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心を揺さぶらない、ただおもしろい文章を楽しく書く。しりひとみさん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、小説やエッセイを書くしりひとみさんに話を聞きました。

独自の発想で日常を彩り、ただただおもしろい!名作を生み出しているしりひとみさん。

「住んでるマンションを退去したら被告になった話」は、第6回オモコロ杯佳作を受賞し、続編も合わせて5000近くのスキを集めています。

わたし、亜細亜的功夫世代 〜こじらせサブカル女からの謝罪〜」は、LINEMUSIC×note「#いまから推しのアーティスト語らせて」投稿コンテストにてグランプリを受賞!その後、LINE MUSIC公式noteのライターとして活躍しています。

noteを始めたら書くことがおもしろくなった

そもそもしりひとみさんが文章を書くことにおもしろさを見出したのは今から10年以上前。中学生の頃には、自身のホームページをつくって日記を書いたり、ブログを更新したり。高校生の頃には、mixiに学校の友人たち限定で文章を投稿していました。

「授業での先生の言動や教科書の挿絵についてなど、ちょっとしたことを大げさに書いていました。そしたら、友人たちがおもしろがって喜んでくれた。その時に、人を楽しませる文章を書くのが好きだなあと思ったんですね」

それから文章を書くことに夢中になったしりひとみさんは、ふとしたきっかけで小説を書き、賞に応募。18歳で見事賞を受賞し、書籍化されることに。書店に本が並び、そこからはインターネット上に日記や文章を書くことはやめ、小説の執筆に集中して文章を書くことになります。

「小説は書いてたんですけど、ブログで友達に喜んでもらったときのような感覚は得られず、書くことが楽しいと思えなくなっていったんですね。就職して働き始めて、モチベーションを持って書き続けることができなくて、10年が経ちました」

書くことがおもしろくなくなり、書きたいと思えず、悶々と10年が過ぎた28歳の頃。そのもがきを近く見ていた友人がnoteを教えてくれて、パートナーが「とにかく、書け!」と背中を押します。

「彼には背中を押されたというより、蹴っ飛ばされましたね(笑)。なんで書くことがおもしろくなくなったんだろう?って考えたときに思い出したのが、mixiにくだらないことを書いていた頃。当時のように誰かが笑ってくれる文章をもう一度書きたいと思ってnoteを始めました。高校時代の友人もnoteを読んでくれていますが、まったく変わってないと言われます」

そうして書かれたしりひとみさんのnoteは、友人知人の枠を飛び超えて、多くの人を笑わせてくれています。

アジカンにRTされた女

noteの最後に毎回〈本日の一曲〉を挿入しているほど音楽好きのしりひとみさんが、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONへの愛を大いに語ったこちらの記事。

グランプリを受賞した「#いまから推しのアーティスト語らせて」投稿コンテストの結果発表をアジカンGotchさんがシェアし、しりひとみさんのツイートもRT。ご本人にも届きました。

「めっっっっちゃ嬉しかったです。私がこうして音楽の文章を楽しく書けているのもアジカンのおかげ。私に音楽を教えてくれたルーツであり、先生のようなアーティストです。本人に読まれるなんて、どうしようと焦りましたが、RTしてくれたのは、ファンの人にも読んでもらいたいと思ってくれたのかなと。そこから2週間、アジカン以外聴かなかったです。仕事で失敗しても"まぁ私、アジカンにRTされたし"とだいぶ自分を甘やかしていましたね。そのくらい嬉しかったです」

「おもしろいだろうな」という閃きをやりきる

他にはない独特な視点で、図解あり小道具あり、高いテンションを維持し、「ここまでやりきるのか!」と脱帽せずにはいられない。しりひとみさん節が炸裂するぷぷっと笑える文章は、どのように生まれているのでしょうか。

たとえば、グランプリの副賞としてLINE MUSIC公式noteとのコラボで書いた「Official髭男dism」通称“髭男”の曲を徹底分析したこの記事。

「LINE MUSICをよく使う若年層に人気の髭男について書こうと思ったんですが、その時点で私は2曲くらいしか聴いたことがなくて。書くからにはファンの方々に失礼がないよう、全曲聴いて、エクセルで歌詞を分析しました。結果的にファンの人たちが拡散してくれて、歌詞の解釈の議論を呼んで、楽しんでもらえたようでよかったです。記事を書くときは、自虐はあっても、ファンやアーティスト本人が不快に思わないよう気をつけています」

サイゼリヤのメニューをエクセル上に写経して煩悩を滅したり、「ZITAKU ROCK FESTIVAL」を開催したり謎解きゲームでプロポーズをしたり。ただ“書く”だけでなく、企画を立てて小道具も含めて“つくる”ことが並行しているしりひとみさんの記事。

「日常で起こったささいなことを大げさに書くこともありますが、最近は、自ら変な状況をつくり出している感じはありますね(笑)。オチがどうなるかわからないまま、これやったらおもしろそうだなと頭に思い浮かんだことを実際にやっています」

平日は会社員として「想像を絶するくらいお堅い仕事」をしているというしりひとみさんがnoteを書くのは基本土日。

「平日は真面目に働いて、土日にテンションを爆発させて出し切る感じですね。週をまたいでもテンションの高さをキープできるように、ネタを思いついたらまずヘッダーの画像を決めて、冒頭の2~3行を書いておきます」

最近、記事を公開する前には、noteを書くことを勧めマンション退去時に不動産会社と闘った凄腕のパートナーが校正をしてくれているそう。

「誤字脱字チェックをしてくれて、“おもしろいけど、お前ならもっといける”というアドバイスもくれます(笑)」

自分が一番楽しむためにnoteを書く

しりひとみさんがnoteを書くうえで大事にしていることは?

「私は自分が楽しむためにnoteを書いています。小説を書いていたときに、自分自身が楽しめないつらさを経験したので、“書くことが楽しい”と思えることが一番大事。

それから、読んだ人が心を動かされない、特に波風立たない、ただ笑えるだけの存在を目指しています。役にも立たないし、グッとこない。社会人になって、家に帰って何も考えない時間が大事だと痛感しているので、アホだな〜と笑ってスッキリ寝れるような文章を書きたいんです」

「人見知り」がペンネームの由来だというしりひとみさんですが、noteを読んでくれている人は初対面であっても自分が出しやすいと言います。

「私はインターネット弁慶で、実際は人見知りなんですが、noteを読んでくれている人は素の自分のことをわかっていてくれる気がして、打ち解けやすいです」

ネット上でもリアルでも、noteのクリエイター同士のつながりも生まれているそう。

「今後は、ほかのクリエイターとコラボして、漫画や音楽など文章以外にも、おもしろさを表現してみたいですね。あと、ラジオもやってみたいです」

これからもきっと、ただただおもしろい名作を生み出してくれるはず。なんだか疲れて何にも考えたくない!と思ったときは、しりひとみさんのnoteを読むのがおすすめです。

■クリエイターファイル
しりひとみ

学園イチのモテ男に「おもしれー女」と言われることを目標に、エッセイや小説を書いております。
note:@sirisiri
Twitter:@sirisiri_hi

text by 徳 瑠里香

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