banner_神戸からのデジタルヘルスレポート

神戸からのデジタルヘルスレポート #14 (Arsenal health/CancerIQ/Kit Check/NurseGrid/Healthcare Blocks)

第14回です!
関東は台風が大変みたいでおぉ、、という朝ですが、今回もデジタルヘルススタートアップをご紹介していきます。

==

1. Arsenal Health:医療機関向けスマートスケジューリング

企業名:Arsenal health
URL:N/A
設立年・所在地:2012年・ボストン
直近ラウンド:M&A by Athenahealth(2016年4月)
調達金額:N/A

もともとはSmart Schedulingという名称で、予約している患者について、「どの患者がキャンセルしそうか/No Showとなりそうか」を予測し、予約全体を最適化するためのプロダクトを提供していたArsenal health。

2015年1月から、USで大きなシェアを持つクラウドの電子カルテ(EHR)ベンダーだったathenahealth内でのマーケティングを開始します。
そうしていたら、なんと2016年4月にathenahealthがArsenal Healthごと買収して、同社の機械学習プラットフォームなどをahenahealthに活かしていく、と発表しました。

いまとなってはWebサイトもプロダクト画面も消失してしまったので詳細をお伝えできないのが心苦しいのですが、そんな買収の形もあるのね、と参考になったので取り上げてみました!

2. CancerIQ:がんリスク評価ツールキット提供

企業名:CancerIQ
URL:www.canceriq.com/
設立年・所在地:2013年・シカゴ
直近ラウンド:Venture series Unknown(2019年1月)
調達金額:$1.2m~(RockHealth、Impact Engine、1776 Venturesなど)

医療機関が遺伝情報を使用してがん疾患を予測・予防するためのSaaSプラットフォームとして、がんリスクの評価プログラムを提供しています。具体的には、がんになる可能性が高い遺伝的危険因子を持つ患者の特定のためのScreening ToolkitとNavigatorをWeb経由で提供します。

Screening Toolkitでは用紙への質問事項の記入、遺伝カウンセリング、遺伝子検査などによって日常的に注意が必要なリスクファクターの高い患者を特定することができます。NavigatorではScreening ToolKitを使用したすべての患者に対してTooklitの結果とこれからの動向予測を提示します。

また長期にわたる高リスク患者の管理方法としてCancerIQ High Risk ProgramとCancerIQ Managerを提供しています。CancerIQ High Risk Programでは個別化されたがん予防方法と生存ケア計画に対する患者の取り組みを自己管理ツールによって改善します。CancerIQ Managerはがんへのリスクを加味したケア計画に従て患者を管理し長期にわたってリスクを軽減するための継続的な取り組みを提供するのを支援するツールです。

代表のFeyi Olopade Ayodeleはマッキンゼーやクレディ・スイスで働いていたプロフェッショナルで、共同創業者に癌領域の研究者やトレーディングシステムの開発者などを招いて、疾患に関わる正確なリスク計算を行うプロダクトを開発しています。強い、チームがとっても強いです。

3. Kit Check:薬剤トレイ管理自動化

企業名:Kit Check
URL:kitcheck.com
設立年・所在地:2011年・ワシントン
直近ラウンド:Series C(2016年1月)
調達金額:$42.9m(Baxter Ventures、Mayo Clinic、Kleiner Perkinsなど)

KITCHECKは薬剤トレイと救急カートの自動管理システムを提供しています。病院内薬局・薬剤部で、薬剤トレイの準備、使用後の補填、在庫戻しのプロセスを自動化します。さらに、救急カートにおいては救急カートの薬剤の期限切れリコール薬剤の所在を常に把握します。
↓の動画がわかりやすかったっす。

KITCHECKは3つのメリットをもたらします。

1. 効率化:薬剤のキッティング、回収、ストック補充などの作業時間の大幅な短縮ができます。また1台のシステムで、OR薬剤と救急カート薬剤の運用が薬剤部で一元管理できます。

2. 在庫の削減:薬剤の使用量、定数管理棚の過不足、期限切れ回収薬剤の状況などが随時掌握でき、在庫確認の手間も無く、常に適正な在庫管理ができます。

3. 安全管理:使用期限切れ薬剤の掌握、キッティングの確認、使用量の管理などが全て薬剤個々単位で管理されます。 このため不明薬剤が100%無くなり、麻酔薬、精神薬などの管理薬剤のトレースと安全管理、紛失防止が可能となります。

医療現場にある様々な事務作業。自動化によって、患者さんやチームマネジメントに割ける時間が増えるといいですね...!!

4. NurseGrid:看護師のスケジュール・人員配置・チームコミュニケーション最適化

企業名:NurseGrid
URL:nursegrid.com/
設立年・所在地:2013年・ポートランド
直近ラウンド:Venture Series Unknown
調達金額:$9.4m(Healthbox、Portland Seed Fund、Hatteras Venture Partnersなど)

看護師とテクノロジー専門家が連携することで設立されたNurseGridは、看護師と看護部門専用の統合された直感的な人員配置とコミュニケーションツールを提供します。NurseGridには、NurseGrid MobileとNurseGrid Managerの2つの製品があります。

1つ目のNurseGrid Mobileは、看護師と医療従事者が複雑なスケジュールを管理し、同僚とつながり、仕事の調整を行うアプリです。オフィスワーカー向けに会議調整を行うようなサービスがポコポコ出てきていますが、それの医療現場向けですね。これまでに30万人を超える看護師がNurseGridをダウンロードしており、アプリ評価の平均も4.85/5。ユーザーも着実に伸びている模様でいい感じっぽい。

もう一つのNurseGrid Managerは看護部門におけるチームのコミュニケーション、人員配置、およびスケジュール管理を簡素化して、スタッフとマネージャーの満足度と生産性を高めます。シフト管理が大変で、かつ申し送りなどの情報連携が多く発生する看護部門には、こういうニーズが強くありそうですね。
89%の看護師が職務に関する満足度が向上し、スケジュール調整の時間が週あたり20時間削減され、1千を超える電話やメールが削減されたと。

素晴らしい。日本でも使えそう。


5. Healthcare Blocks:医療データ保護PaaS

企業名:Healthcare Blocks
URL:healthcareblocks.com/
設立年・所在地:2013年・カリフォルニア/シミバレー
直近ラウンド:Seed(2015年5月)
調達金額:N/A(Healthbox)

Healthcare Blocksは、HCAとBlueCross BlueShieldの支援を受けて、Healthboxアクセラレータプログラム中に2013年にAtlas Healthとして立ち上げました。2016年に、提供していた製品名のHealthcare Blocksへとブランド変更しています。

Healthcare Blocksは、医療アプリケーションをホストするためのHIPAA準拠のPlatform-as-a-Service(PaaS)を提供します。

Healthcare Blocksは、インフラストラクチャ管理とシステムメンテナンスの負担をなくすように設計されたクラウドベースのアプリケーションプラットフォーム。医療技術組織が製品開発に集中できるように、インフラ周りをすべてカバーします。↓が価格表なんですが、こういうサービスのカバレッジや価格の高低感はなんともわからんですね...

==
こんな感じで、第14回でした。
noteマガジンとして過去回も全てまとめているので、ぜひ購読してみてみてください:-)

応援ありがとうございます!