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神戸からのデジタルヘルスレポート #特別回(オンライン診療)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

新型コロナの影響が色んな所に出ている昨今、自宅にいながらにして診断や処方のサービスが受けられる「オンライン診療」への注目がまた高まっていると感じます。
今回は特別回として、オンライン診療を提供しているステートアップに絞ってご紹介をしていきます。

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1. Babylon Health:AI活用形オンライン診療

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企業名:Babylon Health
URL:https://www.babylonhealth.com/
設立年・所在地:2013年・ロンドン
直近ラウンド:Series C(2019年8月)
調達金額:$635.3M(Saudi Arabia's Public Investment Fundなど)

まずは業界の超有名所、Babylon Healthから。昨年8月に$550Mの大型調達をしてしかも資金のデモとはサウジアラビアの投資ファンド。Crunchbaseによると、もう社員も1,000人以上いるんですね...!! もういろいろとスケールがすごい。

2013年創業ながら、英国NHSと連携してオンライン診断・健康相談をゴリゴリに推進しています。こちらの資料によると1日のBabylon利用者は2,500以上(いまはもっと増えてるはず)、利用後に最高評価をつけるユーザーの比率は81%以上とのこと。

↑のリンク先資料でもまず最初に紹介されているのが、Babylon HealthにおけるAIの活用。まずはテキストベースの問診から入っていますが、今後は画像や動画などの領域にも入っていきそう。オンラインと親和性高いですし。

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今回のCOVID‑19周りでの情報発信もこちらで積極的に行っていたりして、オンライン診断領域のグローバルリーダー感あるなと思いながらウォッチしています。

2. Truepill:薬局在庫連携型オンライン服薬指導

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会社名:Truepill Inc.
URL:https://www.truepill.com/
設立年・所在地:2016年・カルフォルニア/サンマテオ
直近ラウンド:Series A(2019年4月)
調達金額:$13.4M(Y Combinator, Amity Ventures)

Crunchbase上のTruepillの紹介は下記のようになっています。

Truepill is a B2B pharmacy fulfillment service.
(TruepillはB2Bで事業を行う薬局の受注・配送サービスです。)

なるほど、薬局のフルフィルメントサービスか...
つまりこの会社は元々薬局のバックエンドを担うサービスを提供していたが、そこで構築した薬局のネットワークや各薬局の在庫情報などをキーにしてオンラインオンライン診療に参入してきたと。

基本にある薬局向けサービスとして在庫管理や配送などを代行しつつ、オンライン診療の観点では医師やナースプラクティショナーによるオンライン診療を支援しています。流れはこんな感じ。

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ここに共同創業者たちのインタビューが乗っています。これからは「処方を行う医師のネットワーク拡大にフォーカスしていく」とのこと。

AIや機械学習で診断制度をあげていくぜ!という戦い方もありますが、ペイシェントジャーニーに注目してその前後の課題も含めて解決していく、という方向性もありそうだなと感じました。

3. Zava:性の悩みを解決するオンライン相談

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会社名:Zava
URL:https://www.zavamed.com/uk/
設立年・所在地:2010年・ロンドン
直近ラウンド:Series A(2019年6月)
調達金額:$33.7M(HPE Growth)

Webサイトのヘッダー部分が「Men's Health、Women's Health、Sexual Health...」と続いているように、Zavaは性の悩みを相談する場として多く用いられているようです。疾患紹介ページでも生殖器に関する疾患、勃起不全や性感染症など検査や治療がかなり詳細に記述されていてなるほどと。勃起不全や性感染症といった、なかなか人に相談しにくい疾患は、オンライン治療が向いているんだと思います。

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2019年10月末に行われたカンファレンスでZavaのCFOがピッチをしていて、その成長性が紹介されていました。(CFOイケメン)

・欧州6カ国で展開、月次の有料健康相談回数は10万回以上
・顧客評価ではNPSが78(!)、顧客評価も10点満点で9.4点
・120万ユーロの投資で5,500万ユーロの取引総額(GMV)を生み出した

すごい。
95%以上の患者が「自身の症状をオンラインで相談できることを知らなかった」と答えている、という調査結果も興味深かったです。

今後はよりGP全般を扱いつつ、海外への展開も進めていくとのこと。CFOがピッチに出てくる、というのもなんか良いですね。要ウォッチのデジタルヘルススタートアップがまた増えた...!! 

4. Dilogue:従業員向けオンライン診断

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会社名:Dialogue Technologies Inc.
URL:https://www.dialogue.co/en
設立年・所在地:2016年・カナダ/モントリオール
直近ラウンド:Series B(2019年6月)
調達金額:$56M(Caisse de Depot et Placement du Quebec、HV Holtzbrinck Ventures、など)

職場で働いているときに「なんか体調が悪いなー」と思ったら、お昼休みに職場近くのクリニックに行ったり、はや抜けして自宅近くのかかりつけ医のところに飛び込んだりしますよね。そんなシーンで活用できる、企業と連携してオンライン診療サービスを展開するDialogue社をご紹介。

提供しているサービスの幅は広く、企業内の産業医的なサービスも提供しますし、プランによっては対面訪問のフォローアップも可能。なぜここまでできるかと言うと、導入する企業にとって、従業員が体調を崩すことの損失が相当に大きいから。冒頭のようなシーンで従業員が職場を抜けることに依る生産性損失の簡易計算も同社Web上でできるようになっています。生々しい。導入に向けたアンカリング完璧。

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健康経営的な文脈でよく語られることですが、従業員の健康を維持することで企業としては
・魅力的な人材を確保できる
・その人材が生産性高く働いてくれる
・企業としての保険支出を圧縮できる
とベネフィットだらけ。

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健康経営宣言!などのように口に出すだけではなくて、このようなサービスを実際に導入することが、Make it happenのためにも大事なんだと感じます。

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こんな感じで、オンライン診療特別編でした。
オンライン診療の広がりとCOVID-19イシューの早い終結を願うばかり...!!

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それではまた。

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