スクリーンショット_2019-02-28_15

2019 J1第1節 磐田vs松本〜最後はやっぱり個の力〜

いよいよ始まりましたJ1リーグ。4年ぶりのJ1挑戦ということで否が応でも期待は高まるシーズンです。どのメディアを見ても降格圏に予想されていますがそんなことは百も承知、その中でどれだけやれるかが試されるシーズンでもあります。

第1節の相手は磐田。去年は最後の最後で入れ替え戦に回り、なんとか残留したものの補強には出遅れ、inもoutも少ないシーズンオフを過ごしています。よく言えば最初から成熟度の高い状態でスタートできるチーム状態であり、悪く言えば補強による積み上げが足りないままシーズンがスタートしてしまったといえる状況でしょうか。


試合結果

試合内容

結果としては岩上のFKとFW川又のヘディングゴールの1得点同士でドローとなった。全体としてはほぼ五分の展開で、結構やれてるなという印象。とは言え磐田の出来はそれほどいいものではなく、できることなら勝ちたかった試合と言えるかもしれない。先に磐田のプランを書くと大久保を1トップに置いてはいるが頻繁に降りてきて攻撃の作りに関与するいわゆる0トップ。しかし大久保と入れ替わりにディフェンスライン裏へ飛び出す選手はいないため松本ディフェンスラインにはプレッシャーはかからない。そのため松本は比較的落ち着いて守れていた。

対する松本の攻撃はボールを奪ったらまず前へ動かして永井、大然、セルジーニョの3枚を走らせるパターン。ここで気になったのはパスを受けた時にボールを止めるのではなく、一歩持ち出してファーストプレスを外す動きをしていたこと。普通はボールを足元で止めてルックアップするのだがそのタイミングを見計らってプレスを受けると一気に球際勝負になり技術の低い松本としては不利な状況を招いてしまう。これを避けるためだろう、1対1になりそうになる前に大きめのトラップから1歩2歩のドリブルを挟んで前方の視界を確保していた。この動きを多くの選手がしていたので反町監督が仕込んでいたと思われる。

カウンターからチャンスを作るという意味ではプラン通りだったのだがそのチャンスを決めきることができない決定力不足は相変わらずだった。積極的な守備からのボールゲインするとすかさず前線が走り出すのだが、ずっと走っていることになる前線3枚は余力を持ってのシュートは打てていない。素早い切替から手数をかけない攻撃が松本のやり方ではあるが、構造的に余裕を持った攻撃は望めないことからも決定機を決めきれるかが今後のカギになるだろう。

守備に関しては良くも悪くもこれまで通り。基本的には5バックと2ボランチがラインを作り、状況に応じて2シャドーが前プレとリトリートしての54ラインの形成を使い分けている。磐田のビルドアップがまだ未整理な面があるため前プレからのショートカウンターは結構ハマっていた。しかし磐田がFW川又を投入したあたりから最終ラインが下がり気味になるとプレスの強度も下がってくる。前プレが前線の走力頼みな面が強いため疲れが溜まってくるとどうしても後ろが重くなりがちで、こうなってくるとゴール前に密集して耐え忍ぶしかない。押し込まれてからはシュートブロックで叩き落とすのがこれまでの、おそらくこれからも続けるやり方だろう。J2ならなんとかなることの方が多かったがシュート精度の高いJ1でどれだけ守りきれるのか、今から不安ではある。ただ、セットプレイの守備は安定しており、中村俊輔というスーパーなキッカーがいる中で決定機を作らせなかったのは成長と言える。

ここからは各選手や個々のプレーについての感想を書いていきたい。まずは開幕戦でスタメン1トップに起用された永井について。永井の良さは周りとの関わりの中でプレーの選択肢が多いこと。足元に収めた後に戻しのパスを入れて前への推進力を引き出したり、かと見せかけて自分で裏に抜けたりと縦横に選択肢を持つ永井はJ1向きと言えるかもしれない。主に個の強さが際立つ高崎とは大きく違う特徴である。もちろん欠点もある。横からのボールに弱いこと。ニアでピンポイントで合えば問題ないが相手ディフェンダーがいて競り合ったシーンではなかなかボールにさわれない。この試合でのクロスは13本、成功率は7.7%で要は1本しか成功していない。右に岩上、左に高橋とクロスに定評のある選手がいる中でこの数字は寂しいものがある。そういう意味では(映像を見る限り)横からのボールに強いレアンドロペレイラに期待したい。前線での潰れ役としての高崎を含めて選択肢はあり、対戦相手によって使い分けていくとこになるのだろう

失点シーンついて。ここではフリーにしたMF山田からクロスが上がりマークを振り切ったFW川又がドンピシャヘッドを叩き込まれたというのが簡単な説明になる。で、この失点を防ぐとしたらどうするかというとエドゥワルドがFW川又のマークを外さないというのが一つ。もう一つはMF山田をフリーにしないというのが対応策になる。この時、ボールホルダーのDF高橋祥平とMFアダイウトンが左サイドで中を伺っているシーンでMF山田は岩上の裏のスペースを狙って走っている。この時はMF山田にボールが出ることはなかったが、一旦戻してDF高橋祥平が中に入り直すとそれに岩上がついていったため裏に抜けていたMF山田がフリーとなり余裕を持ってクロスを上げることができた。

もしこれに対応するとするならばDF高橋祥平に岩上とパウリーニョが2人でいっていてポジションが被っている。このうちパウリーニョがMF山田についていく、あるいはDF高橋祥平をパウリーニョが見るなら裏のスペースを岩上がフォローする形なら少なくともMF山田をフリーにすることはなかっただろう。たらればだけど。


山雅の攻撃パターンについて。これは他の方のnoteを見て知ったのだが、3人が一列に並んだところから中間の1人が回り込んで抜け出すやり方がある。3onラインあるいはサイと言われておりフットサルではよく使われているらしい。図解すると下のような動きになる。特に大然のスピードを活かすにはもってこいのやり方で何回か裏をとることに成功していた。

とりあえずこの試合についてはここまで。新戦力の服部、高橋やエドゥアルドについても書くことはあるが長くなりすぎる(そして疲れた)ので次節以降にしたい。2015シーズンよりやれている面と相変わらずな面の両方があるが戦力的にはアップしている。どれだけやれるか見守っていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?