプリ
United We Careは、メンタルに不調を抱えた人向けにウェルネスケアやカウンセリング&セラピーをオンラインアプリで提供しています。
カウンセリング&セラピーでは、5年以上の経験を持つ心理学者やライフコーチ、弁護士等のメンタルヘルスケアの専門家が200人以上参画していて、ユーザーの抱える問題の種類に応じて適切な専門家とマッチングすることができます。
また、アプリには24時間年中無休でユーザーとチャットや会話ができる仮想アシスタントStellaも搭載されています。Stellaは、CBT(認知行動療法)やCAT(認知分析療法)、対人療法を用いて否定的な感情を肯定的な会話に移す能力を備えています。ユーザーは通話かチャットかを選択し、自身のタイミングでStellaに相談することができます。
同社の前身は2019年11月に創業した”United For Her”という会社で、当初は、女性とLGBTQ +コミュニティのためのメンタルヘルスプラットフォームとしてスタートしました。創業者のShumita Kakkarが、身近な女性たちがメンタル不調で苦しんでいる状況を目の当たりにし女性のメンタルヘルスをサポートするサービスが不足している、と痛感したことで本サービスをつくるに至りました。
本サービスの特徴は匿名で相談が可能であること。その気軽さからかリリースから3か月以内に3,000回以上ダウンロードを達成しています。
現在はパンデミックの影響で男女関係なくメンタルヘルス問題が深刻化しているため、2020年の夏からは男性も利用が可能です。パンデミックでメンタルヘルスの不調を起こしている人向けのサポートも設けられています。
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