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コーヒー屋やカフェを開業するのにアルバイト経験は必須か?

私がカフェ開業サポートを始めてから1番尋ねられる質問であり、ほかの飲食店オーナーにもよく尋ねている質問があります。

「コーヒー屋を開業するのにアルバイト経験は必須だと思いますか?」と。

以前、私は名古屋のmitts coffee stand、R ART of COFFEE、SUIDOMICHI COFFEEの代表3人をお呼びして、カフェ開業の座談会を開いたことがありました。

※イベントは終了しております

いずれも、名古屋のコーヒー屋巡りをする方なら名前ぐらいは聞いたことがある店舗様です。その時も同じ質問をしたのですが、3人とも答えは同じ。

「コーヒー屋(カフェ)をやるならカフェでアルバイトをしたほうがいい」

だったのです。

一方で、私はコーヒー屋、カフェを開業するのにアルバイト経験はなくてもいいと思っています。


アルバイト経験は得るものもある

私は"アルバイトをするのに反対"と言ってはいません。これは最初に申し上げておきます。

確かに、アルバイト経験で得られるものはあります

まず大きいのは人脈。有名コーヒー店には同業者やメーカー、インポーターなど、なかなか個人では知り合えない人がたくさん見えます。これはどこかで働かないと中々お会いできない人たちです。お客様とのつながりなどもそうでしょう。

あとは、オペレーション面を勉強できるのも大きいです。牛乳や備品はどこに、どうやって発注するのか。在庫管理や接客マニュアルetc…。外から見るだけでは分からないこともたくさんあります。

単純にお金をもらいながら勉強ができるというのも大きいでしょう。とかく開業にはお金がかかりがち。少しでも資金的な余裕ができるのはそれだけで価値があります。

そういったメリットを踏まえると、飲食店でバイトするのはアリなのは間違いありません。

ただし、「バイトはアリ」と「バイトは必須」の間には大きな差があります。


アルバイトでなくしてしまうもの

まず、弊社で多くのカフェ開業サポートをしてきた経験として言えることは「どこかでアルバイトしてきた方の多くが、固定観念に縛られすぎている」ことです。

分かりやすいのが価格設定やメニュー構成。どこかでアルバイトをしてきた方に尋ねると、立地も、ターゲット層も、内装すら違うのに「前のお店ではこうやっていた」と多くの方が言ってしまいます。

本来、もっと自由な発想、自由な店舗づくりをするためにバイトで勉強に行ったはずが、むしろ制限されてしまうのです。

特に経営やマネジメント面に関して言えば、「先に店舗イメージを固めてアルバイト先の経験で修正する」ぐらいならまだしも「アルバイト先でオペレーションなどを学んでから経営スタイルも決めたい」と思っている人は危険です。

ハッキリ言って、飲食店にアルバイトに入ったぐらいでは経営を勉強するのは難しいと思っていただいていいでしょう。

オペレーション面でも影響はかなり大きく、なかなか前にやっていた店舗のやり方から抜け出せず、新しい知識や技術が身につかない方もたくさん見えます。

どこかでアルバイトをしたからと言って、それが正解だとは思わないほうがいいでしょう。結局、学べるのはそのお店のやり方でしかありません。

もうひとつ重要なのがアルバイト先の質にかなり依存してしまうことです。店舗の質をどうこう言いたくはありませんが、間違いなく練習に向いている店舗とそうでない店舗があります。

たとえば、コーヒー屋をやりたいのに「コーヒーは全自動マシンを使っているだけ」だったり、「コーヒーは店長以外淹れられず、アルバイトはホール業務のみ」なんてお店もたくさんあります。

たとえ勉強に向いているお店でも、(ちゃんとしたお店ほど)入店したてのアルバイトはエスプレッソマシンやドリップ場に立てないお店がほとんどです。

今まで聞いた例だと、最低1年は絶対に触らせてくれない、エスプレッソマシンはオーナーしか触れない、そもそも全自動マシンしかなく練習したことがないetc…などがあります。

アルバイトとして、本当にオペレーションを身につけたいなら1年〜2年は最低でも務めるべきです。

アルバイトととしてお金を渡す以上、店側としては「新しいことをいくつも覚えてもらう」より「覚えた同じ業務を繰り返しやってもらう」時間のほうが多くなることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。


アルバイトなしでカフェ開業するコツ

厳しいことも言いましたが、それでも"なんの経験もない人"が、"誰も頼らず"、自分一人でカフェを開業する予定なら、やはりアルバイト経験はしておくべきだと思います。

ですが、誰か知識や技術がある人のサポートがしっかり受けられる場合は例外。弊社のセミナーもそうですし、知人のカフェオーナーに聞いてみるのもいいでしょう。

「そんなことでうまくいくの?」と思われるかもしれません。

実際、弊社から開業されたオーナー様は、飲食経験なしで地域一番店になっているケースもたくさんあります。

↑海外からのお客様も多く、馬籠を代表するコーヒースタンド。128件の口コミがあるにもかかわらず、驚異の4.8評価(最大5点)


↑安城でも多くのお客様のご来店があり、設備投資、人材育成なども積極的に行っている、いま勢いのある店舗様。


とある店舗様などは、オープン一年で近隣のコーヒー企業から店舗買い取りのお話があったほど。結局、売りはしませんでしたが、もちろん、そのオーナー様も飲食未経験です。

これは弊社がカフェ開業セミナーやサポートをやっているから…というだけでなく、これまでの経験を見ても「誰か頼れるサポーターさえいればアルバイト経験は必須ではない」と言っていいでしょう。


さいごに

繰り返しになりますが、アルバイト経験はなくても飲食店を開業することは可能です。※もちろん誰かのサポートは必要だと思いますが

そして、これからカフェ開業をする人にぜひ知っておいてほしいことは、「アルバイト経験の有無」と「人気店になれるか」はまったく別の話であること。

アルバイト経験はあくまでスキルやオペレーション、人とのつながりを強くしてくれるかもしれません。ですが、そのお店が繁盛するかは、もっとそれ以前のコンセプト段階で決まっていると言っても過言ではありません。

これはアルバイト経験だけでは決して身につかないものです。

カフェ開業を考えている方は、アルバイトをするにせよ、しないにせよ、まずコンセプトのブラッシュアップをしてからにするべきです。

そうすると、弊社のようなカフェ開業サポートをしている企業に頼るべきか、やはりアルバイトでスキルを身に着けるべきかといった「カフェを成功させるための手段」も見えてくるでしょう。

名古屋市千種区でコーヒーセミナー運営、コーヒー豆・器具の卸売り、直営カフェを運営するnote合同会社の公式コラムです。