アナログ派の愉しみ/映画◎伊藤大輔 監督『王将』
将棋がまだ
人生のドラマだったころ
藤井聡太という人物が出現してこのかた、将棋をめぐってはその若さと記録と勝負メシばかりが関心の的となって、しかもそれが政治経済のニュースと肩を並べ、テレビ・新聞のトップを飾って報道されるありさまに、まったく将棋に興味のないわたしは面食らってしまう。しょせん遊戯にまつわる話題ではないか。もちろん画期的な天才だとは理解しても、むしろそうであるなら、この人類世界の大転換の時代にせっかくの才能を遊戯などに費消するのではなく、もっと現実に役立つ技術革