オープン直後・開業前のカフェオーナーへ伝えたいこと 集客や売り上げの作り方など
弊社の直営カフェnote coffee houseも、2020/7/7をもって3周年を迎えます。「3年で半数以上が閉店する」と言われるカフェ業態において、ひとつの節目を迎えたと言っていいでしょう。
カフェ開業サポートをさせていただいている店舗様のなかにもオープンから4年を超え、地域をけん引する店舗様も現れ始めました。
3年もお店をやっていれば、地域での知名度もそれなりで、周辺の方にお店の名前を出せばそこそこ通じるようになってきます。
ただ、オープン当初からこのような状態であったわけではありません。弊社に限らず、特にオープンしてすぐのカフェオーナー様は悩みがいっぱいです。
お客様が少ない、いらしたお客様からクレームがある、毎日の売上にばらつきがあって不安だetc…。
多くのカフェ開業に携わってきた経験から言えば、皆さまが抱えている悩みやトラブルは共通しています。そこで今回は、カフェオープンしたてのオーナー様が抱えている悩みや疑問点について、ちょっとしたアドバイスなども加えながらご紹介していきます。
少し厳しいことも言うかもしれませんが、オープンしたてでお悩みを抱えるオーナー様にはきっと役立つ内容になっていると思います。
集客を見直しましょう
オープンしたてのカフェオーナーの中には、「不慣れで提供が追いつかないと困るので、近隣の家の方にチラシを配るぐらいで、あまり集客はしない予定です」と言われる方が見えます。
なかには「細々とやっていくため集客は一切しません!」と強気な方も。
はっきり申し上げますが、こういった方は半年〜1年は赤字の覚悟でいてください。別に脅しではなく、ほぼ100%そうなるであろうという経験からです。
カフェ開業される方は、なぜかカフェをオープンすれば勝手に人が見つけてくれて、勝手に来店してくれるだろうという思い込みがあります。
断言していいですが、まったく集客をしていない個人オーナーのカフェに1日に10人も来店があれば大フィーバーです。よほど立地が良かったのでしょう。
この記事を読んでいる方のなかには、実際にカフェオープンしたはいいものの、知り合いが来店してくれる"ボーナス期間"を終えて、日に日に来店客が減っていく現状に恐怖しているオーナー様がきっといらっしゃることと思います。
本来、集客はオープン3ヶ月前、遅くとも1ヶ月前に始めるものですが、今からでも間に合うかもしれません。
ぜひ、下記のリストにある集客をやってみてください。
ちなみに、どれも始めれば今すぐ集客につながるというものではなく、効果を発揮するには1~3か月ぐらいかかります。web集客をするときに、どうしても短期(1か月以内)で集客したいと思うなら、instagramやFacebook広告を出してみてください。
なにも分からない方が愚直に投稿だけ続けていても、すぐのフォロワー獲得にはつながりません。本来は、オープン前にその集客技術を身につけるのですが、今は時間がありませんので、広告でブーストをかけるのはアリです。
あとは、個人が情報を発信する時代ですので、地域ブロガーや地方紙にメールやメッセージを送ってみるのも手です。コンセプトさえ面白ければ、取材に来てくれることも。
こういった飲食店の集客方法については、わたしの著書で紹介しているのでよかったらご覧ください。
※kindle unlimitedユーザーの方なら無料で読んでいただけます
上記の集客方法のうち最低3つぐらいは手をつけておきましょう。
そうすればきちんと効果を発揮してくれます。
特に、Googleビジネスプロフィールは今、絶対やっておくべきです!
本当に"今すぐ"お客さんが欲しいのであれば、オフライン集客は欠かせません。
「お客さんが来なくて困っています…」というオーナー様のほとんどが、そもそも店の前になんの情報も提示していないことがほとんどです。
ランチをやっているならランチのサンプルを表に出したり、メニューを出したり…。
自分がお客さんになってみればわかりますが、得体の知れないお店に入るのは勇気がいります。
店頭ビラ配りも看板もランチメニューを飾るのも、すべてお客様の不安感を取り除くための方法です。
基本的なことですが、意外とやっていない店舗が多いので、ぜひやってみてください。ディスプレイの方法などはスターバックスなどのチェーン店や繁盛している個人店が参考になります。
客単価はきちんと確保しましょう
さて、本来はオープン前に考えるべきことなのですが、オープン直後でもまだ遅くはありませんので、考えるべきことがあります。
それは客単価(1人のお客様にいくら使ってもらうか)を確保することです。
客単価が600円ぐらいだと、喫茶フランチャイズぐらいの回転率でもなければまず閉店まっしぐらなので、まずは客単価を800〜1,200円ぐらいに持っていってください。
高単価メニューの開発に、物販やスイーツ・ランチの提供、ワークショップの開催、おかわり価格の設定etc…となんでもかまいません。とにかく、ドリンク+αで客単価を上げてください。
弊社の卸先では、まずコーヒー豆販売をやってみましょうと提案します。手間を増やさず、在庫を売り上げに変えられるのは魅力的です(※もちろん、豆販売も準備と知識は必要ですが)
「でも低単価で、お客様にゆっくり過ごしてもらう空間を作りたいんだ…」という方も見えます。
諦めてください。
それをやるなら、少なくともオーナー様はてんてこ舞いになるぐらい働き続けなければなりません。
少し計算していただければわかりますが、個人オーナーが1日に必要な売り上げが25,000円だとして、客単価600円だと42名の来店が必要になります。
営業9時間、15席前後の店だとしたら、毎時1/3(5席)は席が埋まっている計算です。もちろんお客様の見える時間帯は偏るので、午前中や15時前後などは毎日満席。
個人店ならそこそこ繁盛店ですし、1人で捌くのは限界があります。お客様もゆっくり過ごすとはほど遠い空間になります。
それが客単価900円になればどうでしょう?
来店客は1日28名ですみます。1時間あたりの来客数も3人になりました。急に現実味が増してきましたよね。
とにもかくにも、チェーンほどの強烈な集客力がない個人カフェは"少数のお客様にいかにご利用いただくか"がキモです。
方法はなんでもかまいませんので、まずは客単価を上げる方法を考えてください。
ただ、なんでもとは言いましたが、安易にアルコールを提供するのはやめてください。理由はカフェバーがどんどん潰れていっているのをみれば分かるかと思います。
アルコールを飲むなら、お客様はきちんとツマミもあって食事もできる居酒屋に行かれます。もしくはバーテンダーがいるバーに行きます。一時期はカフェバースタイルも流行りましたが、少なくとも今はその時代ではないでしょう。
もし、アルコールを出されるのであれば、その場しのぎではなく、それこそその辺のバーや居酒屋に負けないぐらいの準備をすべきです。
物販やワークショップはサブとして考えましょう
物販で客単価を上げる話をしたあとでなんですが、物販やワークショップはあくまで売り上げのサブとして認識してください。
たとえば、カフェや喫茶店でコーヒー豆販売が飲食売上を超えることは間違いなくありません(※コーヒー豆販売とカフェが仕切られているような併設型店舗は例外)。
コーヒー豆だけが欲しいのなら、コーヒー豆屋に行きます。あくまで、物販は「コーヒーが美味しかったからついでに」出るものです。これは雑貨や紅茶、食料品などその他の物販でも同じことです。
売り上げの10〜20%もいけば御の字です。
ときどき、雑貨カフェで雑貨の売り上げを全体の50%近く見積もっている方がいますが、(もし本当に可能なら)雑貨屋さんをやったほうがいいです。カフェは邪魔になります。
また、ワークショップは原価もかからないので儲かると考えられがちですが、そのぶん営業時間を短くしたり、営業終了後にしか開催できないので、思っているより数字につながりません。
そもそも、ワークショップはカフェ以上に集客が難しいです。安定的にワークショップ集客できるほどの信頼性と集客力があれば、よほどカフェをやっていたほうが楽かもしれません。
物販やワークショップは単価をあげたり、"あとちょっと"の売り上げを出すものであって、あくまでカフェがメインであることを忘れないよう。
最初に来店するお客様は今後ほぼ利用されません
さて、集客をし、お店の客単価もはっきりしてきました。すると、それを見たお客様が入店してくれるようになります。
ただ、オープンしてすぐはどんなお店から知られていないため、あるいはとりあえずどんな店か知りたいため、「お店のコンセプトとミスマッチするお客様」がたくさん訪れます。
そのため、下記のようなクレームや要望がいろいろと出されます。
断言していいですが、これを言う方の9割以上が来月以降見えられません。むしろ、半数以上は2回目すら来ないでしょう。
オープンから1か月以内に見えるお客様はそれほどターゲット層と乖離していることが多いのです。
ですので、きちんとコンセプトなどを練った自信があるのであれば、無視していただいてもかまいません。改善したところで、その方たちはもう見えないのですから。
ただし、例外的にそのお客様がその後も数ヶ月にわたって来てくれるような常連さんになった場合、あるいはみんなが同じことを指摘していくようであれば気にしてみてください。
優柔不断になってはいけませんが、柔軟な姿勢はきちんと持っておく必要があります。
価格やコンセプトはすぐにいじらない
さて、いろんな人がいろんなことを言っていくと、またオープン特需がなくなって段々とお客様が減ってくると、つい不安になって価格やお店のコンセプトに手を加えようとしてしまいます。
はっきり言えば、オープン1か月は手を加えなくてもいいです。
むしろ、そんなところに手を加えるぐらいなら多くの店はまず集客を頑張るべきです。
オープン一週間でたった100人程度が訪れただけで、そのコンセプトや価格適正の正しさがわかるのでしょうか?データとしてはあまりにも少なすぎます。むしろ、来店されたお客様のなかに1~2割でもリピーターになった方はいなかったでしょうか?
初月に1,000人が来店したのにリピート率が5%を切っている、レビューサイトがクレームの嵐などであれば価格やコンセプトに手をつけるべきですが、そもそも一見さんすら呼べていない段階で、手を加えるもありません。
ある人は月商90万円をこえるまでは、ひたすら集客以外なにもやるなと言っています。
個人オーナーだと月商90万円はじゅうぶん黒字ラインですので、月商だけを見ても仕方ないかもしれませんが、少なくとも初月でほとんどお客様がいないのに価格やコンセプトをいじっても意味がありません。むしろ売り上げが減って余計に苦しくなるだけです。
客単価アップのためにメニューや組み合わせを増やすなどなら構いませんが、個人の小規模オーナーなら、最低1日20~30人は集客できる体制を整えましょう。話はそれからです。
初めてのカフェ開業のコツは人に話を聞く
カフェ開業をしたばかりのオーナー様はとてつもなく不安なことだらけだと思います。
弊社では、コーヒー豆の卸先様にはオープン直後に必ず連絡をして、今困っていることがないか尋ねます。人によっては毎日連絡をしてくるぐらいです。
総じてみれば、オープンしてすぐは相談してくる頻度が多いお店さんのほうが売り上げは高くなっていく傾向にあります。※逆に、相談が少ない方は売上が伸び悩む印象があります
ただ、こういったサポートを受けられないオーナー様もたくさんいらっしゃることでしょう。
大事なことは、分からないこと、不安なことがあれば、先輩カフェオーナーに話を聞いてみることです。本来ならオープン前に行くところですが、オープン後でもごあいさつに伺うとよいでしょう。
少なからずお客さんも紹介してくれますし、なにより"生き残っている店"という点でお店を見るだけでも勉強になります。
もし、そういったツテがなければ私が今外部メンバーとして関わっているIMOM COFFEEにご相談いただいても構いません。お気軽にご相談ください。
名古屋市千種区でコーヒーセミナー運営、コーヒー豆・器具の卸売り、直営カフェを運営するnote合同会社の公式コラムです。