#小説 記事まとめ

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記事

機械仕掛けの墓標

海の見える丘に、その墓標は建っていた。  王族でも貴族でもない男のものにしては、いささか大きすぎる墓だった。  家屋三階分はありそうな、塔の形を...

リョウとチヅルのはなし

リョウはたぶん、ばかなのだと思う。  この日、帰ってくるとすぐ、「いく」と、リョウから業務連絡みたいなラインがきた。は、と思った。いや、ちょっ...

五反田のクラブ、そのあとで

窓から差すオレンジの光は、マグカップから立ち上るコーヒーの湯気と溶け合って、古書だらけの研究室に居心地の良い雰囲気をうみだす。 おだやかで、眠...

【短編】 Back In Time

大学の受験に失敗し、予備校に通うことになった。 それと同時にひとり暮らしを始めた。 今思うと実家から予備校に通うのは近所への体裁を気にしたのだろ...

【短編】ヨハンとアデルの朝

早朝の広場で青果店の店主が腰を抜かしたとき、ヨハンとアデルはまだ目を覚ましていなかった。 青果店の店主は自分の店に向かっている途中だった。広場...

短編小説「ゆなさん」

「ゆなさんって、呼んでよ」  はじめて参加となった、職場での忘年会。くじ引きでたまたま隣席になった彼女に、苗字をさんづけで呼びつつビールを注い...

短編小説 『母の味噌汁のレシピ』

なぜこの味噌汁を飲むと、涙が止まらないのだろう。 母が死んだ。 連絡を受けた時にはすでに末期の大腸ガンとのことだった。 毎年健康診断は受けてい...

海のdoll 1 夕映

私は波に浮かぶお人形。ピン止めされて動けない。 遥果 <はるか> が差し出す傘に入る 夕映 <ゆえ> の甘く掠れた声。 「金曜はここにいるよ」ライブ...

短編小説その1「人魚姫の泡」

短編集その一 人魚の泡 人魚の泡は無数に浮かび上がる貴重な宝飾品である。日差しに輝きながら昇って行く、どことてあてなどなくとも昇り続けるけれど...

【短編小説】山の上のアイス屋さん

「おーい、ぼく。アイス買ってきてくれよ。」 ブロック積みにトタンを渡しただけの古びたバスの待合所から男の声が聞こえた。 「ぼくのことですか。」...