note_クリエイターファイル用

『小屋ガール通信』エッセイスト・吉玉サキさん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、ライター・エッセイストの吉玉サキさんをご紹介します。

吉玉さんは、2018年2月から毎日noteを更新し続け、6月に「第二回cakesクリエイターコンテスト」に入選、7月からcakesに「小屋ガール通信」を連載中です!

新卒で入社した会社を数ヶ月で辞めて、自分のことを「社会不適合者」だと思った吉玉さんは、ひょんなご縁から23歳の頃、山小屋でのアルバイトを始めます。以来、トータル10年間、山小屋で働き暮らしてきました。「小屋ガール通信」は、そんな吉玉さんが見て感じた、山小屋の日常や恋愛、人間模様を綴るエッセイです。

「どうしても、書く仕事をしたかった」

25歳までは純文学の作家を目指して、小説を書き続けていたという吉玉さん。23歳で山小屋のアルバイトを始めてからも、オフシーズンには小説を書き、新人賞に応募。でも、良くて二次選考止まり。25歳になる頃には、作家になる夢は諦めて、文章を書くことも辞めてしまったそう。

「それでもやっぱり私は、書くことを仕事にしたいと思っていたんです。山小屋のオフシーズンに書くこともできるけれど、逆に山小屋の仕事をしている半年間は書けなくなってしまう。書くことに専念するために山を降りました」

山小屋での仕事と生活が10年を過ぎる頃、意を決して山の仕事を辞めた吉玉さんは「書く仕事」の第一歩として、キュレーションメディアでの執筆を始めます。しかし……

「私は書くのが遅いので、キュレーションメディアで3000円の記事を書くのにも丸2日かかってしまうこともあって、書くことを仕事にしているのに、哀しくなることがありました。仕事とは別に、好き勝手自由に、趣味の文章が書きたい!という思いが強くなっていったんです」

noteをポートフォリオにして、書く仕事を掴む

吉玉さんがずっと抱えてきたその「書きたい」という強い気持ちをぶつけた場所がnoteでした。こだまさんの『ここは、おしまいの地』に触発されて、noteでエッセイを書き始めた吉玉さんは、水を得た魚のように、来る日も来る日も、書き続けます。

「書き始めたらとにかく楽しくて、1週間続いた頃に、このまま毎日書き続けてみようと思ったんです。最初は正直、ほかのブログサービスと同じ感覚で使い始めたんですが、noteを読み漁っているうちに、note発で有名になった方の存在を知り、毎日書き続けていたら、仕事にもつながるかもしれない、ということに気づきました」

同時に、好きな媒体のライターに応募するには他媒体での執筆経験が必須要件で、その1歩が踏み出せないことに、もどかしさを感じていたと言います。

「私が書きたいメディアは、メディアでの執筆経験が必要で、それをどうやって作ったらいいのかわからなくて。メディアで執筆経験がない私はいつまでたっても応募できないじゃないか、と。それで、noteを自分の“ポートフォリオ”にしようと思ったんです。noteの毎日更新とキュレーションサイトでの執筆実績、両方があれば応募できるかな、と思って」

そして実際に、noteを毎日更新し続けた3ヶ月後、「DRESS」編集部から執筆依頼が来て連載がスタート。応募したcakesクリエイターコンテストへも入選、cakesでの連載が決定!

毎日更新し続けているnoteは、吉玉さんの“ポートフォリオ“になって、仕事を生んでいます。

「noteが、すべて(書く仕事)のきっかけをつくってくれました」

自分のために書いた文章がnoteを通じて誰かの役に立つ

吉玉さんにとって、書くことは、思考と感情を整理するための”セルフカウンセリング“だと言います。

「私は思考と感情の距離が遠いので。たとえばお金がないという状況も、頭では解決策を考えついていて大丈夫だと理解していても、心と体はどうしようと不安を抱えていて、感情が優位に立つと、動悸や呼吸困難になってしまう。でも、不安を書くと、自分でツッコミを入れることもでき、思考と感情のバランスが整っていくんです」

そうやって“自分のため”に書いた文章が、結果的に誰かの役に立つことがある。吉玉さんにとって、その気づきは、noteの魅力のひとつ。

「たとえば、お金に対する不安を書いたnoteは予想以上の反響があり、『私もです』『勇気をもらいました』というコメントをもらい、自分のために書いた文章だけど、誰かの役に立てているのかもしれないことが嬉しいです」

毎日noteを更新するうちに少しずつ、PVやフォロワー、コメントの数が増えていったという吉玉さん。書くときには、あえて「意識しない」ことを意識しているとか。

「私は自意識過剰なので、狙って書いて、思ったほどの反響がなければ自分がしんどくなってしまうことがわかっているので、あえて意識しないようにしています」

それでもcakesでは、山小屋に興味のない人も含めてより多くの人に読んでもらえるよう、冒頭の書き出しは普遍的なテーマに落とし込むことを意識しているそう。

今後、noteでやっていきたいことは?

「とりあえず、毎日更新を続けていきたいです。あとは、有料マガジンもやってみたい。小屋ガール通信もいつか書籍化や映像化してもらえたらいいなあ。25歳までに書いていた未発表の小説原稿も手を加えて、世に出せたら嬉しいですね」

noteをきっかけに一度は諦めかけた夢を掴み、その先にさらなる夢を抱く吉玉さん。取材後、さっそく「有料マガジン」も計画中です。

誕生日プレゼントはnoteのアカウント

吉玉さんのcakes「小屋ガール通信」やnoteでイラストを描いているのは、吉玉さんの夫「絵と図 デザイン吉田」さん。取材にも一緒に来てくださり、この記事のトップ画像も描いてくれました! ふたりのやさしい雰囲気がそのまま滲み出ています。

山小屋で出会い、途中一緒に半年間世界を放浪、帰国後ともに山小屋を切り盛りし、それぞれ「書くこと・描くこと」で生計を立てることを目標に、下山したふたり。ところが、目標に向かってすぐに動き出した吉玉さんとは対照的に、吉田さんは“うだうだしていた”そう。

「6月に迎えた誕生日、妻から『今、あなたに贈れるプレゼントはこれです』と言って渡されたのがnoteとTwitterのアカウントでした。僕があまりにうだうだしてたんで、妻はTwitterで僕の紹介もしてくれていて、もうやるしかない状態に……」(吉田さん)

「毎日更新は難しい……」と漏らしながらも、吉田さんはnoteに山ガールや山道具、風景を描いてアップされています。

今後、さらなる夫婦でのコラボレーションが期待できるおふたり! 吉玉サキさんはもちろん、「絵と図 デザイン吉田」さんのnoteやTwitterも要チェックです!

■クリエイターファイル
吉玉サキ

ライター・エッセイスト/cakesで「小屋ガール通信」連載中/peek a booで「別にいいじゃん日記」連載中/DRESS・hintosでも書いています/得意ジャンルは季節労働・不登校・生きづらさ
note:https://note.mu/yoshidama2013
cakes:https://cakes.mu/series/4149
Twitter:https://twitter.com/saki_yoshidama

絵と図 デザイン吉田
イラストレーター時々デザイナーです。 山ガール・風景・山道具などのイラストをよく描きます。 時々イラストを使ったロゴ・名刺・Tシャツなどの制作をします。お仕事募集中です!
note:https://note.mu/etozu_de_yoshida 
Twitter:https://twitter.com/etozudeyoshida 


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