見出し画像

【リハ職向け】全人的復権:ゴールのための指針

今日は、リハビリテーションにおける重要な概念、「全人的復権」について考えていきたいと思います。この考え方は、私たちのリハビリ を進める上で に大きな影響を与えるものです。

理学療法士の皆さん、「この方のゴールはどうしたらいいだろう?」、「何を達成することが最良の選択になるのだろう?」、そんな、答えのない答えに悩んだことはないでしょうか?

これは個別性の高い話ですので、これが正しいということはなく、患者様毎や患者様のライフステージ毎で答えも大きく変わると考えています。

良かったら、いいね、コメント宜しくお願い致します。

なぜ、そんな結論に達したのか、今の私の考えを踏まえて今回まとめたいと思います。

まず、全人的復権とは?


全人的復権の定義は、いくつか定義がありますが、以下のようなものがあります。

心身の機能、生活、人生を含めた「生きる」こと全体を見ることを意味する。
障害をもつことは人間らしく生きることの妨げになり易く、最良の生活と人生の実現がリハである。

大川弥生:リハビリテーションに携る者としての資質-職業倫理と科学性-. 理学療法学. 2004; 31: 227-232.

家庭、地域社会の中で人間として役割を果たし、家族、地域、社会の一員として周囲の人、家族、友人、隣人、職場の人たちから尊厳を持って認められ、病前と同じような人間関係を保つことである。

リハビリテーション医療の評価QOLを高める科学性の追求 医学書院. 加倉井周一, 清水和彦(訳). 東京. 2003

私は、以下のように包括的に解釈しております。

”その人が、自分らしくやりたいことをでき、関わりたい人と関われるように、身体機能的も、社会的環境も整えること”

これが、リハビリの目的なのかと考えております。
どうでしょうか?ひとつ、ゴールや目的、どのような選択をしたらいいのか、少し、指針になりますでしょうか?

全人的復権に意識していること

全人的復権の実現において、重要視しているもに身体機能はもちろんですが、個人的には、社会的不利の解消(社会的環境の調整)について重きを置いています。

なぜなら、身体的機能は、完全な可逆性は得られないからです。ストレッチやトレーニングである程度、身体機能は改善しますが、20代の身体機能を70代で達成することはできないからです。生き物の限界として。ですので、身体機能の完全な可逆性を求めるのは、ゴールとしては不適切だと思っています。

しかし、身体機能は変われど、その人が持っていた人とのつながりや社会的役割は十分に果たせうるものです。フルマラソンを走れなくても、家事はできるような身体機能と環境を作ることは作れると思います。

では、”その人が、自分らしくやりたいことをでき、関わりたい人と関われるように、身体機能的も、社会的環境も整える”ために社会的不利について何を意識すればいいのでしょうか?

社会的不利になる要素

社会的不利をもたらす要素には、個人的要因と環境的要因があります。まず個人的要因は、以下のように整理されています。

これらの要素は生存するために必要な要素であり、これらを十分に満たせないということは、自分で生存の役割を果たせないということであり、誰かに一方的に助けを求めることになり、仲間関係において不利な立場になりやすいということになります。

これは、助けを求めるのがいけないという意味ではなく、あくまでもリハビリのゴールを”自分のことは自分でする”という個人単位で考えた場合での話です。

次に、環境的要因です。

これらの要素は、個人や医療職個人がどうにかできるものではないものの多いです。施設や制度は、個人で決められるものではないからです。

しかし、近年では、ユニバーサルデザインやバリアフリーに基づいた建物やサービスが多くなりつつあるため、これらの適切な情報提供は重要となると思います。

環境的要因では特に、”平等性”は強く意識します。これは、まだ、リハビリで介入可能な要素だと考えるからです。

平等性にもいろんな適宜があるかと思いますが、個人的に、平等とは”「選択の自由の範囲」が平等であることが重要”と考えています。

最終的に、リハビリテーションは、患者が尊厳を持って社会で再び生活できるようにするための包括的な支援を提供することだと考えます。選択肢として残せるだけの身体機能と環境を確保するということだと考えます。


いかがでしたか?

全人的復権の概念は、リハビリテーションを単なる身体機能の回復から、患者さんの人生全体を支える包括的なアプローチへと変える力を持っています。一人ひとりの患者さんの尊厳と社会参加を支えることが、私たちの使命なのです。頑張りましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?