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「noteであれば私たちの想いを素直に伝えられると思った」キリンビールがnoteを活用する意義 #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回登場するのは、企業の公式アカウントとして発信するキリンビールさんです!

2019年4月、「これからの乾杯」を一緒に考える場としてスタートした、キリンビールの公式note。「今夜のラガーのおとも」を紹介したり、乾杯の場を盛り上げるための「投稿コンテスト」を開催したり、乾杯を彩るヒントを届けてくれています。

「KIRIN交差点プロジェクト」と題して行われた投稿コンテスト「#社会人1年目の私へ」は、募集開始から1週間で600件、2ヶ月の応募期間で3000件を超える投稿を集め、大きな話題を呼びました。コンテスト終了時には、社会人1年目のみなさんを集めて、noteで活躍する先輩たちによるトークイベント「社会人1年目のあなたへ」を開催。note上、そしてリアルな場でも、先輩と後輩が交わる、まさに「交差点」が生まれました。

続いて、7月8日〜8月31日の期間中、「#あの夏に乾杯」をテーマに投稿コンテストを開催しました(※ 現在は審査中です)。

企業として、noteをどのように活用しているのか。note運営を担当するキリンホールディングスの平山高敏さんと加藤美侑さんにお話をうかがいました!

「想い」をもっと素直に伝えたい。大企業がnoteを始めた理由

ーー noteを始めたきっかけは?

加藤 そもそもTwitterやInstagramなどSNSの公式アカウントを開設したのは、お客様がいる場所に私たちキリンもいた方がいいよね、という意識があったからなんです。同じようにnoteにも私たちのお客様がいます。しかも、noteは長文のコンテンツを頻繁に出せる。他のSNSにはない魅力を感じました。

平山 僕自身が個人としてnoteを使っていたことも大きいですね。どうしても企業からの発信は、キャンペーンや広告を打って、お客様にベネフィットを与えるメッセージが強くなります。noteであれば、私たちはこういうことを考えています、という思想を伝えられると思ったんです。

例えば、お酒の作り手さんの想いを伝えていく。企業サイトではなかなか届けられない想いも、noteであればもっと素直に伝えられるんじゃないか。そんな可能性を感じたんです。

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ーーnoteアカウントを立ち上げるにあたって、社内でのハードルはありましたか?

加藤 弊社で新しいアカウントを立ち上げる場合、アルコールの過剰摂取を誘発していないか、未成年のフォロワーがいないかなど、事前にチェックすべき項目、運用ルールがあります。大企業で大々的にやろうとすると、そのすべてをクリアし、決裁も含めてなかなかハードルが高くなります。だから、noteは社内を巻き込みながら、小さく始めることを意識しました。

平山 もともと、最初に開催した投稿コンテスト「#社会人1年目の私へ」は、企業好意向上を目指し、企業全体のブランディングを担うブランド戦略部からの依頼だったんです。社会人1年目の方たちを応援する場としてnoteという選択肢がありますよ、と提案したことがきっかけで。大々的にアカウントを立ち上げるというよりは、社内の小さな声を拾い上げて答えることがスタートだったんですね。

加藤 note proは立ち上げの際にお金や手間がそんなにかからないので、小さく始めやすいんです。しかも、ダッシュボードで数字による結果がわかり、社内にフィードバックができるので、小さな種を大きく育てていくこともできます。

平山 「#社会人1年目の私へ」が話題になったこともあり、社内からこんなことをやりたいというオファーも多く、実際にいくつか動き出しています。

自分たちの想いを自分たちの言葉で、自分たちにできる範囲で語る

ーー現在、noteはどういう体制で運営しているんですか?

加藤 私と平山の二人体制です。記事の企画と編集、執筆は平山、私はプロデューサーですね。企画を考えて、予算を組んで、社内に通すことをメインにやっています。

平山 得手不得手で役割分担をしています。

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ーーnote以外にも、おふたりが担っていることはあるんですか?

平山 僕はキリン直営のオンラインショップ『DRINX(ドリンクス)』で記事の編集・取材・執筆を担当しています。あとはLINE公式アカウントも担当しています。

加藤 私はSNS担当で、キリンビールのTwitterやInstagramの戦略立案、企画・運営もしています。

ーー更新頻度は決めていますか?

平山 週に何回とか具体的には決めてないですね。今は投稿コンテストのピックアップ含め、月に2〜3本ですね。

ーーnoteを更新する上で、意識していることはありますか?

平山 noteでは読者との距離感がより重要だと思っているので、温度感を大事にしています。自分たちの言葉で語ることを意識して、企画からまるっと外部パートナーさんにお任せするのではなく、自分たちが企画の中心になって運営しています。

加藤 2015年くらいに、それなりのお金をかけてオウンドメディアを立ち上げ運営していたこともありました。でも他のメディアさんがやっているようなことをまねるのは、キリンには求められていないし、片手間にできることではないと実感しました。

だから、noteは自分たちの想いを自分たちの言葉で、できる範囲で伝えることから始めました。

ーーなるほど。平山さんのようにもともとメディアにいて、編集や執筆ができる人が社内にいることも大きいですよね。

加藤 企業内にネタはたくさんあっても、実際に書き起こすのは難しい。

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平山 僕は前職の「ことりっぷ」でやりたかった地域貢献をキリンが積極的にやっていることもあって、昨年転職してきました。外から来た人間だからこそ、面白い社員や魅力的なプロジェクトなど、キリンにはいい資産があることがわかるんですよ。

加藤 弊社は平山の存在も大きいですが、noteはUI/UXが洗練されているから書きやすいし、自分で書いていけば上達していくと思います。拙い文章でも、温度感があれば伝わると思いますし。

パートナー、サポーター、ファンの輪を広げていく

ーーnote proのアカウントと連携して、コンテストを開催していますが、いかがですか?

加藤 すごくいいですね。公式アカウントがあると、私たちから書いてくださった人へのフィードバックができます。コンテストに投稿されたnoteは、基本全部目を通していて、時に泣きながら読んで、ピックアップしていますね。

投稿された記事をピックアップするとクリエイターさんに通知がいきますよね?それを見たクリエイターさんがTwitterでコメントをしてくれるんですが、そういうインタラクティブな関係がとても心地いいですね。

コンテストの開催によって、コミュニケーションが一方的ではなく、インタラクティブになったと感じています。

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平山 はじめのコンテストのテーマを、ビールとは全く関係のない「#社会人1年目の私へ」にできたこともよかったと思っています。より広い層の方々が興味を持って書いてくださったので。「#あの夏に乾杯」も、ビールとは関係ない投稿がたくさんあって面白いです。

ーー直接関係のないテーマを打ち出すことへの抵抗や、社内からの反対はなかったですか?

加藤 上長や社内にも、noteというプラットフォームを理解してもらっているので、反対もないです。

ーーターゲットは設定していますか?

平山 20代の女性、とか、ビールが好き、とかいわゆる「属性」ではnote上のターゲットは捉えていません。僕らはこのnoteのターゲットを、パートナーとサポーターとファンの3つに分類しています。

「パートナー」は、私たちと同じ視座を持って一緒にコンテンツを作っていける人。私たちから依頼するというよりは、彼ら彼女らの活動の中にキリンがあるというイメージです。インフルエンサーではなく、あくまでパートナー。今後、noteのコンテンツづくりをパートナーと組んでやっていきたいと企んでいます。

「サポーター」は、私たちのnoteを読んでいいなと思うものを外に向けて発信してくれる人。

そして「ファン」は、投稿コンテストを含め、私たちのnoteを面白がってを読んでくれる人。それぞれのターゲット層に関して、あらゆる施策が必要だと思っています。

加藤 まずはファンを増やしていくために、投稿コンテストを仕掛けたんですね。これからはサポーターを増やし、パートナーを見つけることにも取り組んでいきたいです。

noteという街に、クリエイターが語り合える広場をつくりたい

ーー今後、具体的にやっていきたいことはありますか?

平山 キリンは、クラフトビールにも力を入れていて、地方のホップ農家さんとコラボレーションでビールもつくっているんです。北海道のハスカップなど。日本の地域のスターとなる食材に光を当てて、新しい提案もしているんですね。

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noteでも、日本の食材や作り手にスポットを当てて、キリンビールではなく、作り手の人たちを主語にしたコンテンツの発信もしていきたいと思っています。

ーーnoteをやる上での目標は定めていますか?

加藤 コンテストをやるときはビュー数や新規フォロワー数、投稿数はもちろん見ています。しかしながら数値を追うことが第一優先ではありません。

平山 あくまでnoteはクリエイターのみなさんが自ら発話する場だと思っているので、僕らの発信を受け取ってもらうだけでなく、共鳴し発話してもらうことが一つのゴールだと思っています。noteが一つの街であるならば、僕らは広場をつくりたいんです。

掲げるテーマはクラフトビールのときもあれば、社会人一年目のときもある。いろんな露店に人々が集まって、その場で自ら遊び始めてくれたら素敵だなと思っています。

note上でクリエイターたちが語り合える場所をつくって、イベントを開いてリアルに握手もしたい。そういったこともやっていきたいですね。

加藤 私たちだけでなく、いろんなパートナーと手を取り合って、長く続けていきたいです。

平山 キリンのミッションは、「こころ豊かな社会の実現に貢献すること」ですからね。目先の利益に走らず、noteを通じて、同じ目標に向かって走る人たちとの輪を広げていきたいです。

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■企業アカウント紹介

キリンビール
キリンビール公式アカウントです。フォローは20歳以上の方限定です。 20歳未満の方の共有はご遠慮ください。※ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。 お酒は楽しく適量で。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。http://eng.mg/de17c
note:https://note-kirinbrewery.kirin.co.jp/

加藤美侑さん
2006年に国内食品メーカーに入社後、情報システム部を経て宣伝部デジタルプロモーション担当に。2015年よりキリンホールディングス株式会社デジタルマーケティング部にて「氷結®」などのRTD(=ReadyTo Drink)ブランドやクラフトビールブランド、キリンの独自素材“プラズマ乳酸菌”を配合した「iMUSE(イミューズ)」のデジタルマーケティングを担当。現在はフォロワー数76万人超のTwitterアカウントをはじめとしてキリンビール各種SNSアカウントの戦略策定・企画・運用を担当。
noteURL : https://note.mu/miyuuuukiiii

平山高敏さん
web広告代理店の広告営業を経て、2012年より株式会社昭文社ことりっぷwebのプロデューサーとしてコンテンツ企画、マーケティング戦略、SNS戦略、ユーザーコミュニティ戦略など全般を担う。 2018年5月よりキリンホールディングス株式会社デジタルマーケティング部にてwebコンテンツを中心としたコミュニケーションの戦略を担う。
noteURL : https://note.mu/takapi0227

interview by 三原琴実 text by 徳瑠里香 photo by 平野太一

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