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#ビジネス部門 に参加する4編集部が求める作品は?【#創作大賞2024 ビジネス部門編集部クロストークレポート】

4月23日にスタートした、日本最大級の創作コンテスト「創作大賞」。第3回となる今回は、前回を大きく上回る21のメディアに参加いただき、新設された4つの部門を含む12部門と過去最大規模で開催をします。

この記事では、5月23日に行った「創作大賞2024 ビジネス部門編集部クロストーク」をレポートします。

ビジネス部門に参加する4編集部はどんな作品や書き手を求めているのか。ぜひ、投稿の参考にしてください。

登壇者:
ダイヤモンド社 石井 一穂さん
東洋経済新報社 桑原 哲也さん
プレジデントオンライン 内藤 慧さん
ディスカヴァー・トゥエンティワン 安永 姫菜さん

▼ 配信のアーカイブはこちらから視聴できます。

最近のビジネス本のトレンドは?

創作大賞の「#ビジネス部門」にエントリーしたいと思っている方でも、記事を書く際に「どういう切り口で書けばいいのか?」と悩む方は多いはず。そこで、各編集部に最近のビジネス本に関するトレンドについてお聞きしました。

ダイヤモンド社
「実用性」と「自己啓発性」の両立

石井さん 少し前は自己啓発書がブームだった時代があって、読むと気持ちが滾る(たぎる)ような本が人気でした。今はコロナ禍を経て、実用性、つまり、「読んで役に立つか」がより求められていると感じます。

一方で、役に立つだけじゃなくて、読んだ後にマインドセット自体が変わるような自己啓発性も大事です。今の時代は両立していることが求められていると思います。

東洋経済新報社
「横・下から目線」で「厳しくないこと」が求められている

桑原さん ビジネス本には、役に立つことが書かれているのは大前提。その上で売れるとなると、読者の「感情」を動かさなければなりません。読者の感情を動かすには、筆者の顔が見えることが必要です。著者がどういう人で、なぜそういう考えを持っていて、これまでにどういうことをやってきたのか――それが見えてくると、本を読むことは、著者と読者の一対一の対話のようになっていきます。

その時に大切なのが、著者と読者がどういう関係なのか、です。以前は著者が上から教えてあげるスタンスが流行った時代もありましたが、最近それはまったく流行らなくなりました。ここ10年以上は、「自分は元々、こんなダメだったんだけど、こうしたら良くなった」「こんなダメな自分もできたんだから、あなたならもっとできるよ」と、横あるいは下から教えるというスタンスの本がブームになっていると思います。

プレジデントオンライン
「コスパ・タイパ・顧客第一主義・自己責任」に対するアンチテーゼ

内藤さん コロナ禍を経て、色々なものが合理的に効率化を重視するようになった先に何があるんだろうと漠然とした不安を持っている人が増えています。コスパやタイパを突き詰めていった結果の揺り戻しが起きていて、そういったテーマが読者からの反応がいい感覚があります。

顧客第一主義についても、それが行き過ぎるとクレームを誘発してしまったり、炎上や対応に疲弊してしまう現状があるので、そこに一石を投じられる内容が流行りになっていると思います。

ディスカヴァー・トゥエンティワン
「大全」「全史」など体系的、網羅的なものが求められている

安永さん これも10年以上前からの流れですが、インターネット上で無料の情報が出回るようになったので、紙の書籍として買ってもらうためには、網羅的や体系的な長く手元に置いておきたい本がトレンドとしてありますね。

ビジネス書のテーマでいうと、みなさんがお話しているように、上から命令するというのはもう通用しなくなったので、マネジメントやチームワークの本がここ数年は売れている傾向にあります。

書籍の企画を作るときの切り口は?

創作大賞では参加している編集部が最終的な審査を行いますが、そのときに重要な審査基準が「書籍になるかどうか」です。そこで、普段書籍を企画する際の切り口について聞きました。

ダイヤモンド社
「過去の自分」と「半径5メートル以内」に向けて企画する

石井さん 編集者の企画の作り方は、大きく分けて「企画から始める」ことと「著者から始める」ことの2パターンあると思います。私は企画から始めることが多いのですが、そのときは過去の自分が悩んだことや辛かったこと、自分の近くにいる人が困っていることがスタートとなることが多いですね。

個人的な悩みに見えても、意外と世の中に広く刺さったりすると思っていますので、そこにフォーカスを当てていくのがいいのではないかと考えています。

東洋経済新報社
「著者の側:いかなる実績に基づいて、何を書くのか」と、「読者の側:だれが、何のために読むのか」

桑原さん この「著者の側」と「読者の側」の交わるところに、企画があると考えています。

読者の側は分かりやすいと思いますが、要は需要があることです。悩みを持っている人が1500円から1800円の書籍を買ってでも解決したいと思えるなら、それが切り口になります。

それに対して著者の側は、書く内容がその方の実績や経験などに裏打ちされていることが、まずは重要です。それは大前提として、ここでいちばんお伝えしたいのは、この実績というのは、必ずしも何かすごいことを成し遂げたという話でなくてもいいということです。自分の弱いところやダメなところを克服したという話でも、扱い方次第では「すごいことを成し遂げた」以上に強いコンテンツになります。

プレジデントオンライン
オンライン記事の切り口は「半歩先の未来を考える」、書籍は「10歩先の未来を考える」

内藤さん たとえばコンビニのネタをオンラインで記事にするときは、どこのスイーツが美味しいかなど発売した直後ぐらいのネタを拾っていくのですが、書籍では「コンビニ業界の未来」という主題を持って取材をしていくので、切り口が全く違います。

10歩先を書こうとするとどうしても有識者の力が必要になってくるので、一般の方には難しいかもしれないですが、企画のスタート地点は常に半歩先にあって、そこから視野が広がっていくのかなと思います。

ディスカヴァー・トゥエンティワン
普遍的な課題と新しい解決策の掛け合わせ

安永さん 普遍的な課題というのは古典的名著からずっと同じもので、みんなが悩み続けたことです。しかし、それも外的環境の変化によって少しずつ変わっていくので、新しい解決策というものがないと手に取りづらいのかなと思います。

創作大賞ではどんな書き手と出会いたい?

最後に各編集部のみなさんに、今回の創作大賞2024でどんな書き手と出会いたいか、何に期待するのかについてお聞きしました。

ダイヤモンド社
みんなが感じている「モヤモヤ」を言語化して解決してくれる人

石井さん 「これまで言葉にされてなかったけど、なんとなくみんなが薄々感じているモヤモヤ」に名前を付けてもらって、こういう改善をしてきましたというノウハウがあるといいなと思います。

一般の方であれば、読者と同じ立場で気づけることも多いと思うので、モヤモヤを言語化して問題提起して、解決策を示して頂けるような方と出会いたいと思っています。

東洋経済新報社
ユニークなノウハウと熱意があり、書くのが好きな人

桑原さん ユニークなノウハウというのは、著者のオリジナルの経験やバックグラウンドのことです。それは大前提として、書くのが好きで、伝えたいという熱意がある方にお会いしたいと思っています。つまり、書きたいように書くというよりは、伝わるよう書くための工夫を一緒に考えてもらいたい、ということです。

noteさんに書かれている方は、本業もお忙しい中で自らの意思で書かれているわけで、文章を書くことが好きな方が集まっていると思っています。だからこそ、たとえばこういう風に書いてみたけれどいまいち伝わりづらい、と思ったら、すべて書き直して別の書き方で伝える――そんな粘り強さがある方と出会いたいですね。

プレジデントオンライン
”何でもない人”の人生に興味が持てる人

内藤さん 書き物には2種類あると思っていて、1つは誰が書くか、もう一つは何を書くかです。

著名な方の書籍はその人が書いただけで価値が上がっていきますが、ほとんどの人は著名人ではないので、その人たちは何を書くかにフォーカスしていくのだと思います。

世の中が流れるなかで、歩いている人のそれぞれの人生に思いをはせられる方というのが、心を掴む文章を書ける人だと思っています。今回の創作大賞ではそういう方と出会えるといいなと思っています。

ディスカヴァー・トゥエンティワン
どんな読者に届けるか、どうすれば読者に届くか、一緒に考え尽くしてくださる方 

安永さん まずは、編集者と著者さんはどちらが上とかはなく、フラットに言いたいことを言い合える方と出会いたいと思っています。

また、noteには、誰かに読んでもらうことを前提として書かれている方が多いと思います。きっと読者に届けることを考えている方が多いと思っているので、そういったコミュニケーションを取れる方と出会えればと思っています。

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今回から新設されたビジネス部門。みなさまからの作品の投稿をお待ちしています。ビジネス部門の詳細はこちら

創作大賞2024のスケジュール

応募受付期間: 4月23日(火) 11:00 〜 7月23日(火) 23:59
読者応援期間: 4月23日(火) 11:00 〜 7月31日(水) 23:59
中間発表: 9月中旬
最終結果発表 & 授賞式: 10月末