誠実な自分で相手を変える。
「どんな相手でも誠実に接すること」
これは常々母に言われている言葉。
どれだけ嫌な人間に、どれだけ嫌なことをされても、
自分は同じことをしない。
自分が誠実でいることで周りが変わることもある、という話をよくされていた。
そして、幸運なことに自分はそれを実際に体験することができた。
筆者は昔個人経営のカフェで働いていた。
少し変わっているのだが、そこの店長の母親がいつも店長に料理を持ってきて、反対に空いた容器を持ち帰る、という謎の儀式(?)が毎朝あった。
その交換的役割を自分が担っていた。
初めてお会いした時にはきちんと挨拶をし、声をかけたのだが、
ほとんど目も見ず返事を返してもらえなかった。
(あ…、上手くやっていける気がしない…。)と思った。
だがしかし、「自分だけは誠実に接しろ」という母の言葉を思い出し、
その言葉を胸に対応…、いや、実際この時はこの言葉、忘れていた。
もちろん、同じように無視することなんてしなかったが
心の中では(無視かよ…。大人なんだからせめて挨拶ぐらいしろよ…。)って思ってしまっていた。
そのうえ、戻れば店長には「ちゃんと挨拶したかー?」の一言。
(いや、あんたのおかんが無視してますけど…。)と毒づいていた。
そんな目も見ず、挨拶もされずな日々が続いたけれど、
めげることなくただ普通に挨拶をし、受け取ればお礼をすることを続けた。
そんなお母様もふと気づけば、
おはよう、寒いね…
なんて挨拶や一言何か言ってくれるようになり、それどころか感謝してくれるようになった。
これか…!母が言っていたのはこういうことだったのか…!
と、目も合わしてくれなかった頃を忘れていた頃に母のあの言葉を思い出し実感していた。
そして、そのことよりも何より嬉しかったことは
自分のいない場所で自分のことを褒めて下さっていたと聞いたこと。
嬉しくて仕方なかった。
たとえ何か嫌なことがあっても同じことをせず、
きちんとした態度で諦めずに接していれば少しずつ相手は変わっていくこともあるのだと実感した。
もちろんそれでも変わらない人もいるし、それどころか反対に、
昨日まで仲の良かった人が突然会話してくれなくなったりもする。
人っていい方にも悪い方にも変わっていく。
ありがたいのかなんなのか、悪い方も運よく…いや、
運悪く体験してしまったので、言えること。
離れていく人はきっとそこまでの関係。
筆者にもこれまで悪い方に変わってしまった人間がいて、辛いことだってあったけど、やり直したいとは思わない。
だって、そういう人たちとの出会いがなければ、今の大事な人たちとも出会えていなかったかもしれないから。
だからこれからも、これまでと変わらず誠実な自分でいたい。
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