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わたしの部屋ができるまで#4 茶の湯に学ぶおもてなしの心と設え

東京・新宿にある京懐石柿傳。はじまりは江戸時代までさかのぼり、谷口吉郎氏設計の茶室を備え、茶懐石を提供。地下の柿傳ギャラリーでは茶陶を中心とした現代作家の作品を紹介。茶の湯を軸とし日本文化を伝えています。
「わたしの部屋」が目指すのは日本建築ではないが、現代の暮らしに合う、和の心が根底にある住まいです。
柿傳に訪問し、おもてなしの心と設えを体験させて頂きました。

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茶室

一与庵。谷口吉郎氏設計の3畳半台目の茶室です。足を踏み入れたとたん、高揚感・緊張感・安らぎの入り混じった感覚がぶわっとおこりそれがとても心地よく感じます。3畳半台目の薄暗い空間のどこにそんな仕掛けがあるのかおどろきです。一与庵は谷口吉郎氏設計であり、一与庵の隣には、京都、表千家不審菴内にある残月亭を写した茶室もあります。残月亭は、秀吉が建てさせた聚楽第内に利休が設けた茶室。様々な時代を象徴するセンスが掛け合わさって時代を超えた縁とデザインの力を感じます。

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案内して下さった柿傳ギャラリー店主安田尚史様の話によると、茶室や露地のデザインには谷口メソッドが隠れているそうです。その一つが障子の組子にあります。見付が細くなっている。そんなディティールの積み重ねが時代を超えた心地よさへと繋がっているのだと感じます。

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床の間とおもてなし

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壺は「わたしの部屋」企画メンバーであるLAPIN ART 坂本氏が選んだバーナードリーチの白磁の壺。それに合わせ安田様が花と軸を選んでくださいました。壺を持ってきてはどうか。「わたしの部屋」の世界観を表現できるようにという安田様のご配慮です。
また、懐石でも柿傳で使用されている器をベースに坂本氏が選んだ器を差し込んで下さいました。一部をご紹介させて頂きます。

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先付:中里太亀(柿傳)
唐津に縁の深い「わたしの部屋」企画メンバー。
唐津の中里太亀氏の器で迎えて下さいました。

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向付:対州皿(LAPIN ART坂本)

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ぐい呑:加藤清和(柿傳)

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八寸:九谷青窯(LAPIN ART坂本)
   陶器製の70年代のデッドストック

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焼き物:九谷青窯 絵志野(LAPIN ART坂本)
    陶器製の70年代のデッドストック

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和え物:辻協(柿傳)
    最後のお料理。
    しっとりとした肌合い。流れも含め気持ちがしっくり
    落ち着きました。

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抹茶:真葛香斎(LAPIN ART坂本)

坂本氏は器を選ぶ上で、時代は様々だが料理の脇役として引き立てるだけでなくバックグラウンドと素材・形に拘ってセレクト。それに応えるかたちで安田様の感性で軸と花、お料理との取り合わせを考え用意してくださいました。

ギャラリストの先輩と後輩。二人の作り出した席を体験できたことは貴重で感激。それを叶えて下さった安田様のご配慮からおもてなしの心を学びました。

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調度品を美しく見せる、そして、おもてなしの心が凝縮された床の間

床の間とは、軸と花でおもてなしの心を伝える場所であり調度品のための居場所、最も調度品が美しくみえる場所と言ってもよいのではないでしょうか。この四角い空間の中で置くものの組み合わせで無限に表現をすることができます。

安田様は予め写真をお送りしていた白磁の壺に合わせ3種類の軸とそれに合わせて花を用意してくださっていて、「わたしの部屋」企画に合うものをと選ばせて下さいました。

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左:柿傳にゆかりの深い川端康成により面白と書かれた書とキンミズヒキ
真ん中:井上有一の花という文字が書かれた書とセイヨウカリン
右:現代アートでリ・ウーファンの作品とセイヨウカリン

床の間とは調度品を美しく見せる、そして、おもてなしの心が凝縮された存在。
「わたしの部屋」では空間全体を床の間と捉え、またおもてなしの心を伝える現代の住宅における設えとして現代版床の間を提案していきたいと思います。
その根幹となる精神にふれることができた一日でした。

柿傳様、そして、柿傳ギャラリー店主安田尚史様、多大なるお心遣いありがとうございました。

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▶京懐石柿傳 ウェブサイト
▶柿傳ギャラリー ウェブサイト

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W:関電不動産開発 中平

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