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#映画 #ドラマ 記事まとめ

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テレビや動画配信サービスのドラマ・映画に関する記事をまとめていきます。
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#エッセイ

大豆田とわ子の音楽は、わたしたちの未来を優しく照らす

あんなに怖かった30代が、楽しみになっている自分がいる。 数年前までは、出産から人生を逆算して、26歳で運命の相手と出会いたがっていた私だが、この夏29歳になろうとする今となっては、こんな気持ちでいっぱいになっていたことなんて、すっかり忘れていた。 それは、同世代の友人が30代になって、それぞれステータスがバラバラでもみんな充実している姿を見ているからかもしれないし、世の中が「結婚」と「出産」を全員参加のスタンプラリーのように押し付けてこなくなったからなのかもしれない。と

真夜中に大豆田とわ子と三人の元夫

真夜中に目をつぶっても、なかなか眠れなかったので、カラダに従って寝るという行為をあきらめた。カラダの手首にスイッチがあって、OFFにすれば眠くなって、 ONにすれば目が覚めるように操作できれば、便利だなと思いながら起き上がった。透明な夜の底に、テレビの前にストンと座り、こうなれば、映画かドラマを観ようと思う。レコーダーの中を彷徨っていたら、なかなか決められなくて、それで、目を瞑ってみる。リモコンの↓ボタンを押しながら、ひとりで安定のドラムロールを口にする。「ドゥルルルルルルル

ピクサー映画の些細なところを検証する

アニメ映画の中で描かれていることが事実か、現実と照らして正確か、なんてことはあまり求められていないでしょうね。 しかし、些細なことに思えたり観客にとってはど~でもよさそうなことが、ストーリーには大きく影響することがあります。そんな細部や微妙なニュアンスを掘り下げる探偵のような映画好きたちのオンライン集団があります。「Movie Details/映画の細部」は、2017年にできてから220万人の会員を擁する投稿サイトにまで成長しました。 そして今回、彼らは人気ファンの多いピ

映画『この茫漠たる荒野で』が見逃したもの

 『この茫漠たる荒野で』は、2020年に公開されたアメリカの西部劇映画。監督には『ブラディ・サンデー』(2002)などで知られるポール・グリーングラスを迎え、主演はトム・ハンクスが務めている。アメリカ以外の国々では、2021年2月10日からネットフリックスで観られるようになった。  本作は1870年のアメリカを舞台に、ニュースの読みきかせで日銭を稼ぐ退役軍人のジェファーソン・カイル・キッド(トム・ハンクス)と、キッドが保護した白人の少女ジョハンナ(ヘレナ・ゼンゲル)によ

「神話の法則」を徹底解説! ハリウッド発・ヒット作のテンプレ

あの映画も、このマンガも、そのアニメも、すべて「ウケる法則」にのっとって描かれたとしたら、あなたはどう思うだろう。 いま作品を作ってる人としては「そんなん私が知りたいわい」と思うかもしれない。ロマンチストであれば「そんなわけない! パターンなんてあるはずない!」と胸ぐらを掴みたくなるだろう。 しかし事実、エンタメ作品におけるヒットの法則は「ある」のだ。今回はハリウッド脚本の教科書、といわれるプロット「神話の法則」について紹介しよう。 「神話の法則」とは「ヒット作のテンプ

『どん底作家の人生に幸あれ!』を観る

本日は、チャールズ・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens 1812/2/7 - 1870/6/9)の小説『デイヴィッド・コパフィールド David Copperfield』の映画化作品となる『どん底作家の人生に幸あれ! The Personal History of David Copperfield』の鑑賞メモです。 映画鑑賞は安全というイメージ2021/1/8に二度目の緊急事態宣言が出されてから、映画館で映画を観る頻度が増えています。昨年4

【あらすじ・ネタバレあり】トゥルーマン・ショーという最高のどんでん返しをフリに使った名映画

「最も好きな映画は?」という質問をしてもらえたら食い気味に「トゥルーマン・ショーです」と答えると決めている。この作品にはすっかり衝撃を受けてしまった。 20年以上も前の映画だが、いまだ古くならないストーリーであり、何より話の構成に舌を巻く。起承転結ではなく起結転結みたいな。「あ!え!もうオチ言っちゃうの!?」的な感覚に陥るわけだ。 さらにいうと、トゥルーマン・ショーは2021年現在のコンテンツ事情までを予言して、しかもピピーっと警笛を吹いている作品としても見られる。 今

ゾンビと美の世界

何年か前にジョージ・A・ロメロ監督のホラー映画「ランド・オブ・ザ・デッド」を観た。 普段ホラー映画は避けているのだけれど、偶然見つけたブログで作中のとあるシーンが紹介されていて、なんとなくそこから興味を持って深夜にひとりで鑑賞することにした。 ゾンビ映画なので、一貫してショッキングな映像が続く。B級映画によくある良い意味の滑稽さもあまり感じない。でもホラーと言ってもライトなほうではあるし、所々で切ない気持ちにもさせられるいい映画だった。ただ、私は個人的に好きな作品ではあるけ

2020年ベストドラマ 10

いつも最後のほうになってすまん、ベストドラマよ。これ終わらないと1月ドラマを観始められないな。今回は連ドラだけじゃなくて単発ドラマも入れました。コロナで話数もぐっちゃぐちゃになったし、いい機会かと。今年からはネットドラマ、海外ドラマも入れたいけど、まぁ、流れに身を任せよう。 10位 半沢直樹 これは正確にはドラマとは別物の娯楽作なのでここに入れるのは間違いなのだけど、一応ドラマという形を取っているようなのでここで扱います。7年前の、何となくこういう濃い味だったな、、、って

【年間ベスト・ムービー】さらば!ポップコーンが食えない2020

今年の映画館納めは12月20日(日)の早稲田松竹『ブックスマート』。 ふたりの少女が卒業前夜にあらゆるヤンチャをする、というだけの物語だがやたらスケールが大きく派手だし、ティーン・ムービーにありがちな演出された陰湿さがない。 ひたすら爽快だった。 なにより、水風船がぶちまけたり、車を運転するだけなのにやたらとスローモーションになるせいでダイナミックになってしまう、バカバカしさが最高だ。 松竹で観た翌日にNetflixでも配信が始まった。ただ『ブックスマート』は映画館だからこ

『ゴシップガール』が教えてくれた、ネット社会と恋愛のハナシ|Netflix

時は少し遡って、2020年12月末。年内にハマったものは年内に消化しようと思って、海外ドラマ『ゴシップガール』をNetflixでひたすら観ていた。元々、アメリカのスクールものが大好きなわたしには、この作品はかなりハマった。ファイナルシーズンを含めて全6シーズンとかなりの長丁場ではあったが、最後まで目が離せず、飽きることはなかった。ネタバレがないようざっくりとした物語の流れだけを載せ、感想に早々うつる予定なので、作品が気になった方は是非、後ほど調べてみて欲しい。 シーズン1

【新ドラマ】 『この恋あたためますか』 傷付いた私達に必要なこと

ドラマに求めるもの それは人それぞれ違うと思うけど 私は間違いなく"非日常感"だ。 フィクションを見ている時くらい 日常を忘れたい (日常が最悪とかではなくて!笑) 言い換えると、 現実には起こり得なさそうな でも絶対に起こらないとも言い切れない そんな "ちょうど良い夢"を見せてくれる それが結果的に癒しになったりワクワクになったり ドキドキになったりする訳です。 そんな夢を見させてくれるようなドラマを 随分見ていなかった気がする。 昨日『この恋あたためますか

いっそのこと、『まだ結婚できない男』には「独身」を貫き通して欲しい。

2006年に放送されたドラマ『結婚できない男』。 その続編となる『まだ結婚できない男』が、10月9日から放送スタートする。 物語は前作から13年後が舞台。桑野は以前と同じマンションに一人、暮らしているが、飛躍的に進んだIT化に合わせ、スマートスピーカといった最新機器を取りそろえるなど、引き続き独身生活を謳歌(おうか)中。偏屈さにはより一層磨きがかかっている一方で、将来のことを考えると、ちょっと不安を感じないでもない桑野。そんな中、偶然出会った女性たちとの間で、運命の歯車が

「半分、青い。」というロールシャッハテストの向こう側に「安易に同情させない、美談にしない」という製作陣の覚悟を見た。

「半分、青い。」が最終回を迎えた。 星野源の「アイデア」が毎朝流れる半年間にどれだけ救われたことだろうか。永野芽郁ちゃん演じる鈴愛がポロポロと切実感溢れる涙を流すたびにともに涙し、自分まで日々のストレス成分が流されたような気になって「よーーし今日もがんばるぜえ!」と思えた美しき日々が、終わってしまったのだ。素晴らしき哉、大人のための少女漫画(大人の女性向け漫画、では決してない)。 「半分、青い。」は壮絶なロールシャッハテストを、毎度毎度日本の朝のお茶の間から派生した小さな