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ユーザーとの相互コミュニケーションで”風向き”を読む ──株式会社ILLUMINATE 代表取締役社長・ハヤカワ五味さん流、SNSのつづけ方

スタートアップの代表や先鋭的な企業で活躍しているビジネスパーソンに SNSの活用法を聞く「ビジネスに役立つnoteやSNSのつづけ方」インタビューシリーズ。noteプロデューサーの徳力基彦さんをモデレーターとして毎月開催しています。

このスピンオフ企画「インタビューシリーズ」では、スタートアップの代表や先鋭的な企業で活躍しているビジネスパーソンに、SNSとの出合いや自身がビジネスでSNSをつかいこなすようになったきっかけ、現在の活用法などをおうかがいしています。

8月25日(水)に開催された第6回目のゲストは、ランジェリーブランド「feast(フィースト)」や、アパレルブランドの立ち上げを中心に、若手起業家として活躍するハヤカワ五味さんです。

ハヤカワさんは、自身の友人向けに発信していた情報が共感を得てSNS上でバズり、それをきっかけに起業しました。いままではブログやTwitterをメインツールとして使用しビジネスを展開してきたそうですが、これから注力していきたいのはTikTokとのことです。

今回はハヤカワさんに、SNSを通じたユーザーとのコミュニケーションの感覚と、ビジネスに合うSNSの選び方、さらには文章が書けるようになるコツに関してお話をおうかがいしました。

ゲスト紹介

ハヤカワ 五味はやかわ ごみさん

ハヤカワ五味さん_プロフィール画像

株式会社ILLUMINATE 代表取締役社長。1995年東京都生まれ。高校生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン・販売を行う。多摩美術大学グラフィックデザイン学科入学後の2014年4月にワンピースブランド「GOMI HAYAKAWA」、2014年8月にランジェリーブランド「feast」、2017年10月にワンピースブランド「ダブルチャカ」を立ち上げ、eコマースを主に販売を続ける。2019年からは、生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」を立ち上げ活動している。

note:https://note.com/hayakawagomi/
Twitter:https://twitter.com/hayakawagomi
TikTok:https://www.tiktok.com/@hayakawagomi?lang=ja-JP

友人向けの情報がSNSでバズってファン獲得、そして起業へ

──最初にビジネスでSNSを使ったきっかけはなんですか?

起業するきっかけがSNSでした。ランジェリーブランド「feast」の場合、友人に向けてTwitterでつぶやいたらすごくバズって……。それで売らざるをえなくなり、結果的に売り上げがたってしまったので法人化しました。当時は、Twitter以外の宣伝手段を持っていなかったんです。

──「feast」の最初のツイートが1万リツイート! 当時としてはありえないほどバズりましたね。

現在はツイッター利用者数が多いので、毎日のようにバズる現象が発生していますよね。でも設立当時(2015年)はユーザー数がいまよりも少なく、1万リツイートされるとホームランでした。ツイートがバズったときのフォロワー数は、300人くらいだと思います。当時のTwitterの感覚はいまのTikTokに近いかもしれないですね。まだ目新しいSNSだったので、フォロワー数が少なくても引きがあったのだと思います。

──話題になったことで、たくさん作って売って、それでもさらに売れて。

この半年後に会社組織にしました。税金の関係で(笑)。準備ができていなかったことも多くて大変でした。当時もいまも、商品の検証としてSNSを使うことは多いです。自分のアイデアをツイートして商品化したときは、投稿に対しての反応を見てチェックします。

ユーザーとの相互コミュニケーションで”風向き”を読む

──SNSで重視するポイントは何ですか?

ユーザーとのコミュニケーションです。当時のTwitterは、いまよりもユーザー同士のコミュニケーションが成立していたので、Twitter1本で仕事をしていました。会話ができたり、意見を言ってもらえたり、リクエストを送ってくれる人がいたりすることから、相互にコミュニケーションが取れるツールだととらえていましたね。

しかし、それができるのは、フォロワー数1000人くらいまでだと思います。フォロワーが多くなってくると、コミュニケーションが取れない人が増えてきます。リプライが増えすぎて全員に返事ができなくなりますし、一部の人だけにリプライを返すとキレる人が出てくるなど、治安が悪くなってしまうのです。

──Twitterを分析するとき、インプレッションやエンゲージメントなどは何を重視すればいいでしょうか?

数字よりも”風向き”を見るのがいいと思います。30分、1時間でどれくらいコメントがつくのか観察したり、どのようなアクションが返ってくるのか、変化を見てください。

ハヤカワ五味さん_01

みんなの「いいね」を紹介するTikTok ビジネスシーンでワンチャンある

──次にビジネスで活用されるSNSの予想はありますか?

いま一番ワンチャンあるSNSは、TikTokです。投稿する動画や内容が面白くさえあれば、有名度は一切関係ないと思います。だから、誰にでもワンチャンスあるし、再生回数が伸びやすい傾向にあります。一方、TikTokが主流である状態がずっと続くとは限らないですよね。だったらいまのうちに使っておいたほうがいいと私は思います。

TikTokは踊ってる動画のイメージが強いかもしれないですが、ユーザーたちが日頃使ってよかったものを紹介するコンテンツがメインに変化してきています。ビジネスマンが活用するシーンも増えてきました。私の「いいね」欄は、行きたい場所や買い物のメモになっています。

──意外な動画でも気軽に投稿できそうですよね。編集も簡単なtiktokは、動画の作成や投稿のハードルが低く、トライしやすい気がします。

そうですね。ユーザーのためのフォーマットが用意されているので、動画作成のハードルが低いのがいいですね。飲食系や食品系をやりたいのであれば、ぜひTikTokをやってほしい。クレープ屋さんやチュロス屋さんは、動画でお客さんが来ているみたいですよ。そのほか、服をつくっている工場など、制作過程が見えるものは、TikTokユーザーにウケるかなと思います。検索もTikTokでします。

どうバズらせる? キャッチーさと治安の確保

──noteとそのほかSNSを組み合わせて使用してどうですか?

noteのいいところはSEOの強さだと思っています。検索してもらいたいキーワードがあった場合は、自社ブログよりもnoteに載せることを考えます。SNSのバズりも大事だし検索に引っかかることにも意味があると思うから。

──Twitterでも話題になるタイトルを狙って考えているのがわかります。

キャッチーなタイトルをつけることと、ヘッダーやサムネールをしっかりつくることです。どうやって、みんなが知りたい情報と自分の商品のよさを混ぜるかを考えています。

──その一方で、話題が炎上する可能性もありますよね。

いま、Twitter上に怒りが蔓延してると感じています。数年前の10倍は燃えやすくなっている印象ですね。批判の度を越えて、攻撃したり……言葉どおり、文章や発信元を燃やしたりする感覚に近いです。全然関係ない人がフラッと話題に入ってきて場を荒らすことが現在のインターネットはふえています。

そういうときに便利なのが、noteの有料公開なんですよ。たとえるならば、無料で利用できる代々木公園よりも、500円の入場料がかかる新宿御苑の方が治安がいい、みたいなことですね。

──本来のコミュニティの人たちのための場として、有料のマガジンやオンラインサロンは起業家の方の使い方としてアリだと思います。

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伝わりやすい情報をつくる。文章は慣れて習慣化

──情報発信メディアはどう選べばいいですか? テキストや動画、音声メディアなどたくさんあって迷います。

基本的には、自分がもっとも扱いが得意なツールがいいと思います。それなら伝わりやすい情報がつくれます。文章を書くことが苦手な人であっても、音声だと伝わりやすいこともあります。

──文章を書くことを継続するためにはどうしたらいいですか?

とにかく文章を書き慣れることが大事なので、コツコツ続けることです。たとえばツイートを続けていく感じでいいと思いますよ。完璧な文章を作成してバズることを意識した、いわばホームラン狙いの文章を書こうと思わなくて大丈夫です。

──SNSはバズらせる道具としてとらえることもできますが、そもそもコミュニケーションツールでもあることを、改めて認識させられました。新規事業や商品のファンになる人と、SNSを通してコミュニケーションをとり、真摯に向き合うことが大事なのだと思います。SNSを活用できる起業家の方が増えてくるのをたのしみにしています。本日はありがとうございました。

interviewed by 徳力基彦 text by 村松美紀


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