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小脳疾患のすべて『機能/評価/治療まで』

お疲れ様です。セラピストのはらリハです。

本日は…
小脳の機能/評価/治療まで』総まとめの内容をお伝えします。

はじめに

小脳といえば…

運動失調、眼振、振戦など、思い浮かぶと思います。

しかし、振戦や失調が、「なんで出現するか」は知っていますか??

なぜ?を追求しよう。

振戦に対して鼻指試験、体幹失調には躯幹評価など、検査項目は参考書を読めば分かりますが、その検査結果で「失調あるなー」で、終わるのは勿体無いです。

知識は多いに越したことはありませんが、臨床に結びついていない知識ほど、使えないものはありません。

「なぜ?」を解明して、少しでも臨床に繋がる知識を増やせる内容をお伝え出来ればと思います。

臨床の考え方

知識を臨床へ

知識を臨床に繋げるには…

原因追求の流れ』を覚えると臨床に繋がりやすくなります。

治療の方法論を学ぶことで治療の幅は広がりますが、原因追求のない治療では、選択した治療方法がうまくいかなかったときの他の選択肢を作れないことが問題になります。

そもそもの問題に対して「原因追求」をすれば、こんなことは起きません。

結果の出せるセラピストはこの「原因追求」を常に思考させながら施術をしています。

まずは、イメージしやすい運動麻痺を例に「原因追求」の流れを学びましょう。

<目標設定:何を目指すのか>

目標設定の明確化

LTG:肘が曲がらずに歩いて旅行に行く
STG:肘の屈伸を思い通りに動かす

<原因追求:なぜ、その目標が達成されないのか>

目標:「肘が曲がらずに歩きたい」
現状:歩行すると肘関節が曲がってしまう(不随意に)

① 何が原因?
→ 脳卒中

② 仮説
→ 不随意に肘が曲がる+肘を伸ばすと抵抗感(+) = 痙性

③ 評価
→ 肘屈筋群(上腕筋/上腕二頭筋)、手指屈筋群(浅指・深指屈筋)の筋緊張の評価
→ 上記の評価から上位運動ニューロンの障害と捉える

④ 施術
→ 皮質脊髄路の障害と捉え、上腕筋、上腕二頭筋、浅指・深指屈筋の収縮練習

⑤ 結果
→ 皮質脊髄路の問題が改善し、肘を随意的に曲げ伸ばしができる 

原因追求の流れ

<なぜ原因追求が必要なのか?>

運動麻痺の例では…
皮質脊髄路が筋肉を随意的に動かす部分である」という知識を持っていた為、現象と評価、仮説の立案まで流れを作ることができました。

つまり、施術の方法論が先立ってしまうと、根本的な問題を見失い、現象の原因を追求できない為、施術がうまくいかない時に、次の選択肢がなくなります。

根本的な問題は「脳」です。

「歩くときに肘が曲がってる」「手を伸ばすときに指が曲がる」「歩くときに分回しが起きる」など、現象に対してアプローチしようと考えると失敗するケースが多いです。

「肘が曲がるから曲げる筋肉を伸ばして肘を伸ばす練習を繰り返そう」
「ぶん回しが起きるから真っ直ぐ足を降り出す練習を繰り返そう」

など、現象を見ることは大切ですが、現象だけで治療部位を決め、施術をすると、一時的な改善だったり、改善しなかったりと、根本的な解決にはなりません。

つまり、原因追求をする上で根本的な問題を「脳」と考えるのであれば、損傷部位の脳の機能を知らなければアプローチの選択はできないことになります。

その為に「」のことを勉強しなければいけません。

一緒に学んでいきましょう。

小脳の機能解剖(構造と機能的区分)

小脳は脳幹(中脳/橋/延髄)と3つの大きな線維束(それぞれ上・中・下小脳脚)で繋がっています。

☑︎ 上小脳脚
小脳からの主な出力経路であり、大脳皮質からの情報からの出力線維の大部分は上小脳脚を通って中脳に向かいます。

☑︎ 中小脳脚
小脳脚の中で最も大きく、大脳皮質からの情報が橋を経由し小脳へと入力されます。

☑︎ 下小脳脚
脊髄や延髄から小脳への入力線維と、片葉小節葉からの出力線維が通っています。

これらの線維束を通ることで、入力出力が行われています。

そこを踏まえて、小脳は大まかに分けて、大脳皮質脊髄前庭神経系の3つの系統から入力を受け、情報の統合と処理をおこなった後、それぞれの系統に出力します。

小脳の出力・入力の経路

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