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田舎の一匹狼セラピストが考える「基底核損傷専門の長下肢装具歩行練習について」

本日も臨床BATONにお越し頂きありがとうございます。
95日目を担当させて頂くのは、栃木県の那須塩原市(旧黒磯地域)にリハビリ特化型デイサービスを立ち上げるべく、やっとこさ建築工事における契約を済ませた田舎の一匹狼改め田舎の借金大王ことPT貴田農士です。

今回は前回の「長下肢装具歩行練習の即時的効果判定について」に続きまして、被殻出血などによる「基底核損傷の対象者専門の長下肢装具歩行の運用方法について」書かせて頂きます。
(ちなみに長下肢装具を使用しない方にも使える内容ではあると思っています(^_^))

まだ前回のブログを読まれていない方は、こちらまで。
事前に読んで頂ければより理解が深まるかと思います。

はじめに

まず、長下肢装具歩行において基本的かつ重要な観点をおさらいしてきましょう。
それは、バイオメカニクス、力学的視点です。
簡単に言うと重心と床反力です。
このへんは和中さんのブログを参照下さい。めちゃわかりやすいです。

特に注目すべきは「倒立振り子モデル」「足部のロッカーファンクション」ですね。

プレゼンテーション

プレゼンテーション4

これらの要素を踏まえた歩行練習を運動麻痺があろうとも早期から集中的に行うことが出来る1つのツールが長下肢装具使用での歩行練習です。
そのため、装具の設計として立脚中期で最も重心を高くするために膝伸展位でロックする膝継手や重心を上げるためにバネでの補助がついている膝継手などがあります。また、ロッカーファンクションが出しやすいように、角度の制動や固定、油圧制御などが出来る足継手もあり、その対象者に合わせて調整することが可能となっているわけです。
最近では本人用の長下肢装具に装着して遊脚期に膝の伸展固定を外せる機械(ユニット)も開発され臨床現場で実践されています。

ただこれらはあくまで、バイオメカニクス、力学的視点が主です。
では、これらの設定を最高、最良な状態にして歩き続ければ、対象者は良くなるのでしょうか?

果たして、歩けるようになるのでしょうか?

「否」

ならないことを私は経験してきましたし皆さんも経験したことがあると思います。

そして、脳の事を学び続けながら臨床で試行錯誤する中でふと気づきました。
被殻出血の場合と視床出血の場合、というか脳の損傷部位によって長下肢装具での歩行練習の戦略を考えなきゃ良い効果って出ないんじゃない・・・って。

ということで、脳卒中により起こっている現象の原因は脳であるということを今一度考え、上記の視点に加え、脳科学、脳神経学などの中枢神経的視点を加えていく必要が無茶苦茶あると思います。

なぜ基底核なのか?

早速ですが、脳出血としては特に多い被殻出血、それによる基底核損傷の対象者専門の長下肢装具歩行練習について考えていこうと思いますので、少々お付き合い下さい。

まず、なぜ基底核なのかというところから少し紐解いていきたいと思います。

結論から言いますと、被殻出血の方をフルリカバリーに近づけることが出来なければ、視床出血の方の介入は到底難しいからです。

なぜならば、基底核の4つのループには必ず中継役として視床の核があるからです。

スライド16

スライド17


そのため、視床出血によるVLやVA、MDの核の損傷により視床出血でも基底核損傷と同じ症状が起こりうるからです。
なので、今回はまずは基底核損傷に対する介入方法を検討することを目標にしていこうと思っていますので、早速考えていきましょう。
(相変わらず前置き長いわ・・・)
(時間泥棒注意)

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