情景法にうまく情報を込められない

今回はこちらの相談への回答です。

おそらく情景法に詰め込もうとしすぎです。情景法というのは時間の流れが伴う書き方です(参考:「時間の流れ」)。そういう書き方だと、文の主語は視点人物か、視点人物が直接関わっている対象が多くなります。そのため、それらの情報は書きやすく、逆にそれら以外の情報は書きにくくなります。主語として登場させられないと、「xxxなxxxにAが座り……」のように修飾語として書いていくことになるからです。

情景法のままで情報を増やしたいとのことですが、修飾語としての情報はむやみに増やすべきではないと思います。読みづらくなり、普通に書くより冗長に感じられるからです。含蓄(命題密度)を高めれば読みやすくはなりますが、それは一種の仕上げなので、情景法の書き方で悩んでいる段階で考えることではありません。

ですから視点人物に直接関わらないものは、時間を止めた書き方である休止法で書くことをおすすめします。現代的な小説は情景法が軸になるとはいえ、休止法もたくさん使うものです。情報量を増やしたくなったら休止法に逃げておくのも、極めてオーソドックスなスタイルです。

たとえば、

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